金融政策と景気の関係をわかりやすく解説する。

最終更新日.2020年6月

 

 

✅当記事の内容

✔️金融政策と景気の関係は?

✔️日本が金融政策に失敗してきた理由

✔️金融政策と資産運用

 

 

✅当サイトの信頼性

日本の未来を応援するネコ(@lemon_remon_1

この記事を書いている私は、株式を中心に資産運用をしながら金融経済分野を研究しています。日本には明るい未来が待っている事を信じて執筆しています。

 

金融政策とは?

 

日本銀行は、わが国の中央銀行として、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資するため、通貨および金融の調節を行うこととされています。(日本銀行法第1条、第2条)

〜中略〜

こうした中央銀行が行う通貨および金融の調節を「金融政策」といいます。

 

日本銀行ホームページより引用

 

 

画像: 日本銀行

 

上記引用をまとめます。

 

✅金融政策の目的

 

経済発展を実現して国民を豊かにすること

 

 

✅経済発展を実現させる方法

 

物価を安定させる為に通貨の量を調節する

 

 

金融政策は各国の中央銀行がおこない、日本では日本銀行がその役割を担います。

 

金融政策と物価

 

金融政策を一言で言えば

世の中(市場)に流通するお金の量を

コントロールする政策

です。

 

それでは、お金の量と物価が関係する理由を解説します。

 

✔️通貨と物価の関係

 

これを理解するために、資本主義における価格決定の原則を紹介します。

 

物価(モノの価値)は

物とお金の量のバランスで決まる

 

 

例えば極端な例で解説します。

 

【仮定】

世の中に、りんご1個と1万円が存在している。(1万円とりんご以外のモノはないとする)

 

 

この状態では、りんご一個の価格は必然的に10,000円です。

 

 

一年後。

 

生産力の強化によってりんごが10個に増産されたとします。

 

 

 

 

 

そうなれば、りんご10個と1万円が同じ価値になります。

 

つまり、生産技術の向上によって

りんご一個あたりの価格は1,000円に値下りするということです。

 

⬇︎

 

生産技術が発達したことで、りんごの値段が10分の1の千円になってしまいました。

 

生産技術の発達にともなって、通貨の量を増やさなければ、物の価値は下がってしまいます。

 

これがデフレーションです。

デフレの原因。【わかりやすく解説】

 

戦争や災害などでの損失を除いて、基本的に私たちの生産能力は時間とともに強化されていきます。

 

このように中央銀行は、国の生産能力の変化に伴って、通貨の量をコントロールしなければいけません。

 

通貨の量をコントロールする事が金融政策であり、それは物価をコントロールする事も金融政策という事です。

 

そして、経済をデフレーションや過度なインフレーションに陥って停滞をさせないようにしなければいけません。

 

 

金利とマネタリーベース

 

金融政策には、通貨量を拡大させる金融緩和、通貨量を縮小させる金融引き締めがあります。

 

金融緩和

通貨の量を拡大させる金融政策

 

金融緩和は不況期におこない景気を刺激します。

 

 

金融引き締め

通貨の量を縮小させる金融政策

 

金融引き締めは好況期におこなわれ、景気を冷まします。

 

 

それでは、どうやって世の中の通貨量を調節するのかを説明します。

 

世の中の通貨量を調節する金融政策(金融緩和・金融引き締め)の手法は大きく2つのように大別できます。

 

金利の調節

マネタリーベースの調節

 

 

政策金利の調節

 

一つめは、政策金利を操作することによって世の中にでまわる通貨の量を調節する方法です。

 

世の中に流通する通貨の量を、マネーストック(マネーサプライ)といいます。

詳しくはリンク記事を参照ください。

マネーストック(マネーサプライ)とは?【わかりやすく解説】

 

 

政策金利の操作によってマネーストックを調節する方法は伝統的な金融政策と呼ばれます。

 

政策金利とは?

政策金利とは、中央銀行が、一般の銀行(市中銀行)に融資する際の金利。

一般の銀行が民間に貸し出す際も、この政策金利が元になります。

 

政策金利の上げ下げによって世の中に出回る通貨の量がコントロールされるメカニズムを解説します。

 

中央銀行が政策金利を引き上げる

⬇︎

市中銀行が民間に貸し出す金利も上昇する

⬇︎

世の中の借入は抑制される

⬇︎

世の中に流通する通貨の量が減る

 

 

市中銀行が民間企業への貸し出しの金利を引き上げれば、企業にとっては借入返済が厳しくなります。

 

結果的に、政策金利を引き上げれば民間への貸し出しは減り、マネーストックは縮小します。

 

 

 

 

 

政策金利の上下が経済に与える影響をまとめると、以下のような関係となります。

 

 

 

国内景気が良好な時は金利を上げて、景気の加熱を抑えます。

 

反対に、景気が停滞した時は金利を下げて世の中への融資を拡大し、世間に流れるお金の量を増やします。

 

1999年3月。

長引くデフレ不況に苦しむ日本は、金利をゼロ近辺にまで下げる金融政策をおこないました。

 

これをゼロ金利政策といいます。

 

それでも尚、日本はデフレから脱却する事は出来ませんでした。

 

そうして、新しく取られた方法がマネタリーベースの拡大です。

 

マネタリーベースの調節

 

 

 

マネタリーベースを単純化して言えば

世の中に存在する通貨の合計

です。

詳しくは下記リンク記事をご覧ください。

マネタリーベースとは?【わかりやすく解説】

 

 

マネタリーベースの拡大とは

 

中央銀行が通貨を発行して市場に供給する

 

ということです。

 

日本でマネタリーベースの拡大が本格的に実施されたのは、2013年から黒田日本銀行総裁よって導入された『量的・質的金融緩和』です。

 

画像:黒田東彦日本銀行総裁

 

量的質的金融緩和では、これまでほぼ横ばいだった通貨供給量(マネタリーベース)を急拡大させました。

 

 

量的緩和政策は、金利を上下して市場への貨幣量を調節する伝統的な金融政策とは違い、通貨そのものを発行して金融機関に供給してきます。

 

これら、従来の金融政策の方法にとらわれない景気刺激策は非伝統的金融政策と呼ばれます。

 

✅公開市場操作

 

それでは、日本銀行は発行したお金をどのように市場へ供給するのでしょうか?

 

日本銀行が発行したお金を、政府の発行した国債と交換する直接引き受けは禁じ手とされています。

 

日本銀行における国債の引受けは、財政法第5条により、原則として禁止されています(これを「国債の市中消化の原則」と言います)。

これは、中央銀行がいったん国債の引受けによって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めが掛からなくなり、悪性のインフレーションを引き起こすおそれがあるからです。

引用元:日本銀行ホームページ

 

直接引き受けの是非は置いておいても、日銀が発行したお金をそのまま政府に渡せない以上は、他の方法で市場に資金を供給しなければなりません。

 

そこで出てくるのが公開市場操作です。

 

公開市場操作(オペレーション)とは、日銀が資金を市場に供給する方法のことです。

 

代表的な3つの公開市場操作(買オペレーション)を紹介します。

 

共通担保資金供給オペ

日銀に差し替えられた国債や社債、CP(コマーシャルペーパー)などを担保として民間の金融機関に資金を貸し出す仕組みの事。

 

国債買入 

金融市場で長期国債(利付国債)を買い入れることによって金融市場に資金を供給すること。

 

ETF(上場投資信託)買入

金融市場で、ETF(上場投資信託)やJ-REITを買い入れることによって資金を供給すること。

 

これらは買いオペレーションと呼ばれ、アベノミクスによる量的質的金融緩和でも実施されています。

 

つまり買いオペとは、日本銀行が金融市場を通してこれらの資産を買う事で、通貨を市場に供給する方法です。

 

逆に、金融引き締め政策の場合は資金を市場から吸収する売りオペレーションが行われます。

 

 

金融緩和の副作用

 

 

 

 

 

 

 

景気刺激策として採用される金融緩和の副作用はただ一つ。インフレです。

 

ここまで読んで頂いた方には、この理由が理解いただけるのではないでしょうか?

 

そこで心配な事はハイパーインフレです。

 

ハイパーインフレーションの定義

【国際会計基準】

インフレ率が3年間で累積100%(3年で物価が2倍)

参考記事:【世界のハイパーインフレ】原因と対策

 

ハイパーインフレとは、モノの量に対してお金の量が増えすぎて、お金の価値が暴落(モノの価値が高騰)してしまう事です。

 

金融緩和を行う上ではハイパーインフレを抑制する方法が必要です。

 

インフレターゲット(物価目標)の設定によって、ハイパーインフレの発生を抑える事ができます。

 

 

インフレターゲット(物価目標)

 

インフレターゲット(物価目標)は、インフレ率の目標値を設定することで目標達成までの金融緩和を続けます。

 

そして、目標値を超えるインフレ率になった時に、逆に引き締めに転じます。

 

 

つまりインフレターゲット設置による金融緩和は、経済をマイルドなインフレ率に持っていく事で、好循環をつくる事が出来ます。

 

金融緩和によってマイルドなインフレーションを作る政策を、リフレーション政策と言います。

 

詳しくはリンク記事を参照ください。

リフレーション政策とは?【わかりやすく解説】

 

 

ここで、マイルドなインフレが経済の好循環を作る理由を説明します。

 

インフレーションとは世の中の需要が

お金 < モノ

になっている状態です。

 

人々の需要がお金よりも、モノに向いていれば、世の中の消費は活発になります。

 

つまり

 

消費が活発になる=民間の利益が上がる

 

という構図が出来上がり、世の中の商品、サービスの価格は上昇します。

 

同時に民間の利益があがり、人々の所得が増加します。

 

インフレとは、モノの価値が上昇する一方で、お金の価値が目減りしていく現象です。

 

つまり、価値が目減りするお金を消費し、資産や商品、サービスに交換する事が合理的になるのです。

 

これな、マイルドなインフレーションが作る経済の好循環の構図です。

 

このインフレターゲット政策が日本で初めて導入されたのは、2012年から開始された経済政策《アベノミクス》です。

 

詳しくはリンク記事を参照ください。

 

【アベノミクスの成果は?】内容から評価までをわかりやすく解説

 

アベノミクスでは、2%のインフレ目標を掲げて開始されました。

 

残念ながら、2020年7月現在もこのインフレ目標は達成できていません。

 

 

 

 

金融政策の失敗

 

日本は1990年代のバブル崩壊以降、長引く不況に悩まされてました。

 

この長期経済停滞期は失われた20年と呼ばれます。

 

【失われた20年とは?】わかりやすく解説

 

この経済失政の大きな理由の一つが、日銀による金融政策の失敗でした。

 

それではなぜ、バブル崩壊以降、日本銀行は金融政策に失敗し続けて来たのでしょうか?

 

実は、日本の金融政策のターニングポイントは1998年に改正された日本銀行法の改正にあります。

 

この頃、大蔵省の汚職事件に端を発した省庁権力の縮小がおこり、大蔵省は財務省と金融庁にわかれる事となりました。

 

大蔵省接待汚職事件(おおくらしょうせったいおしょくじけん)とは、1998年(平成10年)に発覚した大蔵省を舞台とした汚職事件である。

Wikipediaより引用

 

この流れの中で、日本銀行も大蔵省からの独立性を高める事になります

 

それが、日本銀行法の改正です。

 

この日銀法の改正の問題点は、日銀の権力を強すぎるまでに高めてしまった事です。

 

この時、日本政府は日本銀行総裁の罷免権を手放してしまったのです。

 

それは、この改正日本銀行法の第25条によって決められました。

 

第二十五条 日本銀行の役員(理事を除く。)は、第二十三条第六項後段に規定する場合又は次の各号のいずれかに該当する場合を除くほか、在任中、その意に反して解任されることがない。
 
 
一 破産手続開始の決定を受けたとき。
 
二 この法律の規定により処罰されたとき。
 
三 以上の刑に処せられたとき。
 
四 心身の故障のため職務を執行することができないと委員会(監事にあっては、委員会及び内閣)により認められたとき。
 
 

この日銀法の改正によって、日銀が日本政府の意向にさからった金融政策をおこなっても、政府にはどうする事も出来なくなりました。

 

その後、日本銀行はデフレ経済にも関わらず、金融引き締め政策を継続させてしまいました。

 

この98年の日銀法の改正(改悪?)が、失われた20年を作った金融政策の失敗を止める事が出来なかった大きな要因です。

 

逆の発想で言えば、日本経済の復活のポイントはここにも存在しています

 

 

デフレ脱却のために

 

これからの日本がデフレを脱却していく為に必要な事を紹介します。

 

✅日銀法の改正

✅リフレ政策

✅歳入庁の創設

 

日銀法の再改正

 

これは必須項目です。

 

現行日本銀行法第25条を改正し、誤った金融政策を行う日銀総裁には罷免もできる環境を作る事。

 

失われた20年は、日本銀行が巨大な権力によって誤った金融政策を続けてきた結果の悲劇でした。

 

これを繰り返さないためにも絶対に必要です。

【失われた20年とは?】わかりやすく解説

リフレ政策の実施

 

次に、リフレ政策をしっかりと実施する事が必要です。

その際に、インフレターゲットを明確にして必ず達成出来るまでは金融緩和を続ける事。

2020年5月現在、アベノミクス開始時に定めた2%の目標には程遠い現状です。

 

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、世界経済はかつての世界恐慌のような大デフレーションに陥る可能性が極めて高い状況です。

 

参考記事:新型コロナウイルスと日本経済について

 

インフレ経済どころか、このままでは大デフレ経済が到来しています。

物価目標の達成のためのさらなる金融緩和政策が必要です。

 

そして2020年現在、最も必要な政策は次の③の政策です。

 

歳入庁の創設

 

日本銀行の権力の増大とともに、もう一つ大きな問題があります。

 

それは財務省の権力も大き過ぎる事です。

 

現在の財務省が推し進める緊縮財政は、アベノミクスにおいてデフレ脱却を大きく拒んできました。

 

新型コロナウイルスの感染拡大不安が顕在化した今、金融政策にも増して日本の財政政策が絶対に必要です。

参考記事:財政政策とは?わかりやすく解説

 

なぜ財務省は緊縮財政を止めないのか?

 

1989年の消費税の導入から始まった緊縮財政は、今もなお財務省の意向によって推進されています。

 

新型コロナウイルスの感染拡大による経済対策も、現状は全く足りていません。

 

消費税の増税などは狂気の沙汰であると分かってもらえると思いますが、財務省は20%以上の消費税が必要だと言い放っています。

 

そして、着々と財務省の増税路線の計画はに進んでいます。

 

財務省から歳入庁を分離して世界標準の体制を作り、強すぎる財務省の権限を縮小する事が必要です。

 

そして最も大切な事は、政府や財務省、日銀、メディアなどから発せられる、いびつな情報に惑わされないような知識を私たち国民一人ひとりが持つことです。

 

一方でネットが普及してきた昨今では、若者を中心に少しづつ、正しい経済政策も認知されるようになってきました。

 

私たちは幸い、選挙がある民主主義の国に住んでいます。

また、日本は自由に経済活動ができる資本主義社会でもあります。

 

参考記事:資本主義とは?わかりやすく解説

 

これら現状の環境をいかし、過度に未来を悲観せず、未来への礎を築いていく事で、必ず私たちの未来は変えられます。

 

最後に、これらの金融政策の知識をいかして私たちの未来に生かしていく術を紹介します。

 

金融政策と資産運用

 

最後に、この金融政策への理解を資産運用にいかしていけるように、その関係性を解説します。

 

前述したとおり、インフレ経済では資産価値が上昇し、現金の価値が目減りします。

 

つまり、現金のまま貯金をしていても損をしてしまうのがインフレなのです。

 

ですから、インフレ経済では現金から金融資産に形をかえる資産運用をする事で、好景気の恩恵を受けられるのです。

 

逆に言えば、デフレ期では現金の価値が高まり、金融資産の価値が下落ます。

 

デフレ期では現金で貯蓄する事が合理的になり、これがさらに不況を悪化させる負のスパイラルを作っていきます。

 

しかし、この金融政策の動向と物価の関係を理解ができれば、この視点は大きく変わります。

 

なぜなら資産運用の成功の秘訣は

金融政策の転換点

にあるからです。

 

資産運用の大原則は、安く買って高く売るという事です。

 

これは、資本主義下ではビジネスでもすべて同じです。

安く仕入れて、付加価値を乗せて売る事はビジネスの基本ですね。

 

つまり、デフレ不況から脱却する転換点で資産を買い、景気が過熱してくる時に資産を売却することで、大きく資産を増やすことができます。

 

実際に、アベノミクスによる大胆な金融政策の実施によって、株価や不動産価格は急騰して為替は大きく円安に転換しました。

 

詳しくはリンク記事を参照ください。

 

【大胆な金融政策とは?】わかりやすく解説。

 

画像:アベノミクスによる日経平均株価の急騰

 

この資産価格の転換点を見極めるもっとも重要なポイントが、中央銀行による金融政策なのです。

 

 

金融政策の確認方法

 

日本の金融政策の方向性を確認するに重要なポイントを紹介します。

 

日銀政策決定会合

2020年現在、1年間に8回の頻度で日銀政策決定会合が行われています。

この会合によって、現状の経済状況に照らし合わせた次なる金融政策が話し合われます。

 

議事内容は以下の通りです。

 

金融市場調節方針

基準割引率、基準貸付利率および預金準備率

金融政策手段(オペレーションにかかる手形や債券の種類や条件、担保の種類等)

経済・金融情勢に関する基本的見解等

引用元:日本銀行ホームページ

 

この会合によって、金融政策の大部分が決定され、資産市場に一定の影響力をもっています。

 

特に、アベノミクス開始時に黒田晴彦日本銀行総裁が、量的質的金融緩和の導入を発表した時は資産価格が急上昇し『黒田バズーカ』と呼ばれました。

 

金融政策の方向と会合の結果は日本銀行ホームページのこちらから確認出来ます

 

また2020年5月現在は、新型コロナウイルス感染拡大に対する自粛活動による消費の激減に対応する為に、更なる追加緩和策が決定されました。

 

画像出典:日本銀行ホームページ

 

これからは新型コロナウイルス終息までに、甚大な経済的な被害が明るみになってきます。

その時に必要な事がこの金融政策であり、財政政策です。

 

さまざまな経済指標や資産価格が暴落した現在、長い目で見て未来に投資する事は必ず糧となってくれるでしょう。

 

 

 

 

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