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リーマンショックについてわかりやすく解説
2008年9月15日、アメリカ合衆国の投資銀行であるリーマン・ブラザーズホールディングスが経営破綻しました。負債総額は実に64兆円にのぼり、世界的な株価大暴落を伴う金融危機が起こりました。
この経済ショックから立ち直ったアメリカの金融政策と、経済対策を怠った日本の事例もあわせて解説します。
リーマンショックとサブプライムローン
リーマンショックが起こった理由はサブプライムローン抜きでは説明ができません。リーマンショックの全体像を理解するために、まずはプライムローンとサブプライムローンについて説明します。
✔️プライムローン
プライムローンとは、アメリカの優良顧客向け住宅ローンのことです。金利などは通常の条件で貸し付けられ、信用度の高い人を対象としています。
✔️サブプライムローン
プライムローンとは反対にサブプライムローンは、アメリカの低所得者層や信用度の低い個人を対象にした住宅ローンのことをいいます。融資の審査基準が緩いですが、プライムローンに比べて高い金利が適用されます。
このように、サブプライムローンは低所得者層を対象とした住宅ローンのため、返済が滞る可能性が極めて高い住宅ローンでした。
アメリカ国内で、この危険な香りがただよう住宅ローンが拡大したことが、リーマンショックが発生した背景にあります。
そんな信用度の低いサブプライムローンがアメリカ国内で活況となった背景には、2001年〜2006年ごろまで続いたアメリカの住宅価格の上昇があります。
アメリカの住宅バブル
それでは次に、サブプライムローンが活況につさなった背景であるアメリカの住宅バブルについて解説します。
2001年にITバブルは崩壊しました。これを受けてアメリカはデフレ不況への転落懸念を払拭するする為に、金融緩和政策(政策金利の引き下げ)を強化しました。
▶︎参考記事:金融政策とは?
これがアメリカの住宅バブルの始まりです。
アメリカの都市部の住宅価格の上昇は留まるところを知りません。
2001年か2007年にかけて、アメリカ都市部の住宅価格は2倍近くまでに膨れ上がりました。

画像出典:海外投資データバンク
この価格が上がり続ける住宅を担保にしてローンを組むという方法でサブプライムローンは拡大しました。
もしローンを返せなくなったとしても担保に入れた住宅を売却すればOKという事です。
つまり
住宅価格が上がり続ける前提で
中間層以下の人々にローンを組ませる
という極めて危険な方法でサブプライムローンは、アメリカの住宅バブルと共に拡大したのです。
さらにサブプライムローンは証券化され、さまざまな金融商品に組み込まれました。
これが、のちにサブプライムローンの破綻の悪影響が広範囲に及んでしまった要因になります。
住宅バブルの崩壊
上がり続ける住宅価格がいつまでも続く訳がありません。
アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備理事会)は景気過熱を懸念して住宅ローン金利の利上げを決定します。
これが、上がり続けてきた住宅価格が下がり始める契機となります。
上がり続ける前提でローンの担保となっていた住宅の価格が下がりはじめたのです。
返済リスクの高い低所得者層向けのサブプライムローンは返済が滞ってしまう人が続出します。
値上がりを前提として担保に入れていた住宅を売却しようと思っても、売れない状況になっていたのです。
ここへ来て、たちまちサブプライムローンが不良債権と化します。
不良債権(ふりょうさいけん、英: Bad debt,non-performing loans)とは、回収困難な債権を言う。
wikipediaより引用
連鎖的金融危機
不動産バブルとともにサブプライムローンを拡大し続けていたリーマン・ブラザーズは、膨れ上がった不良債権を抱える事となります。
サブプライムローンの仕組み自体が無茶苦茶でしたが、もうあとの祭りです。
過度な楽観はサブプライムローンをどんどん拡大させ、様々なかたちで高金利にて金融商品化されていました。
一転してサブプライムローンの不良債権化が明るみになると、広範囲にその悪影響が広がったのです。
サプフライムローンを扱っていた金融機関は当然リーマンブラザーズだけではありません。
しかし、リーマンブラザーズはアメリカ政府による公的資金の注入対象とはならず、経営危機を乗り越える事ができなかったというのが実状です。
アメリカ大手保険会社AIGも倒産の危機に陥ります。
AIGはCDS(クレジットデフォルトスワップ)を運用していましたが、倒産してCDSが消えてしまうという不安感が市場を覆いました。
拡大したサププライムローン金融商品、CDSの不良債権化が懸念されて、楽観的だった市場は一転して総悲観に変わりました。
そうしてニューヨーク市場は株価大暴落に見舞われたのです。
リーマンショックと日経平均株価
2008年9月15日リーマン・ブラザーズの倒産を受けて世界的に金融不安が広がり、日本の株式市場も総悲観に見舞われました。
9月15日から10月26日の約1ヶ月間足らずで
日経平均株価はー4446円の下落
下落率にして38%の大暴落
を喫したのです。

ここまで自由貿易などグローバル化が進んだ現代では、一つの出来事が瞬く間に世界中に連鎖してしまいます。
この暴落はきっかけがリーマンブラザーズの経営破綻でしたが、本来の原因を辿ればFRBの金融政策に行き着くのです。
したがって、リーマンショックの大暴落もFRBの金融政策に注目する投資家であれば、ある程度の大きな流れは想定出来ていたでしょう。
リーマンショックと資産運用
ここで資産運用の視点から、この大暴落を見てみましょう。
リーマンショックで世界の投資家は大損だった?
これだけの大暴落を演出した世界金融危機ですから、大きく損をした投資家が山程いた事は疑いようのない事実です。
しかし、ここで大損してしまった人はリーマンショックまでの好景気の間に大きな投資をしていた人です。
逆に、リーマンショックが起こった後の2009年以降に資産運用を始めた人はどうでしょうか?
これだけの株価大暴落を目の当たりにした時、誰しも投資と言うものにアレルギー反応を起こしかねかい空間でした。
しかし、このリーマンショックの後に株式や不動産に投資して資産運用を始めたひとは、長く持っていられたならば、2019年現在では想像を超えるほど資産運用は大成功しているでしょう。
資産運用は金融政策に注目し、タイミングをはかる
ITバブルの崩壊に対するFRBの利下げによる金融政策に始まり、住宅バブルが起こります。まずはこの金融政策の開始時が投資を始めるポイントです。
もちろん、投資の引き際もあります。
それは、中央銀行による金融政策が転換された時です。
人々が総悲観の時に投資を始めるのは簡単なことではありません。
同様に、人々が総楽観な時に上がり続ける資産を売却する事も実に難しい事です。
しかし、中央銀行と政府の政策にだけ意識を集中し、歴史をしっかり学んでいけば、効率的な資産運用を行い成功を収める事は可能なのです。
資産は安い時に買って、高い時に売る。
商売の基本は、金融の分野でも大いに生きているのです。
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