正社員の賃金、男女とも過去最高に 厚労省18年調査
- 2019/3/29 19:00
厚生労働省が29日公表した賃金構造基本統計調査によると、2018年の正社員の1カ月分の賃金は32万3900円で前年より0.7%増えた。運輸や郵便など人手不足感が強い業界を中心に賃金の伸びが大きく、集計が始まった05年以来、男女計、男女別それぞれで過去最高となった。
調査は従業員10人以上の事業所約5万カ所を対象に、18年6月の基本給を集計した。
男女別でみると、正社員の男性は35万1100円で0.8%増。20代前半では1.1%の伸びとなった。55~64歳では2%増だった。高齢層は給与が低めになりやすい中途採用が少なく、伸びが大きくなった可能性がある。
女性の正社員の賃金は26万5300円で0.6%増えた。女性は20代前半で2.2%の増となり、55~59歳は2.3%の伸びだった。
企業規模別では、従業員100~999人の中企業で1.1%の増、千人以上の大企業では0.5%増だった。従業員10~99人の小企業では0.1%増にとどまった。
賃金構造基本統計をめぐっては、本来は事業所への訪問調査が決まりだが、不適切な郵送調査が長年続いていた。今回の調査結果も郵送調査によるもので公表した。
出典 日経新聞電子版 文字加色は筆者によるもの
人手不足と賃金上昇
2012年末から始まったアベノミクスの成果はようやく賃金の上昇に反映されてきました。とはいえ、約7年もの歳月をかけており、この実体経済への反映は遅すぎると言えます。
人手不足が賃金上昇につながる事は、様々な記事にて説明してきました。
企業は、人手不足になれば賃金を上げてでも人を雇わなくてはいけません。
人手不足は、国内外からの需要が増え、企業の業績が上向く為に起こります。
金融緩和政策で、為替レートを円安方向に持っていく事によって、まずは外国からの需要を国内に呼び込みます。
通貨安によって輸出企業は収益を増やし、インバウンド需要、外国人投資家による日本株買いが進み資産価格が上昇します。他方で予想インフレ率も上昇し、内需も上向くのです。
※為替が1円円安に傾くだけで、トヨタの利益は400億円増えるといわれています。
このように、まずは、金融政策によって雇用の改善と資産価格の上昇を行うのが経済政策の常識です。
日本のバブル崩壊からアベノミクスまでは、適切な金融政策を行って来ませんでした。
その失策が日本の失われた20年を作り、多くのリストラや就職難の人を生み出してしまった事は、未来への教訓にしなければいけません。
なぜ、アベノミクスの効果が遅れたのか?
なぜ、賃金が明確に上昇を示すまでに7年もの時間がかかってしまったのでしょうか?
それは、2014年に実施された消費税8%への増税があったからです。
リンク記事にて詳しく説明してありますので、ここでは解説しませんが、このまま2019年10月に予定されている10%への増税が実施されてしまえば、賃金の上昇はもちろん、雇用の改善すら振り出しに戻ってしまう可能性が高いのです。
そうなってしまえば、世界経済の減速も押し寄せる中、再び日本はデフレ不況に戻ってしまいます。
私は、景気が明確によく(物価上昇率2%を達成)なるまで金融政策、財政政策をしっかりと緩和路線で行くことが、これからの日本の未来には必要であると考えています。
まとめ
■賃金の上昇は、人手不足市場を作った金融緩和政策である
■2014年の消費増税が、日本の景気回復にストップをかけてしまった
■このまま増税路線を拡大すれば、デフレ不況に戻ってしまう
当ニュースである賃金の上昇は、一見すると景気回復したかのように見えますが、消費者物価指数はまだ明確には上がっていません。
これは、雇用や賃金が回復しても国民の消費が回復していない事を意味しています。
今後、金融政策や増税への政策をいかに行っていくかが、改元後の新しい時代を作る重要なキーワードとなると私は考えています。
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