目次
ホワイト国とは?
昨今の経済ニュースとしてこの話題について語らずにはいられません。
韓国が日本のホワイト国リストから除外された事で、日韓の関係が急激に悪化しました。
まずはホワイト国とは何なのかを説明します。
ホワイト国の正式名称は
「輸出管理レジームに基づいた安全保障貿易管理における優良国家」
と呼びます。
この輸出管理レジーム(MECR)という輸出管理における大規模な国家間の取り決めの中で『優良国家』として指定されている国をホワイト国と呼んでいるのです。
輸出管理レジーム
輸出管理レジームとは「大量破壊兵器や通常兵器の不拡散」の観点から、国家間の物品、技術等の移動制限について多国間で取り決めです。
この「不拡散」には、「現物の輸出禁止」のみならず「原材料となるものの輸出管理」も該当します。
要は、輸出管理レジームとは
『危険な国へ不用意に材料売ってはいけません、もし輸出品が軍事兵器の拡散に使用されてしまっては厳しい罰則を与えますよ』
という国家間の取り決めです。
そして、輸出管理が徹底されている国を優良国家、ホワイト国と呼びます。
なぜ韓国はホワイト国から除外されたのか?
徴用工問題への報告
日本が韓国をホワイト国から除外したキッカケは、メディアでは『徴用工訴訟問題』に対しての日本の報復だと言われていますが、現実は違います。
徴用工訴訟問題(ちょうようこうそしょうもんだい)とは、第二次世界大戦中日本の統治下にあった朝鮮および中国での日本企業の募集や徴用により労働した元労働者及びその遺族による訴訟問題。
wikipediaより引用
日本の徴用工への補償については、韓国政府は1965年の日韓請求権協定を結び解決済みとしていました。
日韓請求権協定を簡単に言えば
日本が有償と無償を合わせて約108億円分の経済援助を韓国に対して行い、第2次世界大戦中の賠償金とするという取り決め。
この経済援助持って全て解決済みとされていた協定を無視して、2018年、韓国は再び損害賠償請求を日本企業に対して行ったのです。
日本政府は当然「法的基盤を根本から覆すもの」だとして強く反発しました。
安倍晋三首相は「本件は1965年(昭和40年)の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している。今般の判決は国際法に照らしてあり得ない判断だ。日本政府として毅然として対応する」と発言しています。
確かに、この韓国の行動に憤りを覚えるのはわかりますが、日本はこの訴訟問題がキッカケでホワイト国を除外した訳ではありません。
本当の理由はさらに両国にとってシビアな問題です。
消えたフッ化水素
問題は、日本から韓国へ向けて輸出されたフッ化水素が行方不明となった事に端を発します。
フッ化水素
工業的に多用される化合物であり、フッ化水素を利用した化合物(フッ化物)は半導体製造や化学的溶媒などの用途に使われる。また、六フッ化ウランから核燃料を作成する際にもフッ化水素ガスが用いられる
このフッ化水素の生産は、世界の80%を日本がシェアしています。
半導体製造に必要とされますが、核燃料を作成する際にも使われますので、厳しく輸出管理されています。
日本から韓国へ輸出されたこのフッ化水素、約40トンが行方不明になってしまったのです。
フッ化水素は戦略物資なので、韓国はこの40トンの使用用途を明確にできなければ、日本としては輸出の許可ができないばかりか、日本自身の管理責任が問われてしまいます。
もし、このフッ化水素が北朝鮮に流出したとなれば、日本自身も優良国家から除外されてしまうくらいに大変な事なのです。
しかし韓国は、このフッ化水素の行方を明確にしませんでした。
この結果、日本は韓国をホワイト国からの除外せざるを得ない状況になったというのが真相です。
軍事情報包括保護協定(GSOMIA・ジーソミア)破棄
変化を余儀なくされたアジアの安全保障政策
当記事を更新している最中、韓国は日米韓の間で結ばれていた軍事機密協定GSOMIAの破棄を発表しました。
徴工用問題、慰安婦問題からホワイト国の除外措置によってこじれた日韓関係は、この韓国の決断によって一線を超えたと言えます。
日米韓の間での軍事情報を共有するGSOMIAの破棄は、アメリカの反感も買う事になります。
韓国側は北朝鮮がGSOMIAの破棄を要求していたことを発表しましたので、韓国は事実上日米の民主主義国ではなく、中国北朝鮮の独裁軍事国家との連携を強めた事になります。
このアジアの安全保障環境の変化は日本にとっても防衛戦略の変更が必要となります。
GSOMIAの破棄によって事実上、日本の国防の最前線が朝鮮半島を南北に分けている38度線から、対馬に後退してしまったのです。

画像: Twitter
これは日本周辺の地形ですが、韓国が中国、北朝鮮に呑まれてしまえば、日本にとっては大きな脅威となる事は言うまでもありません。
韓国の北朝鮮への融和政策は、事実上日本にとっての国防ラインが後退する事を意味するのです。
GSOMIAの破棄は、韓国の暴挙としか言いようがないのですが、韓国側にとってもデメリットだらけのこの判断には首をかしげる他ありません。
韓国の社会主義化と日本
第二次世界大戦が集結後、日本領土であった朝鮮半島は社会主義国であるソ連と資本主義国であるアメリカによって分割統治される事になります。
そして、米ソの代理戦争が朝鮮半島にて行われました。これが朝鮮戦争です。
1953年7月にこの朝鮮戦争は停戦協定を結びますが、実は現在も戦争は終わっていません。
あくまで、停戦中なのです。
その後韓国は、アメリカの影響下で民主主義国として経済発展を遂げました。
西側諸国と共に発展し、世界から民主主義国との認識があった韓国ですが、新北朝鮮派の大統領、文在寅誕生と共に、韓国は一気に北朝鮮への融和政策に転換したのです。

画像:wikipedia 文在寅(ムンジェイン)大統領
こうした歴史の中、韓国とアメリカの結びつきを嫌う北朝鮮は、従来からGSOMIAの破棄を要請していました。
GSOMIA破棄の発表を受けて中国も韓国の決断を支持する事を表明しています。
文在寅率いる韓国は今、独裁国家に迎合し、北朝鮮のような社会主義を根底とした南北統一も現実味を帯びてきました。
こうなってしまえば、日本の安全保障政策は憲法改正や核シェアリングすらも真剣に考えて行かなければならなくなります。
日本の安全保障政策について
第二次世界大戦期、日本は台湾や朝鮮、中国を統治していました。
このうち朝鮮半島統治には、ソ連の脅威を緩和する思惑もあったのです。
日本の安全保障を考える上で、真上の朝鮮半島が敵国化してしまう事はリスクだったのです。
現代においては、戦前のように帝国主義的な支配における防衛政策は現実的に不可能です。
また、隣国支配はデメリットに溢れています。
私が今考える日本の防衛政策は、経済成長しかありません。
かつての経済大国化、貿易立国化を目指して平和を維持していく石橋湛山のような経済政策が今こそ必要なのです。
一方で防衛費に関しては、日本の東アジアの脅威に対して少なすぎる水準ですので、GDPを拡大する事で防衛も拡大する事が必要です。
そして、最終的には憲法改正を行い自分の国を自分で守るしくみを整える事が必要です。
ただ、今はやはり経済成長とともに失われた20年から脱却して、この間の遅れを取り戻すことが喫緊の課題です。
でなければ、いくら憲法を改正したところで、戦争の抑止力としての国力が発揮できないのです。
とにかく経済成長による国力の引き上げが必要な今、消費税の増税を行なっている場合ではありません。
残念ではありますが10%への消費税率の引き上げは決定した今、消費へのダメージを打ち消す金融政策、再分配政策が即急に必要なのです。
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