経済 財政政策

財政政策とは?【わかりやすく解説】

 

・ 財政政策って具体的に何をするの?

・財政政策の目的は?

・景気との関係についてわかりやすく知りたいです!

 

本記事はこんな疑問を解消します。

 

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財政政策とは?

 

✔︎ 財政政策とは政府が歳入と歳出を通じて景気を調整すること

✔︎  歳入を拡大(増税)すると景気が冷える

✔︎ 歳出を拡大すると景気が良くなる[/box]

 

財政政策とは、政府が歳入や歳出を通じて経済に影響をおよぼす政策のことで中央銀行が行う金融政策とならぶ経済政策の柱です。

 

財政政策の目的は、支出と徴収を操作することで総需要を管理して景気の拡大や抑制を図ることです。

 

それではさっそく、財政政策の具体的な手法を解説します。

 

歳入と歳出

 

 

財政政策は、:歳入歳出の2つをコントロールして実施されます。

 

①:歳入

 

歳入=国の収入 

 

歳入とは、簡単にいえば国の収入のことで『税収』と『公債の発行』から成り立っています。

 

画像:令和2年度予算案(国税庁HP)を基に筆者作成

 

税収 ・・・ 約6

公債発行による収入・・・約3

その他・・・約1

 

それでは、税収と公債発行を少しくわしく見ていきましょう。

 

:税収の内訳 

 

所得税   所得に対して課税

消費税   消費に対して課税

法人税   利益に対して課税

 

これら税制の創設や撤廃、税率の上げ下げなどは財政政策に含まれます。

 

:公債発行 

 

 

国民からの税収で足りない分の国家予算は、公債(日本国債)を発行し、国内の金融機関に買ってもらうことで資金を調達します。

 

建設国債

公共事業費や出資金・貸付金の歳出に充てるために発行する国債

 

特例国債(赤字国債)

 建設国債を発行しても、なお歳入が不足すると見込まれる時に、政府が公共事業費以外の歳出に充てる国債。

 

それでは、これら税収と国債発行によって集めた資金を景気の調整や国の成長の為にどうやって使うか?

 

財政政策の見せ所である歳出について説明します。

 

②:歳出

 

歳出=国の支出 

 

歳出とは、簡単にいえば国の支出のことで、下記の内容から成り立っています。

 

画像:令和2年度予算案(国税庁HP)を基に筆者作成

 

財政政策における歳出のポイントは国(国民)にとって有効にお金を使うことです。

 

歳出の方法は多岐に渡ります。

 

●:社会保障費

病気や老後の、社会的リスク発生時に分配する歳出

 

●:公共事業費

民間に任せていては最適量までの生産が行われない、インフラストラクチャー(社会資本)整備

 

●:文教および科学振興費

教育や科学技術発展への歳出

 

●:防衛費

軍事機器の購入や、自衛隊員の人件費等、国防の為の歳出

 

いくつもの歳出の方法の中から、一体どうやってお金を使えば国が豊かになるのでしょうか?

 

次は財政政策と景気の関係について解説します。

 

財政政策と景気

 

財政政策と景気の関係をざっくりとしますとこうなります。

 

積極財政(減税・歳出増)▶︎景気拡大

緊縮財政(増税・歳出減)▶︎景気縮小

 

例えば、日本はバブル崩壊以降に苦しんだデフレ不況下では、国内の消費や投資が停滞するため、本来であれば積極的な財政政策が必要でした。

 

しかし、日本政府の財政政策は緊縮的な方向にいき、さらには金融政策にも失敗しました。

 

これによって失われた20年と呼ばれる経済停滞期が日本を覆ってしまったのです。

 

デフレ不況では国民が消費や投資をしなくなってしまうため、政府が国民に代わって財政支出によってお金を使う必要があります。

 

これを財政出動といいます。

 

 

ただ、デフレ不況下での財政出動がデフレ脱却に効果があがるには金融緩和政策が実施されていることが前提となります。

 

なぜなら金融緩和をともなわない財政出動を実施するとマンデルフレミング効果によって財政出動の効果が無くなってしまうからです。

▶︎▶︎マンデルフレミング効果について詳しくはこちら

 

一方で金融緩和政策が実施されていれば、財政出動は大きな景気拡大効果を発揮します。

 

この流れを言いかえれば日本銀行が発行したお金を政府が国民に配るということです。

 

そうは言っても日本は借金大国では?と思った方はこちらの記事をご覧ください🔻 

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日本の財政政策

 

ここからは今の日本で特に効果的な歳出方法を3つに絞って紹介します。

 

①:減税

 

日本ではバブル崩壊以降、消費増税や公共事業の削減を中心として緊縮財政が実施されてきました。

 

これは、GDPの約6割をしめる個人消費を停滞させてデフレ不況の深刻化につながりました。

 

デフレ不況を明確に脱却するまでは、消費税を中心とした減税や、国民への給付金配布によって積極的な財政支出が必要です。

 

②:防衛費の増強

 

日本の防衛費は、GDPの1%にとどめるといった目安があり、長らく防衛費を削減してきました。

 

これは先進国の防衛費と並べても全く足りていません。

 

特に現代の日本は、米中新冷戦の最前線に位置しています。

 

隣の大陸の中国では年々軍事費を増強し、台湾有事もささやかれており、東アジアのパワーバランスは大きく変化しています。

 

画像:アジア3国の軍事費

 

現代日本の安全保障はかなり不安定化しており、防衛費への投資が必要です。

 

参考記事:日本の安全保障について

 

 

③:インフラ投資(公共事業)

 

災害大国の日本では、防災対策を中心としたインフラ投資が必須です。まだまだ、国内の耐震化や堤防、治水ダムの完備などが足りていません。

 

政府財務省が緊縮財政を続けてきた結果、インフラ投資を削減し、高速道路等の老朽化も進んでいます。

 

画像:公共投資額の推移

 

公共投資を削減している場合ではありません。

 

予測されている首都直下型地震や、南海トラフ地震による対策としても、インフラ投資はすぐにでも必要なのです。

 

まとめ

 

:財政政策とは歳入と歳出を通じて経済に影響を与える政策

 

:歳入は国の収入(税収・公債発行)

 

:歳出は国の支出(給付金・防衛費・公共事業など)

 

:積極財政には景気浮揚効果、緊縮財政には景気後退効果がある

 

:積極財政は金融緩和政策とセットで実施するとデフレ脱却効果を発揮する

 

:日本経済に必要な財政政策は、金融緩和政策をともなった積極財政政策

 

:現代日本に特に必要な歳出を挙げるとすれば・減税・防衛費・インフラ投資の3つである

 

 

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コウタ

『日本の未来を応援するブログ』の管理人です。私が生まれて育った日本が、千代に八千代に美しく豊かな国でありますように。

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