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GPIF運用資産は過去最高の177兆円
このところの日経平均株価の上昇は、私たちの老後をつくる年金の財源にも好影響を及ぼしています。
GPIF運用資産は過去最高177兆円、内外株高が寄与-10~12月期
占部絵美、小田翔子更新日時
運用収益はプラス6.29%の10兆3528億円-3四半期連続プラス 積極的なスタンス、リスクを落とす感じではない-三菱UFJ国際投信世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2020年12月末時点の運用資産額は177兆7030億円で、19年末の168兆9897億円を上回り過去最大となった。
新型コロナウイルス感染拡大に対応した財政出動や金融緩和を背景とする国内外の株高が寄与した。
GPIFが5日公表した運用状況によると、10-12月期(第3四半期)の運用収益はプラス6.29%の10兆3528億円。
3四半期連続のプラスで、収益率としては過去4番目、収益額は3番目の高水準となった。
当記事では、このGPIFのニュースについて解説します。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)とは?

そもそもGPIFとは何かを簡単に解説します。
GPIFは
年金積立金の一部を株式や債権で運用する行政法人
の事です。
実は私たちが老後の生活の為におさめている年金の一部は、株式や債券によって運用されています。
そのポートフォリオは2018年度末現在、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%という状況です。
年金積立金の一部が株式や債券にて運用されている割合などについてはさまざまな意見がありますが、2012年のアベノミクス開始以降の株高によって私たちの老後の年金財源が拡大していることは事実なのです。
『株高は一般国民には関係がない』という批判

2012年末から開始された経済政策『アベノミクス』から2021年2月現在にいたるまで、日経平均株価の上昇が続いています。
この株高の理由は日本銀行によるマネタリーベースの拡大、すなわち積極的な金融政策が背景に存在します。
2012年当時は、このような批判がマスメディアから声高に叫ばれました。
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株価が上がっても、株を持っていない一般国民には関係がない
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株価の上昇は、株を持っている資産家と一般国民の貧富の差を拡大させる
もっと言えば、マスコミは事実の1部を切りとった偏向的批判を展開していました。
年金運用で過去最大損失 GPIFで14.8兆円が溶かされていた
公開: 更新:どう落とし前をつけるつもりなのか。
公的年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が1日、2018年10~12月期の運用実績を公表。
なんと14兆8039億円の赤字だった。
利回りはマイナス9.06%。
7兆8899億円の赤字を出して大問題になった15年7~9月期を大きく上回る過去最大の損失額だ。
GPIFが抱える150兆円資産の約1割が、わずか四半期で消えてしまった。
この記事だけを見ると、GPIFの運用によって私たちの年金は大きく損失を被った印象をうけます。
しかし実際はこうです。

このグラフを見ると、アベノミクスが本格的に開始された2013年から、株高によるGPIFの運用益が拡大していることがわかります。
GPIFの運用で損失があった一時期を切りとって、国民の不安を煽るマスコミの報道姿勢には疑問が残りますが、日本国内でも少しづつ株価と景気の関係が認知されてきました。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、業種間の経済格差が深刻な昨今ですが、今こそアフターコロナの株価と景気を見据えた大胆な経済政策が必要なのです。
GPIFのポートフォリオについて
2013年、大胆な金融政策が開始されてからながらく株高が続いてきました。
株高政策と並行して2014年には、GPIFのポートフォリオが変更されて、国内株式や外国株式の比重がアップされました。

これによってアベノミクスの株高政策と連動するように、年金の積立金が拡大しました。
ただ、このポートフォリオの組みかえに関しては賛否両論があります。
これは、株式での運用比率が高ければ高いほどに、株が暴落したときの運用損失は当然大きくなってしまうからです。
このGPIFのポートフォリオは、時代に合わせて変化させていくことが必要です。
景気循環の中で不景気に突入した時には、国債での運用比率を高めることで、損失リスクを抑えるのです。
まとめ:日本の年金制度と経済
最後に日本の年金制度と景気に関して簡単に説明します。
そもそも現代日本の年金制度は積立方式ではなく賦課方式を採用しています。
賦課方式では、少子高齢化や人口減少という社会問題の前ではどうしても不利になってしまいます。
もちろん積立方式にもインフレに弱いなどのデメリットはあるのですが、日本の年金制度を段階的には積立比率を増やしていく必要が指摘されています。
また、株高と年金財源が関係しているようにマクロ経済と年金制度も大きく関係しています。
日本政府と日銀が的確な経済政策を実施してGDPが拡大すれば、株価の上昇による財源の確保はもちろん、雇用が生まれることで年金徴収額も増加します。
また経済の先ゆきが明るくなれば、そもそも少子高齢化にもストップがかけられ、消費拡大から税収が増加し、子育て手当給付金などの財源確保にもつながります。
年金制度は年金数理という緻密な計算式のうえで、制度自体が崩壊しないように設計されていますが、経済が縮小していってしまえば、当然として老後の受給額が減少してしまいます。
すべては経済を拡大して国民が豊かになっていく政策が大切なのです。
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