購買力平価(PPP)と為替レート【5分でわかりやすく解説】

 

本記事ではこんな疑問を解消します

購買力平価ってなに?

購買力平価から為替レートを推測するには?

 

購買力平価とは?

購買力平価
為替レートの変動要因を各国の購買力の観点から予測する考え方

 

 

購買力平価は、『ある時点の同じ商品は、ひとつの価格になる』という『一物一価の法則』を前提とした考え方です。

 

購買力平価には主に2つの考え方があります。

 

絶対的購買力平価

2国間の為替レートは通貨の購買力によって決まる

 

相対的購買力平価

2国間の為替レートにはインフレ率の差が反映される

 

これらを簡単に解説します。

 

①:絶対的購買力平価

 

絶対的購買力平価
『為替レートは通貨の購買力(物を買える力)で決まる』という考え方

 

絶対的購買力平価説をシンプルに表現すればこうなります。

 

アメリカで缶コーヒーが1ドルで買える

日本では同じ缶コーヒーが100円で買える

この時の為替レートは1ドル=100円である

 

ただ、絶対的購買力平価には、少し欠点があります。

 

それは、絶対的購買力平価の算出には貿易で取引される以外のもの(例えば電力や医療など)は含まれておらず、各国の物価水準も考慮されないため、相対的な観点を欠いてしまうのです。

 

そこで『インフレ率の差』を取り入れて、より広い視野から購買力を考えた仮設が次に説明する相対的購買力平価なのです。

 

ビッグマック指数について

各国の購買力を比較するときに例に上がる指標にビッグマック指数があります。

世界中でほぼ同一の品質のものが販売される『ビッグマック』の価格は、各国通貨の購買力を比較するのにふさわしいと考えられました。

ビッグマック指数ランキングはこちら▶︎世界経済のネタ帳

 

②:相対的購買力平価

 

相対的購買力平価説
為替レートは2国間の物価上昇率に影響を受けるという考え方

 

【補足記事】

▶︎インフレーションとは?【図解でわかりやすく解説】

 

例えを単純化して表現すればこうなります。

 

日本のインフレ率は一定である

アメリカのインフレ率は上昇している

インフレによってドルが減価し円高ドル安になる

 

インフレ率を加味すると、絶対的購買力平価のみで考えるよりも包括的か観点から為替レートを推測することが可能となります。

 

購買力平価と為替レート予想

 

それでは、為替レートを予想する時の購買力平価の考え方を解説します。

 

一物一価の購買力平価を前提とすれば、為替レートは通貨の購買力に修正をしていくこととなります。

 

例えば、絶対的購買力平価の例にあげた

 

・アメリカで缶コーヒーが1ドルで買える

・日本では同じ缶コーヒーが100円で買える

 

この時に現実の為替レートが1ドル=110円だったとします。

 

そうすると、現実にはドル円レートが購買力平価よりも円安に傾いている状況であることがわかります。

 

この場合、為替レートは購買力平価の100円まで円高の圧力がかかり続けると考えられます。

 

また、インフレ率を考慮すれば為替レート予測の精度が向上します。

 

例えば、バブル崩壊以降の日本はインフレ率がマイナス(デフレーション)だったために、為替レートは外貨に対して円高の圧力がかかり続けました。

 

【参考記事】▶︎【デフレーションとは?】わかりやすく解説

 

つまり、シンプルに為替レートと購買力平価の関係をまとめるとこうなります。

 

為替レートは各国の通貨の購買力に向かう

インフレ経済 ▶︎ 自国通貨安方向

デフレ経済  ▶︎ 自国通貨高方向

 

本記事では5分で購買力平価を理解して為替レートの予測に活かしてもらえるように単純化して解説していますので、計算式等は省略しています。

 

購買力平価をFX(外国為替取引)に活用する方法

 

結論からいえば購買力平価は 

短期的な為替レートの値動きの予測には不向き

といえます。

 

だからといって、購買力平価が為替レートの推移予測に活用できないかといえば、そうではありません。

 

時間軸を元にした為替レートに影響することは以下の通りです。

 

短期  要人(中央銀行総裁など)の発言

中期  金融政策による金利差

長期  購買力平価

 

このように購買力平価はその性質上、長期的な為替レートの予想には活用することができます。

 

なぜなら、2国間の為替レートは本来の物価と購買力にむけて現状のレートを修正する力が働くからです。

 

▶︎グラフの元データはこちら

 

これは国際通貨研究所が公表している購買力平価(赤・緑・水色)と実勢為替レート(紺)の推移です。

 

実勢為替レート(紺)が、各購買力平価から大きく乖離した時には、各購買力平価まで向かって戻しています。

 

これは、購買力平価が長期的な為替レートの推移を予測する上で極めて重要だということを示しています。

 

また少し話はそれますが、為替レートの長期的な予測をする上でもう一つだけ重要なことがあります。

 

為替レートとは2国間の通貨の交換比率のことです。

 

ですから長期的な為替レートは、2国間の通貨の発行総額から計算が可能です。

通貨の発行総額をマネタリーベースベースと呼びます。詳しくはこちら▶︎▶︎【マネタリーベースとは?】図解でわかりやすく解説

 

例えば、ざっくりと2021年現在のドル円レートで考えてみます。

 

日本円の総額は約500兆円

アメリカドルの総額は約4兆ドル

 

日本円の総額を米ドルの総額で割り算すれば、1ドルあたりのおおよその交換レートが出てきます。

500÷4=120

つまり、今の2国間の通貨総額からは、1ドル120円が妥当という計算です。

 

2021年5月現在の実際のドル円レートは110円ですから、今の通貨量を前提とすれば長期的にはドル円レートは120円に向かって圧力が加わり続けていると考えられます。

 

通貨量を調整するのは、各国の金融政策です。

 

また、相対的購買力平価で使用するインフレ率を調整するのも金融政策の役割です。

 

つまり為替レートを予測する上では、2国間の金融政策と通貨量を確認することが必要です。

 

【補足記事】▶︎【金融政策とは?】わかりやすく解説

 

 

まとめ

 

:絶対的購買力平価は、2国間の為替レートは通貨の購買力によって決まるという仮説

 

:相対的購買力平価とは、2国間の為替レートにはインフレ率の差が反映されるという仮説

 

:ビッグマック指数とは、各国の購買力を比較する際に使われる

 

:購買力平価は長期的な為替レートの予測に活用できる

 

長期的な為替レート予測をする時には

2国の購買力

2国間のインフレ率の差

2国の通貨発行総額

2国の金融政策

 

この4つを必ず確認する。

 

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