
・インフレはなぜ起こるの?
・インフレになると景気はどうなる?
・インフレ期の資産運用について知りたいです!
本記事ではこんな疑問を解消します。
インフレーションとは?
インフレーション(インフレ)とは物価が持続的に上昇することで、その判断には消費者物価指数が使用されます。
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インフレの原因
結論からいえば、インフレがおこる原因は主に2つです。
インフレの主な原因
- 世の中のマネーの量が増えている
- 世の中のモノの量が減っている
それぞれ解説しますね。
世の中のマネーの量が増えている
前提として物価はモノ(サービス)の量とお金の量のバランスによって決まります。
つまりインフレは、世の中のマネーの量がモノよりも上回っている時におこります。
なぜなら、マネーの量が拡大していけばモノに希少性がうまれて、世の中の需要がモノに向かうからです。
なので、継続してお金の量が増えている世の中はインフレになりやすいのです。
参考
マネーの量は中央銀行の金融政策によって調節される
世の中のモノやサービスの量が減っている
反対に、モノの量が減っていくことでもインフレは発生します。
例えば、戦争によって国の生産力がダメージを受けてしまった時にはインフレに見舞われるケースが多発しています。
これは、モノの生産量が減ってしまって人々の需要がモノに向いているために起こってしまうのです。
インフレのメリット
インフレのメリットは、大きくわけて3つあります。
インフレのメリット
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消費の拡大
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雇用の改善
- 経済成長
この3つのメリットはつながっていますので、理由も含めてひとつづつ解説しますね。
メリット①:消費の拡大
インフレ下では、物の値段が来年の方が高くなる環境のため、『欲しい物を安いうちに買っておこう』という心理がはたらきます。
結果として国内の消費の拡大するため、企業はさらに値上げに踏み切って利益を狙うのです。
ポイント
インフレによって売上などの業績が上がりやすくなる
メリット②:雇用の改善
インフレによって消費が拡大すれば、企業の利益が上がります。
そうなれば企業のもつ資金は、生産力を高めるための設備投資や人材投資に向かいます。
結果として失業率の改善や賃金の増加がおこって雇用が改善します。
ポイント
インフレは仕事の数が増えて給料も増えやすくなる
メリット③:経済成長
経済成長とは一般的にはGDP(国内総生産)が拡大することをいいます。
GDPは国民の所得の合計であり、国民の消費の合計です。
つまり、インフレによって消費と所得が増えるということは、GDPが拡大して国民所得が増えて豊かになるということです。
またGDPが拡大すると税収が増えるため、国内インフラの改善や安全保障の強化につながります。
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ポイント
インフレは税収を増やし国内環境が整備される
インフレのデメリット
インフレのデメリットは、大きく分けて2つあります。
インフレのデメリット
- 現金価値の低下
- ハイパーインフレによる経済停滞
デメリット①:現金価値の低下
インフレはモノの価値があがり、お金の価値がさがる現象です。
ですから、お金を現金のままで持っているとお金の実質の価値は低下することになります。
そのため、インフレ経済下では現金を株式などの資産にかえて運用すると良いでしょう。
デメリット②:ハイパーインフレによる経済停滞
デメリットのふたつめは、過度なインフレが起こった場合の経済停滞です。
ハイパーインフレでは現金の価値が下がりすぎてただの紙切れのようになり、あらゆる物が国民に行き渡らなくなってしまいます。
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そのため中央銀行は、経済がハイパーインフレに陥らないようにマネーの量を調整する必要があります。
適正なインフレ率
適正なインフレ率を定義するとすれば、雇用が最大化するインフレ率です。
このインフレ率の下限を『NAIRU(ナイル)』とよび、日本ではインフレ率が2%前後と言われています。
2%あたりで日本の完全雇用は達成されて、これを超えても、物価上昇だけが進んでしまうということです。
参考
完全雇用とは
労働の意思と能力のある者がすべて働いている状態のこと
金融政策を用いて、NAIRUのあたりに物価を安定させる方法が、世界標準の経済政策です。
日本のインフレ率
画像出典 世界経済のネタ帳
これは1980年から2021年までの日本のインフレ率の推移です。
90年代以降の日本のインフレ率は極めて低く、0%を切るデフレ型の不況に悩まされました。
このバブル崩壊以降の日本の経済停滞は『失われた20年』と呼ばれています。
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日本と世界のインフレ率
次は世界と見比べてみましょう。
これは、先進主要国のインフレ率の推移をグラフ化したものです。
たしかにどの国も高度成長期にくらべてインフレ率の伸び率こそ低下して来ていますが、インフレ率が明確にマイナス圏に突入したのは日本だけなのです。
これは日本銀行による金融政策がうまく機能していなかったということです。
金融政策の波及経路
金融政策によって中央銀行が発行するお金のことをマネタリーベースと言います。
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ここからはマネタリーベースの拡大によって景気拡大が起こるまでのメカニズムを簡単に解説します。
画像:岩田規久男元日銀副総裁講演資料を基に筆者作成
これはマネタリーベースの拡大から物価上昇を通じて景気が拡大するまでの流れです。
さらにインフレと好景気は下記のように循環します。
金融政策について詳しくは下記リンク記事をご覧ください。
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インフレと資産運用
2013年から始まった大胆な金融政策によって、マネタリーベースは急拡大されました。
▶︎▶︎大胆な金融政策をわかりやすく解説
それに牽引されるように雇用の改善や資産価格の上昇が起こります。
インフレ率こそ目標には達成できていませんが、資産価格の上昇は資産を運用している多くの投資家にとって大きな利益を生み出しました。
資産運用の方法は大きく3つにわけられます。
①:株式への投資
②:不動産への投資
③:通貨への投資
①:株式への投資
資産運用として多くの方が思い浮かべるのは株式投資だと思います。
投資信託や積み立てNISA、iDeCoなども広義の株式投資に入ります。
また、厳密には違いますが国債や社債などの債券への投資も株式投資に似ている投資方法です。
購入して値上がり益を狙い、株式を持ち続けることで配当収入を得ることが可能です。
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②:不動産への投資
大きな額の資産を運用する場合には不動産投資がおすすめです。
土地やマンションを購入して値上がり益を狙います。
また、土地やマンションを人に貸すことによってインカムゲインを得ることができます。
③:通貨への投資
外国の通貨を購入して値上がり益を狙う方法としては、外国為替証拠金取引(FX)が人気です。
また最近では、どこの国にも属さない仮想通貨(暗号通貨)への投資も盛んで、代表的な通貨として『ビットコイン』が有名です。
まとめ
①:インフレーションは世の中のお金の量が増えるか物の生産力が毀損されることで起こる
②:インフレ率がNAIRUまで上がれば雇用は最大化して景気が良くなる
③:バブル崩壊後の日本では金融政策の失敗によって持続的に物価が下落するデフレが起こった。
④:インフレ下では現金の価値が低下するため資産運用すると良い