目次
日本の安全保障を考える
近年アジアでは
✅中国の軍事大国化
✅北朝鮮の核開発
✅日韓関係の悪化
多くの要因によって日本を取り巻く情勢は日に日に危険度を増しています。
下記は、大まかな世界の軍事バランスの歴史です。

画像:ザ・リバティweb
21世紀の現在では、日本の同盟国でもあるアメリカ合衆国が世界の覇権国家として君臨しています。
果たしてこれからもアメリカの覇権国家が続くのでしょうか?
それとも、中国、ロシア(旧ソ連)が覇権を握るのでしょうか?
現在は、米中貿易戦争と呼ばれる経済的な対立がアメリカと中国の間で起こっています。
この覇権争いの行く末は、日本の安全保障に大きく関わってきます。
当記事では世界の軍事情勢における歴史と現在の日本の戦争リスクに迫り、いかにこれらを回避するかに迫ります。
戦前の日本の軍事力
時は第2次世界大戦前(1941年以前)
上記の表には出てきませんが、実は当時の日本の軍事力と外交力は、実は世界でトップクラスを誇っていました。
大英帝国やフランス、オランダなど、欧米列強によって世界が植民地支配をされていく時代に、日本は他国の侵略を防ぐ為に必死に軍事力と経済力を磨いて来たのです。
第二次世界大戦(大東亜戦争)の敗戦まで、他国からの侵略を許さなかったのです。
日本が明確に欧米列強の仲間入りを果たしたのは20世紀初頭である1904年での、
日露戦争の勝利
です。

画像:Wikipedia
当時世界最高の陸軍を持つロシア帝国に勝利した東洋の小さな島国は、ひときわ世界に大きな存在感を示したのです。
この日露戦争は、日本にとって生存権をかけた戦いでした。
それは、戦争に至った経緯に如実に現れています。
日露戦争までの経緯
日清戦争のに勝利した日本は、清から遼東半島を割譲
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南下政策をとるロシアがフランス、ドイツと共に、遼東半島の返還を要求。国力で劣る日本は受諾。
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清で起こった義和団事件の鎮圧の為に、満州をロシア軍が占領。
日本の朝鮮半島における権益にも危機が迫る。
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日本は、アジア政策を行うイギリスと利害関係が一致して、日英同盟を締結する。
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日露戦争の開戦、日本は勝利を納める。
この日露戦争までの経緯は、日本の安全保障政策を考える上で極めて重要です。
① 朝鮮半島と日本
日本は、南下政策を行うロシアが、満州のみならず、朝鮮半島をも狙っていることに危機感を持っていました。
なぜなら地政学上
朝鮮半島は日本の安全保障にとって極めて重要な場所に位置している
からです。
朝鮮半島がロシアの支配下に入ってしまえば、朝鮮半島が橋頭堡となり、日本は軍事的に極めて不利な状況になってしまいます。
例えば、第二次世界大戦後に勃発した朝鮮戦争では、ソ連軍が朝鮮半島の共産化を目指し、韓国ソウルも陥落しました。
この時、九州では空襲警報が鳴り響いたのです。
朝鮮半島の南側まで敵国に占領されてしまえば、いつでも日本は爆撃を受けてしまう危険があった事は地図を見れば一目瞭然です。

画像:AKIRABO
それだけ、日本にとって朝鮮半島は地政学上で重要な国であり、それは現在も変わりません。
② 日英同盟
当時、日本には世界最強と言われた大英帝国と同盟を結ぶ外交力の高さがありました。
当時のイギリスは、『栄光ある孤立』として、他国との同盟は結びませんでした。
そんな中、日露戦争が迫る日本の外交官、小村寿太郎は、中国大陸における利害関係を共にするイギリスと日英同盟を締結します。

画像:小村寿太郎
当時の日英同盟は世界を驚かせます。
初めて黄色人種国家と白人国家が対等な立場で結んだ日英同盟は、日露戦争の勝利に大きく貢献しました。
この頃の日本は、軍事力と共に外交力も極めて高かったのです。
支那事変と日米開戦
日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦に勝利した日本は、東洋の国で唯一、欧米列強と肩を並べていました。
しかし、日本の南進政策をはじめとする拡大路線は、アメリカと対立する事になります。
南進政策の発端は、日本と中華民国の間に起こった支那事変(日中戦争)にあります。
支那事変が勃発する1937年頃の日本は、朝鮮半島、台湾、満州国を統治していました。

画像 日中戦争前の東アジア勢力図
この頃、日本は中華民国においての蒋介石率いる国民党軍と泥沼の戦争を継続していました。(支那事変)
国民党軍はアメリカ、イギリスから東南アジアを介して軍事物資の援助を受けていた為に、粘り強く抵抗します。
そこで日本は、援助ルート(援蒋ルート)を遮断するために南進政策を開始しました。
ここから、日米開戦への気運が高まり、日本の安全保障は転換点を迎える事となるのです。
日米開戦までの経緯
南進政策をよく思わないアメリカは日本に対して段階的に経済制裁を行う。
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近衛文麿内閣がアメリカとの戦争回避のため日米交渉を始める。
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松岡洋右外相が日ソ中立条約を調印し、ソ連との中立関係を結ぶ事で、ますますアメリカを刺激する事となる。
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さらに日本は南部仏印(フランス領インドシナ南部)に進駐を開始
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アメリカが対米日本資産の凍結と対日石油輸出の禁止を断行する。
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日米交渉も行き詰まり、日米開戦やむなしの状況に向かう
この頃には、かつての日本の外交力の面影もなく、軍部や内閣がそれぞれの思惑に向かってバラバラな政策を進めていました。
そして、帝国海軍による真珠湾への攻撃によって大東亜戦争(太平洋戦争)が開始されます。
振り返れば、日米開戦の皮切りに真珠湾を攻撃した事が既に奇妙でした。
真珠湾攻撃は、当時世界最強の戦闘機と言われたゼロ式艦上戦闘機(零戦)の性能を、アメリカ軍に解析の隙を与えたのみならず、戦線を太平洋全域にまで広げる事となりました。

画像: Wikipedia〜真珠湾攻撃〜
大東亜戦争の敗戦と平和憲法
これらの失敗は、現代の日本の安全保障には全くと言っていいほどに活かされていません。
それは大日本帝国の敗戦によって、日本の安全保障保障政策の大部分がGHQに委ねられた事に起因します。
画像:GHQ最高司令官、マッカーサー
1945年8月15日に、大日本帝国は、連合国軍のポツダム宣言を受諾し、全面降伏します。
この時に、現在の日本国憲法、いわゆる平和憲法が制定されます。
この時、日本は完全に武装を解除され、『平和国家』という無防備な道を歩む事になります。
※その後の朝鮮戦争勃発により、完全武装解除の方針は転換され、自衛隊が設置されました。
しかし、大東亜戦争が敗戦した1945年を境に、日本は軍事大国から経済大国への転換が行われたと同時に、安全保障政策の大部分をアメリカに委ねられる形になりました。
GHQによる日本の占領政策は、日本を2度と軍事大国になせないように、巧妙な武装解除と平和教育を行ったのです。
この時に、日本は世界の覇権国家どころか、東洋のリーダーとしての地位からも転落したのです。
情報戦に完敗した日本
第二次世界大戦が終わり70年以上の時が過ぎましたが、日本は常に他国(主に共産主義国)からの情報戦に完敗してきました。
参考記事:共産主義国のスパイ活動についてはこちら
参考記事にもあるゾルゲ事件や、日本人スパイ尾崎秀実は政府の中枢に入り込み、支那事変の泥沼化や大東亜戦争開戦への世論を煽る為に情報戦に徹しました。
この頃には残念ながら、日本には以前のような外交力が残っていませんでした。
また、戦後の情報戦でも日本は完敗します。
GHQはWIGP(ヴォー・ギルド・インフォメーション・プログラム)と呼ばれる日本国民への洗脳政策に成功しました。
ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(英語:War Guilt Information Program、略称:WGIP)とは、文芸評論家の江藤淳がその存在を主張した、太平洋戦争(大東亜戦争)終結後、連合国軍最高司令官総司令部による日本占領政策の一環として行われた「戦争についての罪悪感を日本人の心に植えつけるための宣伝計画」である。
ウォー・ギルトと略されることもある
Wikipediaより引用
これは、日本国憲法を精神的に補完する形で日本国民の嫌戦思想を完成させました。
いわゆる、戦後レジームです。
日本は、この戦後レジームから脱却できないがゆえに、自らの国を自らの手で守るという国として当然の事さえも困難な状況に苦しんでいるのです。

引用元 広島市ホームページ
これは広島市の平和都市記念碑に掘られた一節です。
『安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませぬから』
この過ちとは、いったい何の事を指すのでしょうか?
原爆投下によって何の罪もない人々を大量に虐殺したのはアメリカですから、本来、私たち日本国民は被害者のはずです。
ウォー・ギルド・インフォメーション・プログラムの効果は今も尚、続いているのです。
私たちにとっての過ちとは、大東亜戦争の敗戦に至るまでに失敗した戦略のミス、情報戦の完敗し、多くの犠牲者を出してしまった事ではないでしょうか?
そして、その過ちを認め未来に活かすためには、ひたすら他国に謝り、武力を放棄するのではなく、2度とあのような悲惨な戦争が起こらないような強い国になるという事ではないでしょうか?
最後に、過去の過ちと現状の軍事バランスから、今後の日本の安全保障政策を考えていきます。
現代における世界の軍事バランス
失われた20年と呼ばれる経済衰退期は、日本が世界第2位の経済大国から転落し、軍事大国中国が台頭しました。
参考記事:失われた20年とは?
日本が経済停滞に苦しむ間に、中国は日本からのODAを受けながら、凄まじい勢いで軍事費を拡大してきました。

画像引用元:日本経済新聞
一方の日本の防衛費は、常にGDPの1%内に抑えて来ました。

2012年から、大胆な金融政策政策によってGDPが拡大し、やや巻き返したものの、防衛費そのものは中国の4分の1程度に留まっています。
参考記事:大胆な金融政策とは?
これは国際戦略研究所が発表した2015年時点の日本と中国の軍事力比較です。

戦闘機の数が多ければ強いとは言い切れませんが、軍事費から考えると2020年現在、日本と中国の軍事力の差はこの時よりも拡大しているとは明白です。
他方でロシアも軍事費を拡大しています。
北朝鮮は核開発や長距離弾道ミサイルの開発を、進めています。
世論に危機感は薄いのですが、私たちの知らない間、日増しに日本の安全保障環境は厳しさを増しているのです。
2012年に、アジアの軍事費が欧州の軍事費を超えました。
これは、世界の軍事バランス変化の決定打と言えましょう。
相対的に、アメリカのずば抜けた軍事力も世界での影響力が年々低下しています。
トランプ大統領は日本に自主防衛の強化を要求しており、いつでもアメリカに守ってもらえる時期は終わりに近づいているのが現実です。
もう一点。
もしも今、日本が中国からの核ミサイル攻撃を受けたとしてアメリカは自国民を犠牲にしてまで中国と戦ってくれるでしょうか?
アメリカがわが身を挺して守ってくれると考えるのは少々無理があります。
繰り返しますが明らかに今、日本を取り巻く安全保障における環境はここ2、30年を境に激変しています。
今こそ、過去の過ちから学び、2度と悲劇が起きないような強い国になる必要があるのです。
日本が安全保障の為にすべき事
これらの歴史と世界情勢に鑑みて今、日本が安全保障の為にすべき事をまとめます。
① 経済成長による国力の底上げ
経済力と軍事力は、基本的に等しくなります。
日本の様に、防衛費がGDPに対して抑えられているのでは尚更です。
まずは、日本が失われた20年と言われるデフレ不況から明確に脱却して、再び世界が羨む経済大国へと返り咲く必要があるのです。
② 自主憲法の制定
どれだけ日本が、経済力の拡大=軍事力の拡大を果たしても、日本が自己防衛をできない国であれば、戦争抑止力を持ちません。
まずは、自分の国を守れるような国にする為に、GHQが作った日本国憲法を改正(もしくは破棄)し、自分の国を守れる憲法を制定する事です。
かつては、欧米列強を恐れさせた日本です。
自分の国を守れるようになった日本に迂闊な事を出来る国は、そういなくなるはずです。
③ 情報戦に強い国民の教育
日本が歴史的に情報戦に負けてきた事実は前述した通りです。
これらに負けない様にする為には、現在のWGIP(ウォー・ギルド・インフォメーション・プログラム)をベースとした、自虐史観教育を正す事が必要です。
その上で、かつてソ連のコミンテルンがメディアや各国の共産党を通して行ってきたスパイ活動を周知して、2度と騙されない様にする眼を養わなければいけません。
永世中立国のスイスを例に挙げます。
スイスは、国家間のいざこざに介入せず常に中立を保つ立場をとっていますが、実は防衛に関しては徹底しています。
決して、『戦争を放棄するので、防衛も必要ありません』という、平和に対する怠慢はありません。
スイスは民間防衛と言われる有事の対処マニュアル本を国民全員に配布しています。

ここには、情報戦がどのように行われるのか、そしてその対処法も詳細に記されています。
戦争には、情報戦が飛び交うのが世界の常識なのです。
最後に
スイスのイメージは
『永世中立国という軍事とは無縁の穏やかな生活をおくる国』
という方も多くいるでしょう。
しかし実態は、軍事、国防に徹底して国民全員をカバーできる核シェルターさえも準備している程に平和を手にする絶え間ない努力をしているのです。
古代から大東亜戦争までの日本も、絶え間ない努力をして、海外からの侵略を防いできました。
しかし、戦後の日本はアメリカの核の傘の元で平和を甘受してきました。
あたかも、当然の事のように。
いつしか日本で
平和国家とは、武力放棄によって完成するという幻想
に浸っていたのです。
しかし、人類がそれぞれの『正しさ』を持っているので、私たちは平和を守る努力を怠ってはなりません。
人それぞれが正しさを持っているからこそ私たちは衝突します。
『もう過ちは繰り返しませんから』という言葉で、相手国側の正しさによって思考が停止していては、私たちは未来に進むことはできません。
今こそ日本は、過去の失敗を日本人自身が分析し、未来に活かす為に私たちは向き合わなければいけないと思っています。
最後に、スイス政府が発行する民間防衛から『武力を使わずに他国を侵略する方法』をまとめた画像を紹介します。

経済力、軍事力、文化力。
そして何より、私たち一人一人が情報戦への知識を持ち、いざと言う時の判断力をつける事が大切だと、わたしは思っています。
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