ベーシックインカムとは?
近年、世界的に「ベーシックインカム」(BI)と呼ばれる経済システムが注目されています。
ベーシックインカム(basic income)とは、最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を定期的に支給するという政策。
Wikipediaより引用
ベーシックインカムを簡単に言えばすべての国民に最低限の生活費を定期的に支給しますよという、ありがたい経済政策です。
フィンランドなど一部の国では、月額7万円を支給するベーシックインカムが試験的に導入られています。
外部リンク:「ベーシックインカム」の実験 フィンランド政府が無条件で月約7万円を配布
さて、労働野対価としてもらえるお金を、政府が無償で国民に配布する事は本当に可能なのでしょうか?
当記事では、日本におけるベーシックインカムの実現やそのメリットに関して考えてみます。
ベーシックインカムの財源は?
それでは、日本におけるベーシックインカムの財源について考えてみます。
結論から言えば、わが国の財源でもベーシックインカムの実現は十分可能です。
むしろベーシックインカムは、2020年現在日本の経済状況であればむしろ歓迎したいほどに効果的な経済政策です。
新型コロナウイルス感染拡大による自粛政策が実施されるなかで、飲食業や観光業にたずさわる方々は極めて甚大な経済的ダメージを受けました。
それに対して、さまざまな給付金や融資政策が実施されましたが、その中でもとりわけ注目された政策は、全国民への一律10万円給付です。
一律10万円の給付は、日本の人口およそ1億2500万人全員への現金給付として、約12.5兆円の財源が必要となります。
さて、借金大国と言われる日本の財政が定期的にこの財源をどうやって捻出すれば良いでしょう?
まずやるべき事は下記の2点です。
✅日本政府は国債を発行して資金を調達する
✅日本銀行は通貨を発行して国債を買いとる
この2つのプロセスを経て、継続した給付をおこない低インフレを形成させます。
この低インフレから、さらなる財源を捻出します。
この一連の経路を単純化して説明します。
①日本銀行が日本円を発行する(金融政策)
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②政府が国債を発行して資金を調達する【財源確保】
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③給付金の提供で世の中に出回るお金の旅行業が増える
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④お金の価値がモノに対して相対的に下がり、インフレがおこる
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⑤国内消費が活発化して名目GDPが拡大する
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⑥名目GDPが拡大することで税収が増える
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財源が増える
このようにベーシックインカムによる定期的な円の給付は国内のお金のバランスを変化させ、消費者のマインドも転換させます。
インフレに転換する事で、名目GDPが拡大しますから結果的に税収は拡大します。
また、インフレが加熱し過ぎて供給力に問題が出そうな場合は、金融政策を引き締めて過度なインフレを抑制します。
必要に応じては、財政政策をも引き締める(給付金額の調整)る対応をおこないます。
ベーシックインカムは日本経済を救う?
平成バブル崩壊以降の日本は、2012年アベノミクスまでの約20年間、失われた20年といわれる長期デフレ不況に苦しんできました。
2020年現在の日本経済は、2019年の消費税率10%への引き上げと、新型コロナウイルス感染拡大によって、国内の消費は激減し、再びデフレ転落への崖っぷちにたっています。
デフレとは、世の中に出回るお金の量がたりないことで国内の消費が停滞して物価がし続けることです。
ベーシックインカムは前述のとおり、給付金を配り続けることで国内のマネー量を拡大します。
つまりベーシックインカムは消費を活発化させる
と言えます。
ベーシックインカムは、ふたたびデフレ転落への危機的経済状況から復活する為に効果的な政策と言えます。
2020年4月、現実に、10万円の一律給付が実施されました。
しかし、一回の10万円給付で足りなければ再給付が必要です。
※ここでいう『足りない』という事は、『物価が上がらない』という事であり、『失業率が改善しない』という事です。
ベーシックインカムとは、このような給付金を政府が保証することであり、日本のように供給力が強い国では経済の活性化に極めて有効な手段と言えます。
ベーシックインカムのデメリットは?
とはいえ、ベーシックインカムは経済がどんな状況でも有効であるかといえばそうではありません。
デメリットももちろんあります。
✅国民が働かなくなるリスクがある
✅過度なインフレに達するリスクがある
ここで、私たち国民の労働力(供給力)について考えてみます。
世の中の物の価値は、モノの量とお金の量のバランスで決まります。
そして、ベーシックインカムは世の中のお金を拡大する政策ですから、基本的には物価が上がり、インフレになります。
ここで注意をしたいのは過度なインフレ、いわゆるハイパーインフレにならないようにする事です。
インフレが行き過ぎてしまうパターンはこのどちらかしかありません。
①お金の量が増えすぎる
②モノの量が減りすぎる
お金の量は、金融財政政策によって調節できます。
ただ、ベーシックインカムによって定期的な最低生活保証が受けられることで、国民の労働意欲が失われてしまってはいけません。
労働意欲が失われれば、国内の生産力自体が低下してしまいますので、過度にインフレが進む一方でGDPが伸び悩んでしまいます。
これでは、インフレだけが進み経済が停滞するスタグフレーションに陥りかねません。
つまりベーシックインカムによる給付額は、国民の労働意欲を大きく損なわない程度に調整する必要があります。
私は、日本では勤労に対する美徳や『やりがい』を重視する風潮があり、ベーシックインカムによって供給力の激減がおこるリスクは低いと考えています。
しかし、当然わが国ではベーシックインカムを実施した事がありませんので、さまざまな指標を確認しながら給付額等の検討、調整を行う必要があります。
まとめ
✅ベーシックインカムの財源は確保できる
✔️ 国債発行による資金調達
✔️ GDP拡大による税収の増加
✅ベーシックインカムのメリット
✔️ デフレ脱却に効果がある
✔️ 貧困格差の是正
✅ベーシックインカムのデメリット
✔️労働意欲(供給能力)の減退リスク
✔️供給力減退によるハイパーインフレ