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トランプ大統領のTwitter停止が巻き起こす世界的混乱
最終的決着がつかないアメリカ大統領選挙の終盤、1/6に大きな衝撃が走りました。
【米大統領選2020】 連邦議会にトランプ氏支持者ら侵入、結果認定が一時中断 4人死亡
アメリカの連邦議会は6日午後、米大統領選の投票結果を認定するため上下両院合同会議を開いた。
州ごとに選挙人団の投票を開票し、ジョー・バイデン次期大統領とカマラ・ハリス次期副大統領の勝利を最終認定する手続きが始まった。
しかし審議が始まって間もなく、ドナルド・トランプ大統領の支持者たちが議事堂に大挙して押し寄せ、「トランプを支持する」などと唱えながら武器を手に議事堂内に侵入した。
(以下省略)
引用元:BBC news
2020年1月6日、アメリカ連邦議会にトランプ支持者とみられる団体が侵入してバイデン時期大統領陣営に対する不正選挙疑惑などに抗議して一部が暴徒化しました。
トランプ大統領はこの時、支持者に対して暴動を扇動したとして、アメリカの大手SNSから強烈な制裁を受けることになります。
ツイッター社によるトランプ大統領アカウント永久停止
トランプ大統領による支持者への扇動の是非は別として、アメリカには更なる衝撃が走りました。
それは、SNS大手であるTwitter(ツイッター)社が、トランプ大統領のアカウントを永久に停止をする措置を発表した事に端を発します。
大手SNSであるFacebookもこれに追随しました。
ツイッター社 トランプ大統領のアカウント 永久に停止と発表
アメリカのツイッター社は8日、トランプ大統領のアカウントを永久に停止したと発表しました。トランプ大統領による最新の投稿内容を詳しく検討した結果、さらなる暴力をあおる危険があると判断したとしています。 ツイッター社は、トランプ大統領のアカウントについて、今月6日にアメリカの連邦議会に大統領の支持者らが乱入して議事堂を占拠し死者が出た事態を巡り、大統領の投稿に重大な規定違反があったとして一時停止していました。引用元:NHK news web
ツイッター社のトランプ大統領に対するこの措置は、世界的な物議を醸しています。
それもそのはずです。
アメリカ国内でTwitter社は、自らの意思を持たないという大前提でSNSとして独占的な地位を確保してきました。
これは、Twitterには好きな事を書きこむ事が出来て、言論の自由が確保出来た空間という建前が存在していたという事です。
しかし今回のトランプ大統領Twitterアカウント永久停止措置に関しては、ツイッター社は明確に自らの意思を実力行使したのです。
また、これらの措置はトランプ大統領のみならず、その支持者にまで強行に実施されました。
これには、世界各国から批判が集まっています。
独仏、トランプ氏のアカウント停止に反対-民間企業が言論の自由制限
Birgit Jennen、Ania Nussbaum
公選された大統領のアカウント完全停止は問題があると独首相は認識 オンラインプラットフォームの公的規制が必要だと仏欧州問題担当相ドイツのメルケル首相
Photographer: Rolf Schulten/Bloomberg
ドイツとフランス政府は、トランプ米大統領のアカウントを米ソーシャルメディアのツイッターが永久停止し、フェイスブックも凍結する対応を取ったことを批判した。
ドイツのメルケル首相は、両社の決定に異を唱え、言論の自由を規定するルールは、民間テクノロジー企業ではなく、立法府の議員が決めるべきだと主張した。(以下省略)
引用元:Bloomberg
この批判は民主主義を掲げる国家としては当然の意見でしょう。
あくまでトランプ大統領による支持者への扇動ともとられかねない行為の是非は別として、このアメリカ大手SNSのトランプ大統領への言論封殺措置はあまりにも行き過ぎと言えます。
批判の声はブラジルからも発せられました。
ツイッター画像をトランプ氏に ブラジル大統領息子、アカ停止に抗議
発信地:ブラジリア/ブラジル [ ブラジル 中南米 米国 北米 ]【1月12日 AFP】米ツイッター(Twitter)がドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領のアカウントを永久停止したことを受けて、ブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領の三男で連邦下院議員のエドゥアルド・ボルソナロ(Eduardo Bolsonaro)氏がツイッターの自身のプロフィル画像をトランプ氏のものに変更して抗議した。
エドゥアルド氏は10日、ツイッターの「独裁主義」を批判し、トランプ氏の画像を「永久に」使用する意向を明らかにした。(以下省略)
引用元:AFP bbnews
また、Facebookへの批判も噴出します。
ブラジル大統領、米FBによる支持者のアカウント削除を批判
2020年7月10日09時50分
7月9日、ブラジルのボルソナロ大統領(写真)は、米フェイスブックが同氏の支持者のアカウントを削除したことを不当な「迫害」行為だと批判した。5月13日、ブラジリアで撮影(2020年 ロイター/Adriano Machado)
[ブラジリア 9日 ロイター] - ブラジルのボルソナロ大統領は9日、米フェイスブック<FB.O>が同氏の支持者のアカウントを削除したことを不当な「迫害」行為だと批判した。
さらに、自身のアカウントにはヘイトスピーチ(憎悪表現)が含まれる投稿はないと主張した。
フェイスブックは8日、ボルソナロ大統領の息子2人と側近が分断を煽るような政治的メッセージを拡散していると判断し、使われているアカウントを削除した。
ボルソナロ氏は、こうしたことは遺憾であり、報道の自由をリスクにさらすと批判した。
ボルソナロ氏の息子と支持者に対しては、オンライン上で反対派を中傷するための活動を行っているとの疑惑が浮上している。
新型コロナウイルスの感染が確認されたボルソナロ氏はこの日、フェイスブック上で単独の定例会見を行った。大統領府によると、ボルソナロ氏は回復しており、症状も悪化していない。(以下省略)
引用元:朝日新聞デジタル
このアメリカの混乱によるSNSでの言論は暗殺による影響は、世界的な規模に発展しようとしています。
Googleの追随とParlerの削除
Twitter社によるアカウント停止発表の後を追ってGoogleが驚くべき事を発表しました。
右派SNS「パーラー」の排除加速 米ITの対応に批判も
スマートフォン画面上の右派新興SNS「パーラー」のロゴ=9日、ロンドン(ゲッティー=共同) 【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領の支持者ら右派に人気の新興の交流サイト(SNS)「パーラー」について、米グーグルやアマゾン・コムなど米IT大手がサービス提供を相次いで打ち切った。
暴力を助長するような投稿への対応が不十分だと問題視したためだ。
反発するパーラーは11日、アマゾンを提訴。米ITの対応には識者らの間で批判もある。(以下省略)
引用元:産経新聞THE SANKEI NEWS
グーグル社は、トランプ大統領支持者が多く集うSNSアプリ『パーラー』をGoogle playから削除しました。
さらにApple社までもが、アップストアから近日中のパーラー削除を発表したのです。
Amazonも歩調を合わせます。
トランプ大統領からパーラーへの道を遮断するということは、事実上トランプ大統領によるネットメディアでの発信を封殺する事を意味しています。
アメリカのネット業界で肥大化した『GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)』が、明確にトランプ大統領という1人の人間の言論を封殺したのです。
これにはさすがにやり過ぎと言わざるを得ません。
アメリカはどこへ進むのか?
If Fascism Ever Comes to America, It Will Come in the Name of Liberalism
「ファシズムがいつかアメリカで台頭するなら、リベラリズムを名乗るでしょう」
これは1975年に、アメリカ大統領であるロナルド・レーガンが発した言葉です。
リベラリズムとは自由主義の事を指しますが、次世代のファシズム(全体主義)は、自由主義を名乗って浸透するという事です。
この方法は戦後から長らく続く、差別反対を叫びながら敵の言論弾圧を行う極左勢力の常套手段です。
レーガン大統領の言葉は、今の世界情勢を見ていると現代をうらなう50年前の予言のように感じてしまいます。
戦前、ロシア革命から世界に台頭した共産主義ロシア革命から世界に台頭した共産主義は、表向きは労働者の自由や平等を掲げて独裁勢力を拡大しました。
ソビエト連邦の崩壊と共に、共産主義は終わったかと思われました。
しかし、まだまだ共産主義的な思想は中国や北朝鮮などの社会主義国はもちろん、先進国各国のメディアや中枢にまで潜り込んでいたのです。
見方を変えれば資本主義は、長い時間をかけて共産主義的な思想を育てて各先進国のメディアや中枢を蝕み、ネットメディアもその例外ではなくなったと言えます。
当然として、黒人への差別は認められるものではありませんが、一方では同じように白人への差別も認められるものではありません。
しかし、現在のアメリカはトランプ大統領や支持者への言論弾圧をはじめとした差別的な措置が、まかり通ってしまったのです。
また、今回のアメリカの混乱の元を辿ると新型コロナウイルスによる感染拡大が根底に存在します。
新型コロナウイルスは皮肉にも共産主義国である中国から発生しているのです。
そして、人的経済的ダメージを大きく受けたトランプ政権は、支持率を大きく落とす事になります。
当サイトのいくつかの記事でも書いているように、経済的な困窮に陥った国は極端な思想に傾きやすくなってしまいます。
戦前の日本がまさにそうでした。
新型コロナウイルスの感染拡大によってアメリカではリーマンショックとは比較にならないほどの失業者が生まれました。
これが、アメリカにアンティファやBLMなどの過激な運動がつけいる隙を作ってしまったのです。
そうした観点で見れば、今回の新型コロナウイルスは、戦後長らく資本主義国が抱えてきた問題を炙り出したとも言えます。
これからもしばらく、アメリカ国内での混乱は続いていくでしょう。
しかし、アメリカがSNSをはじめとする言論弾圧に屈してしまえば、アメリカが育ててきた民主主義が否定されるリスクがあります。
また、アメリカの流れは当然日本にも押し寄せてきます。(既に押し寄せていますが)
私たちは今、新しい形で押し寄せる全体主義を回避できるかどうかの分岐点に立っているのかもしれません。
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