【共産主義とは？】わかりやすく解説。

 

本記事はそんな疑問を解消します。

 

 

 

 

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共産主義とは？

 

共産主義を簡単にいえば富を市民に平等に分配する社会を理想とする考え方です。

 

 

要するに共産主義は、富を共同体へ移動し市民で共有することで格差のない平等な社会をつくろうということです。

 

共産主義は資本主義がつくる格差社会へのアンチテーゼとして生まれた側面もあるのです。

 

共産党宣言とは？

 

18世紀あたりからさまざまな共産主義思想が生まれる中で、マルクスとエンゲルスは『共産党宣言』と呼ばれる文書を発表しました。

 

共産党宣言の要点は以下のとおりです。

 

 

おおよそ現代の共産主義思想は、このマルクスやエンゲルスの思想を土台とした考え方を指します。

 

 

マルクスとエンゲルス

 

共産主義の父とも呼ばれるマルクスとエンゲルスは、共産主義革命のために共に行動しました。

 

左：カール・マルクス　右：フリードリヒ・エンゲルス

 

 

 

この2人の思想をベースとして確立された社会主義思想体系を特にマルクス主義といいます。

 

マルクス主義は革命による資本主義社会の破壊と共産主義社会の実現を目標としました。

 

マルクス主義では、富を集める資本家のことを『ブルジョワジー』と呼び、彼らを打倒する労働者階級のことを『プロレタリアート』と呼びます。

 

 

共産主義の要点

 

それでは、この共産主義社会の要点をまとめとてみます。

 

 

それぞれ解説しますね。

 

①：私有財産の否定

 

共産主義の社会では自由に富（財産）を持つことが禁じられています。

 

なぜなら共産主義の理想とする平等社会を実現するためには、富の偏りがないように市民に平等に分配する必要があるからです。　

 

そのため資本家に自由に富を持たせることが禁れているのです。

 

 

②： 国家や宗教の否定

 

共産主義は究極の平等社会を目指しているため、『国家と国民』という序列の概念を否定します。

 

私有財産の否定において、資本家の富を取り上げるのは国ではありません。

 

共産主義の理想としては、社会のすべての富を全市民が共有するのです。

 

したがって、共産主義思想では人々の事を国民ではなく市民や人民と呼びます。

 

これは宗教に対しても同様です。

 

共産主義は神と人間という序列を否定し、宗教にたいする信仰を禁止しているのです。

 

 

③： 自由競争の否定

 

共産主義では究極の平等を実現するため、資本主義における自由な市場の競争を否定しています。

 

資本主義である現代社会ではさまざまな企業や人々の競争によって発展していますが、競争の結果としては格差が必然的についてきます。

 

資本家に富が集中してしまう為に、平等を目指す共産主義において自由競争は許されません。

 

このように共産主義は、すべての企業活動や利益の分配も計画的に行う徹底した計画経済に行き着くのです。

 

日本共産党とコミンテルン

 

 

日本共産党とは？

 

日本共産党は現在でも国政政党として活動していますが、元をたどれば1922年7月15日に設立されました。

 

同年の11月にはソビエト連邦の共産主義インターナショナルであるコミンテルンの日本支部として参加しました。

 

 

コミンテルンは旧ソ連の世界共産革命を実現するための活動組織であり、日本共産党もコミンテルンの流れを汲んでいます。

 

つまり日本共産党の歴史は日本で共産主義革命を起こして共産主義国家にするというソ連共産党の指令のもとに行動していたのです。

 

1921年にソ連の中央委員会書記長はスターリンに交代したため、コミンテルン日本支部である日本共産党の初期の行動はスターリンの指令によって行われていたことになります。

 

画像：ソ連共産党書記長　ヨシフ・スターリン

 

実際に日本共産党は第2次世界大戦中には日本軍のソ連への侵攻を阻止させるためにさまざまなスパイ工作を行なっていました。

 

日本共産党は終戦後に合法化されて、今では西側諸国の中でも最大規模（党員約30万人）の勢力を保持して国政政党として活動しています。

 

日本における共産主義運動

 

 

一般的に左翼と呼ばれる政治団体や人々が、この共産主義による理想社会を目指す勢力です。

 

 

共産主義思想は暴力革命によって究極の理想の実現を目指す思想であり、過去にはさまざまな過激なテロや事件を起こしてきました。

 

下記は日本の共産主義革命を目指す過激派の有名な活動組織です。

 

 

 

 

歴史を振り返れば、日本の左翼運動は国家を共産主義革命によって共産主義体制に移行しようと試みて来ました。

 

それでは簡単に日本の左翼運動や有名なテロ事件について解説します。

 

 

それぞれ解説しますね。

 

①：安保闘争

 

安保闘争（あんぽとうそう）は、日米安全保障条約の改定に反対する勢力が参加して実施された大規模な反政府運動です。

 

安保闘争にて国会を取り囲むデモ隊

 

反対する勢力は、左翼や新左翼の活動家をはじめ国会議員や労働者、学生まで幅広く含まれていました。

 

60年安保闘争では1人の死亡者と、デモ隊と警官の双方に数百名の負傷者をだしました。

 

当時の岸信介首相がすすめた日米安保の改定は、事実上は日本の同盟国としての格をアメリカと同等にするといった内容から、反米反日を掲げるソ連共産党から反発を受けました。

 

安保闘争を起こした左翼団体にはソ連共産党から多くの資金援助やスパイ工作が行われていたことがわかっています。

 

②：全共闘運動（1968〜69）

 

東京・日比谷の野外音楽堂で開かれた全国全共闘連合結成大会＝1969年9月5日

 

全共闘とは全学共闘会議の略称で、日本の各大学で組織された大学内の武力闘争を行う連合体のことです。

 

中でも東京大学の東大全共闘と日本大学の日大全共闘が有名で、彼らは『実力闘争』を掲げて機動隊にも激しい暴力行為をおこないました。

 

彼らの主張はベトナム戦争の勃発によって過激な反政府・反米・反戦運動に傾倒していくこととなります。

 

東大安田講堂事件は特に有名で、全共闘と新左翼の学生が、東大キャンパスの安田講堂を占拠していた勢力と警視庁が封鎖解除のために激しい衝突が繰り広げられました。

 

この衝突での負傷者は、警察官710名（うち重傷31名）と活動家47名（うち重傷1名）と警察側にも大きな被害がでることとなりました。

 

逮捕者も457名にのぼり、学生のみならず革マル派や中核派など多くの極左団体が取り締まりの対象となりました。

 

③：よど号ハイジャック事件

 

よど号ハイジャック事件は、1970年3月31日に共産主義者同盟赤軍派が起こした日本初のハイジャック事件です。

 

活動家の9人が日本刀や爆弾などで武装し、東京発福岡行き航空機（通称よど号）を乗っ取り、乗客122人、乗員7人の合計129人を人質に取って、北朝鮮に向かうように要求しました。

 

幸いにして死傷者は0人で乗客は全員無事でした。

 

赤軍派は世界同時革命を計画して、北朝鮮に武装根拠地を建設することを目的としていました。

 

 

④：あさま山荘事件

 

あさま山荘事件は連合赤軍の残党によって引き起こされた人質をとった立てこもり事件で、現実にも凄惨な被害をもたらしています。

 

画像:連合赤軍による浅間山荘立てこもり事件（朝日新聞）

 

山荘を包囲した機動隊が質救出作戦を行うも難航し、死者3名（機動隊員2名、民間人1名）、重軽傷者27名（機動隊員26名、報道関係者1名）の被害をだす結果となりました。

 

10日目の2月28日に部隊が強行突入し、人質を無事救出、犯人5名は全員逮捕されました。

 

この事件はテレビで生中継されてNHKの報道特別番組では平均視聴率が50.8%を記録しました。

 

浅間山荘事件は極左団体が起こしたそ事件とその後に発覚した※リンチ殺人事件で、日本の左翼運動は世論の支持を完全に失っていくことになりました。

 

 

共産主義と社会主義の違いは？

 

結論からいえば社会主義とは共産主義を実現するための過程のことで、共産主義の一歩手前の段階のことを指します。

 

 

社会主義とは？

 

それでは社会主義の定義を確認してみましょう。

 

【社会主義（しゃかいしゅぎ）】

①：生産手段の社会的共有・管理によって平等な社会を実現しようとする思想・運動。空想的社会主義・共産主義・社会民主主義など。

 

②：マルクス主義で、資本主義から共産主義へと続く第一段階としての社会体制。

 

各人は能力に応じて働き、働きに応じて分配を受けるとされる。

 

1917年のロシア革命により、1922年に世界初の社会主義国家としてソビエト社会主義共和国連邦が成立したが、硬直化した官僚体制への不満などから1991年に崩壊した。

出典：デジタル大辞泉（小学館）

 

このことからも、社会主義も共産主義と同じく平等な社会を目指す思想ということは分かります。

 

国家の概念

 

 

共産主義と社会主義との違いの具体的な点をひとつ言えば『国家の概念』です。

 

前述したように共産主義では、国と国民という序列（格差）一方で、社会主義では国家の存在を否定はしていません。

 

共産主義は、経済格差のみならず人的な序列をも排する究極の平等社会を理想としています。

 

一方で社会主義は人的な序列までは踏み込まないため、国家主義と共存し得るのです。

 

例えば、アドルフヒトラーが指導したナチスドイツはゲルマン民族優位主義による『国家社会主義』を標榜していました。

 

画像：ナチスドイツ総統　アドルフ・ヒトラー

 

国家社会主義（こっかしゃかいしゅぎ）とは、国家主義に基づいて社会を全面的に統制しようとする思想・運動。

国家が行う上からの社会主義等を指す語句。国民社会主義、民族社会主義とも。

Wikipediaより引用

 

国家によって平等な社会を目指す国家社会主義でも統制経済は避けられません。

 

社会主義的な発想からみれば、自由主義経済では一部の資本家に富が集中してしまうからです。

 

日本では戦前、大日本帝国憲法下での天皇制を激しく批判した北一輝（きたいっき）が、国家社会主義に身を挺しました。

 

画像:北一輝

 

戦前右翼の理論的最高指導者だった北一輝は、天皇について天皇の国民ではなく国民の天皇であるべきだと主張しました。

 

社会主義では天皇と国民との序列を認められないのです。

 

このように左翼と呼ばれる社会主義は、全体主義・統制経済という点で右翼思想とも近い考え方を持ち合わせています。

 

しかし、一口に共産主義の手前である社会主義といえど、過激な国家社会主義や無政府主義から、穏健な民主社会主義までその幅はさまざまです。

 

現代において【社会主義】の言葉は、国家社会主義から共産主義も包括した広義の表現で用いられることが多いです。

 

 

 

保守と革新

 

第二次世界大戦後の日本政治は、長らく保守（右派）と革新（左派）の対立が続きました。

 

保守派＝反共産主義

自由民主党

 

革新派＝社会主義

日本社会党

 

自由民主党は、自主憲法の制定や伝統文化を重んじる保守派政党です。

 

最近では左派的な思想を持つ議員も抱えているものの、保守政党という認識が一般的でしょう。

 

一方で、日本社会党は現在は社会民主党（社民党）と改称していますが、戦後は社会主義思想によって革新を起こしていこうとする保守への対立勢力でした。

（社会党の改称後に、旧民主党（現・立憲民主）に参加した議員も多数あり）

 

実は、日本社会党の中にも右派と左派が存在し、右派では反共産主義の立場を取る者、左派ではマルクス主義を掲げる者まで幅広く存在しました。

 

この対立の流れの中で、リベラルという言葉が日本に浸透します。

 

自由尊重の意味を含むこの言葉は、共産主義などの独裁や統制に一線を引くという意図のもとで左派から生まれたと言われています。

 

リベラルは個人の自由を尊重し、経済的には自由主義経済を推奨するため、保守との対立概念とは言えません。

 

言葉の発生の流れから考えれば、共産主義がリベラルはどちらかというと対立概念と言えます。

 

とはいえ、現代日本においてリベラルという言葉が本来の自由尊重といった意味で使われている事は少ないのも現実です。

 

どちらかといえば、左翼＝リベラルとの認識が強いように思います。

 

まとめ