【21世紀の資本に学ぶ】格差の原因と解消法をわかりやすく解説

格差はなぜ生まれるか?

本記事では、トマ・ピケティのベストセラーとなった著書『21世紀の資本』を基に、こんな疑問にお答えします。

 

『21世紀の資本とは?(要約)』

 

フランスの経済学者であるトマ・ピケティ氏がノーベル経済学賞を受賞した書籍『21世紀の資本』で、世界の格差についての研究が発表されました。

 

この時、世界では格差是正にたいする大きな関心が寄せられました。

 

21世紀の資本の概要を簡単に要約します。

 

✅ピケティらは15年かけて世界の税務データを収集

✅人の収入の伸びよりも、投資で得られる収入の伸びが多ければ格差は拡大

✅格差是正には税制の累進性を高めることと経済成長をすること

 

21世紀の資本は、日本語版で700ページ以上もあり、内容も膨大なのでかなり大雑把な要約とのことをご容赦ください。

 

それでは、格差の原因とその解消法について詳しく解説していきます。

 

格差の原因

 

トマ・ピケティ氏が『21世紀の資本』の中で、過去のデータから格差の原因としてあげている重要なポイントです。

 

r(資本収益率)>g(経済成長率)

この不等式で貧富の差は広がっている

 

資本収益率=不動産や株式、債権などへの投資で儲かる割合

 

経済成長率 =GDP(国民の所得や企業利益の合計)の伸び率

 

つまり、『国民の所得が増える割合よりも株式などの資産価格が増える割合が高いと格差は広まりますよ』ということです。

 

 

 

ピケティが膨大なデータを調べてみた結果、いつの時代も資本収益率>経済成長率となっていますから、(戦後の一時期をのぞいて)格差は拡大しているということです。

 

グラフからは、産業革命から第二次世界大戦以降の世界の高度経済成長期にかけては格差が縮小していることがわかります。

 

ここから、格差問題を解消していくために必要なことがわかります。

 

【補足記事】

▶︎▶︎GDP(国内総生産)とは?【わかりやすく解説】

 

 

格差の解消法

 

格差の解消法のポイントは2つです。

 

税制の累進性を高めること

経済成長をすること

 

この理由を一つづつ解説します。

 

①:税制の累進性を高めること

まずピケティが提案している格差是正のひとつは、資産に対する税金の累進性を高めることです。

 

ここでいう累進性とは、資産が増加するにつれて、対する税率が増していくことで、この課税方法を「累進課税」といいます。

 

この累進課税は、日本の所得税や社会保険料などさまざまな制度において活用されていますが、ピケティ氏は『資本税』に対する累進課税を世界的な規模ですすめる必要性を説いています。

 

「資本税」とは、あらゆる個人の資産を時価で評価して、その資産額から負債を引いた「純資本」をその課税対象としています。

 

『純資本=総資本−負債』

 

その意味では、「財産税」や「富裕税」に類似したアイデアといえます。

 

この税の累進性を高めることによって、給与の伸びを上回る資本収益の1部を、資本を持たない人に再分配することで格差拡大を防ごうという発想です。

 

余談ですが、実は日本でも1970年代には最高所得税率が75%(所得8000万円以上)という時代がありました。

今の最高所得税率が40%(1800万円以上)ですので、その累進性の高さがわかります。

 

しかし日本はこの時期には経済成長をしていたこともあり『一億総中流』といわれ、格差が極めて少ない時代でした。

 

私は、貧富の差とは無関係に課税される消費税を増税する前に、今いちど、累進性を見直してみる必要があると考えています。

 

誤解がないように書いておくと、ここでいう累進性とは単なる増税ではなく、低所得者層の税率を下げて、所得の大きい人への税率を引き上げる、所得に応じた税制ことです。

 

デフレ期に安易な増税をしてしまえば、次のポイントである経済成長ができなくなってしまいます。

 

②:経済成長をすること

 

経済成長とはGDP(国内総生産)が拡大していくことです。簡単にいえばGDPとは、国民の所得の合計ですから、国民の所得が拡大すれば、必然的に格差は縮まることになります。

 

しかし、バブル崩壊以降の日本のように経済が縮小してしまえば、格差は拡大していくこととなり、実際に『一億総中流』といわれた時代はどこへやらという状況です。

 

具体的に経済を成長させるポイントは2つあります。

 

✔️金融政策によって雇用を拡大する

✔️財政政策によって消費を拡大する

 

まずは、失われた20年という経済停滞期の原因となった金融政策を、生産量の拡大にあわせて積極的に実施することが必要です。

 

具体的には、金融政策によってリフレーション(低インフレ)の状況をつくることで国内の雇用を最大化させます。

 

日本において国内の雇用を最大化した状態とされる失業率は2%〜2.5%といわれており、これが実現するインフレ率までは積極的に金融政策をおこなう必要があります。

 

この雇用が最大化するインフレ率のことを『NAILU(ナイル)』と言います。

 

 

【補足記事】金融政策について

▶︎▶︎【金融政策とは?】わかりやすく解説

 

【補足記事】失業率について

▶︎▶︎完全失業率とは?【わかりやすく解説】

 

もう一点、グラフにもあるように経済成長をさせて雇用を最大化するためには金融政策と財政政策の方向をあわせることが必要です。

 

つまり、中央銀行が金融政策によって発行したお金を、国内に循環するように促す必要があるのです。

 

具体的には、上記のように減税政策や国民への給付金などの積極的な財政政策です。

 

つまり、過去のデフレ不況期での消費税率の引き上げなどの緊縮財政は愚策といえます。

 

消費税率の引き上げは、消費の停滞を招きますから、景気は停滞します。 

 

国内の消費の合計と国内の所得の合計は一致しますから、デフレ期での増税はGDPを縮小させます。

 

税収とはGDPに税率をかけたものですから、結局は増税によって税収そのものも減ってしまうのです。

 

2013年から始まったアベノミクスでは、金融政策によって大きく雇用が改善しましたが、消費増税によって国内消費は停滞し、金融政策の効果がもう一つ発揮できずに終わってしまいました。

 

その後2020年には新型コロナウイルス感染拡大によって、さらに国内消費が大打撃を受けることになりました。

 

2021年2月現在、金融緩和政策によって株高が続いていますが、この財政政策をいかに積極的にできるかが今後の日本経済の鍵を握っています

 

ふただび経済成長につなげることができれば、格差は縮小していくのです。

 

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日経平均株価の最高値更新を祝して美味しいお酒を飲める日を心待ちにしています。テクノロジーの発展と豊かで明るい未来を想像しながら、今日も『時代おくれ』を聴いています。