『国の借金』とは?【わかりやすく解説】

国の借金とは

本記事の内容

・『国の借金』のしくみ

・『国の借金』の誤解

・『借金問題』の解決法

 

下記は2021年5月の日経新聞ニュースから引用記事です。

 

財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券を合計したいわゆる「国の借金」が2021年3月末に1216兆4634億円になったと発表した。前年同期から101兆9234億円増え、過去最高を更新した。増加幅は近年10兆~20兆円程度で推移していたが、新型コロナウイルス禍を受けた財政出動で大幅に拡大した。

引用元:日経新聞

 

相変わらず深刻に報道されている『国の借金』ですが、まずは『国の借金』についてを定義しましょう。

 

国の借金とは日本政府が発行する国債のこと指します。

 

日本国債(にほんこくさい)は、日本国政府が発行する公債である。「国債ニ関スル法律」(明治39年法律第34号)に基づいて発行されている。

Wikipediaより引用

 

日本政府は、国家財政を運営する上で必要な資金を税収でまかない、足りない分は国債を発行して財源を調達します。

 

日本政府が発行した国債は、民間の金融機関や投資家に購入してもらいます。

 

 

つまり日本政府にとって発行した国債は、金利を上乗せして返済しなければいけないため『国の借金』というわけです。

 

そしてこの日本国債発行額が拡大し続けていることが『日本の借金大国化は進んでいる』といわれる理由です。

 

借金の貸し手

 

次に気になることは『日本政府はどこから借金をしているか?』ということです。

 

結論からいえば『国の借金』の貸し手は

わたしたち日本国民

です。

 

その理由を解説します。

 

画像引用元:財務省ホームページ

 

これは日本国債の保有者の内訳です。(令和2年末時点)ご覧のとおり、日本国債の保持者の92%は日本銀行や国内の金融機関、公的基金が占めています。

 

それでは、国内の金融機関が日本国債を購入するお金は一体だれのお金でしょう?

 

国内の金融機関は、私たち日本国民の預金や保険料の一部を使って日本国債を購入しています。

 

 

つまり、国の借金の貸し手は私たち日本国民ということです。

 

日本国債の保有者と安全性に関しては、財務省もホームページの外国向け意見書にて認めています。

▶︎外国格付会社意見書要旨【財務省ホームページ】

 

意見書要旨について解説した記事はこちら▼

▶︎▶︎なぜ財務省は緊縮財政を止めないのか?

 

 

国債の保有者を理解すれば、下記のようなニュース記事の『おかしさ』に気づけるでしょう。

 

国の借金、1200兆円突破 1人983万円―昨年末

 

国債と借入金、政府短期証券の残高を合計したいわゆる「国の借金」が2020年12月末時点で1212兆4680億円となり、初めて1200兆円を突破した。財務省が10日、発表した。同年8月1日時点の日本人の人口(1億2333万人)を基に単純計算すると、国民1人当たりの借金は約983万円に上る。

引用元 時事通信社

 

国民一人当たり●●万円の借金

 

経済ニュースでは聞き飽きたようなセリフですが、前項で借金の貸し手について解説したとおりで、言葉は正確ではありません。

 

正確には

日本国債の保有者=政府にお金を貸す債権者

 

✖︎       国民1人当たり983万円の借金

       国民一人当たり983万円を

日本政府貸している

 

ということです。

 

国の資産

 

次は角度を変えて『国の資産』ついて考えてみます。

 

マスコミでは『国の借金』ばかりが取り沙汰されますが、当然日本は資産も持っていますから、これを加味しなければフェアではありません。

 

:国内資産

:対外資産

 

日本がもつ資産を2つの側面から解説します。

 

 

①:日本の国内資産

 

日本は国内に680兆円の資産を持っています

 

それでも

借金の方が多いのだから危ない

と言う意見もあります。(本当は実際に日銀が借金を買い取っていますが)

 

ここで、同じ条件で日本の資産と世界第一位の経済大国アメリカ合衆国の資産とを比べてみましょう。

 

 

 

いかがでしょう?

 

アメリカ合衆国は日本の約4倍の経済規模(GDP)でありながら、資産は日本の約半分しかありません。(とはいえアメリカも金融緩和によって中央銀行が負債を買い取る事ができます)

 

日本が本当に財政危機だというのであればアメリカはもっと早くに破綻するのではないでしょうか?

 

②:日本の対外資産

 

 

次は日本が国外に対してもっている『対外純資産』を見てみましょう。

 

画像出典:ガベージニュース

 

実は日本は

世界で第一位の対外純資産保有国

なのです。

 

 

この対外純資産で、日本は364兆円(2019年末時点)で堂々の世界1なのです。

 

実は日本は超お金持ち国家ということです。

 

この状態で『日本は借金大国』と言うのは少し無理があるでしょう。

出典:財務省ホームページ

 

国のバランスシート

このようにバランスシートは

左側に資産 右側に負債

を明記します。

 

それでは、日本政府のバランスシート(貸借対照表)を見て、国の借金について解説します。

 

このバランスシートは、財務省がホームページにて公表している日本政府の連結バランスシートに、子会社である日銀のバランスシートを加えたものです。

出典:財務省ホームページ(連結財務書類の概要)

 

どうでしょうか?

 

日本政府が持つ負債は確かに大きいですが、一方で多くの資産も持っていますね。

 

また日本政府の子会社である日銀が持つ負債は、金利もつかなければ返済する必要もありません。

 

そして、日銀はその気になれば日本政府の負債である国債を買い取ることもできます。

 

 

日本銀行が金融機関がもつ日本国債を買いとることを『買いオペレーション』と呼び、金融緩和政策として実施されます。

 

 

金融政策とは?【わかりやすく解説】

2019年1月9日

 

実際に買いオペレーションによる中央銀行の日本国債の買い付けは、2013年から開始された経済政策『アベノミクス』で大規模におこなわれました。

 

結果として前述したように、日本国債の保有者の5割が日本銀行となったのです。

 

これらの経緯からも、日本政府が持つ負債だけを声高に叫び危機感を煽るように報道することに疑問を感じます。

 

まとめるとポイントは2つです。

 

① :負債はあるが資産もある

②:日銀は政府の負債を買い取ることができる

 

【バランスシート(貸借対照表)の見方】図解でわかりやすく解説

2020年11月29日

 

増税による返済

それでは、国家財政はこのままでもいいのでしょうか?

 

借金返済のために消費税率の引き上げて、税収をあげる必要があるのではないか?

 

マスコミからはそんな声が聞こえてきます。

 

結論から言えば

借金返済のための増税は必要ありません

 

なぜなら

そもそもデフレ不況下での増税は

国の税収自体を減らしてしまう

からです。

 

デフレ経済下での増税が、税収を減らしてしまう理由を単純化して解説します。

 

税収とは名目GDPに税率をかけて算出されます。

補足記事】▶︎▶︎GDP(国内総生産)とは?

 

しかし、消費税が上がれば国内の消費が抑制されます。

 

すると、名目GDPの6割は国内消費が構成しているため、消費が減退すればGDP自体が縮小してしまうのです。

 

結果として、税収も減ってしまうのです。

 

また、そもそも日本政府の借金とは私たち個人の借金と国の借金とは少し性質が異なります

 

人間はいずれ死を迎えますのでそれまでに借金を完済しなければいけませんが国には基本的に完済の期限がありません。

 

シンプルに表現すれば、国の借金は完済する必要がないのです。

 

一見すると無責任な発言に聞こえますが、財政再建ばかりにとらわれて経済を衰退させてしまえば、それこそ未来の日本国民にたいして無責任と言えるのです。

 

国の借金問題の解決法

 

それでは本題です。

 

国の財政を再建させることが出来るのは、増税、歳出削減といった緊縮財政ではありません。

 

国の借金問題を解決する方法は

経済を成長させること

なのです。

 

例えばあなたに月々3万円の借金(内利払い1万円)があるとします。

 

ただ、その借金の利払い1万円よりも、あなたの給料の伸びが上回れば、その借金は難なく返済することが可能です。

 

これは国の借金も同じことが言えます。

 

つまり、国債の利払い費用よりも名目GDP成長率が上回ることができれば、借金問題は解決できるのです。

 

 

これを、公債のドーマー条件といいます。

 

それでは、どうやって名目GDPを成長軌道に持っていけばいいのでしょうか?

 

そのポイントは2つあります。

 

:日本銀行が適切な金融政策をおこなう

:日本政府が適切な財政政策をおこなう

 

経済を成長させるためには日本銀行による適切な金融政策が不可欠です。

 

日本銀行が金融政策によって、マネタリーベースの量を調節することで、マイルドなインフレーションを形成させます。

 

インフレターゲット政策によって雇用を最大化させることで、マクロ経済に好循環をつくるのです。

 

これをリフレーション政策といいます。

 

補足記事▶︎リフレーション政策とは?【わかりやすく解説】

 

 

GDPを拡大するするために、リフレーション政策と同時におこなうことは日本政府による適切な財政政策です。

 

これによって、日銀が発行したマネタリーベース(通貨供給量)を国内に再分配します。

 

そうすることで国内の消費は喚起され、金融政策の効果が最大化されるのです。

 

財政政策についてさらに詳しくはこちら

▶︎▶︎【財政政策とは?】わかりやすく解説

 

2013年から開始されたアベノミクスも、金融政策の転換には成功し雇用が拡大したものの、財政政策では消費税の増税など緊縮財政をおこなって、不完全燃焼といった結果でした。

 

▶︎▶︎【アベノミクスとは?】成果と課題をわかりやすく解説

 

2021年5月現在、新型コロナウイルス感染拡大にどれだけの財政支出ができるかが、アフターコロナの日本経済に大きく影響するでしょう。

 

国債金利

 

ここまでさまざまな角度から国の借金について検証してきました。

 

とはいえ、なんとなく納得ができなかった方もいるでしょう。

 

そんな方に、日本の財政状況について見るべきポイントをお伝えします。

 

それは日本の国債金利です。

 

もしも本当に日本政府が財政破綻の危機に瀕しているのであれば、日本国債の金利は上昇します。

 

財政危機時の金利の上昇は、ギリシャ危機でも見られた現象であり、マクロ経済の観点からは当然として起こることです。

 

例えば2012年のギリシャ破綻が現実味を帯びてきた頃、ギリシャの10年もの国債(長期金利)は35%を超える水準まで暴騰しました。

 

さて、日本国債の今の金利はどうでしょう。

 

10年もの国債金利(長期金利)は0.1%です。(2019年2月現在)

外部リンク:現在の国債金利はこちら

 

この金利だけを見ても世界の市場は、日本国債を低金利でも運用したい安全資産としてとらえていることがわかります。

 

 


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3 件のコメント

  • 日本政府にお金を貸している(国債を保有している
    に付いての質問です!
    年金は私が支払っている保険としてお金を貸している感じはしたのですが、
    生命保険に加入や銀行に預けるだけでなぜ国にお金をを貸していることになるのでしょうか?
    すいませんm(_ _)m頭がポンコツなもんで、

    • ナイトブラック様

      良い質問をありがとうございます^_^

      日本政府は国債を発行して、民間銀行や生命保険会社、現在は日本銀行にも買ってもらう事で財源を得ています。

      つまり民間の生命保険や民間銀行は政府の発行する日本国債によって、資金の多くを運用しているのです。

      例えば生命保険の資産の50%から60%は公社債(日本国債や他方自治体が発行する地方債)と言われています。
      民間銀行も、私たちの預金を融資や投資(日本国債も含む)に回す事で利益を上げています。

      つまり、私たちの預金や保険料➡︎金融機関が変わって国債で運用➡︎実質は、私たちの預金や保険量が国の財源になっているという事です。

      よりわかりやすい記事に出来るように改善してゆきますので、為になったと思ったら是非拡散をお願いします^^

      • なるほど見るのが遅くなり返事が遅れましたm(_ _)m
        (*ÒωÓ*)ムムッ!!何とか理解しました
        つまり借金は私たち国民がほぼ全て買って居るんですね!
        ニュースによる借金があるとかはほんと酷いもんですね…

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