
・なぜ税金は上がり続けるの?
・どうすれば国の借金問題を解決できる?
・緊縮財政がおこなわれる理由をわかりやすく解説してほしいです!
本記事はこんな疑問を解消します。
本記事の結論
- 財務省は緊縮財政に尽力している
- 日本の財政は健全
- 財務省の目的は権限の強化
目次
財務省の緊縮財政
結論からいえば、財務省は日本の財政が危機的なものではないと理解しながらも増税による緊縮財政をすすめています。
その理由を財務省の主張をまじえてわかりやすく解説します。
財務省の公式見解
下記は、財務省が過去に発表した外国の格付け会社への意見書であり、財務省のホームページで確認することができます。
外国格付け会社宛意見書要旨
貴社による日本国債の格付けについては、当方としては日本経済の強固なファンダメンタルズを考えると既に低過ぎ、更なる格下げは根拠を欠くと考えている。
貴社の格付け判定は、従来より定性的な説明が大宗である一方、客観的な基準を欠き、これは、格付けの信頼性にも関わる大きな問題と考えている。
従って、以下の諸点に関し、貴社の考え方を具体的・定量的に明らかにされたい。
(1)日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。
(2)格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。
例えば、以下の要素をどのように評価しているのか。・マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国
・その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている
・日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高
財務省は、日本の財政は強固なものであると言っているのです。
今も国債の消化状況や、外貨準備高はこの当時と変わりません。
さらに財務省はこう続けます。
近年自国通貨建て国債がデフォルトした新興市場国とは異なり、日本は変動相場制の下で、強固な対外バランスもあって国内金融政策の自由度ははるかに大きい。
更に、ハイパー・インフレの懸念はゼロに等しい。
財務省は膨れ上がる『国の借金』によって国家財政が危ないと喧伝していますがそれはあくまでも国内用です。
しかし財務省は外国格付け会社宛意見書要旨からもわかるように、国民にはメディアを通して財政危機をあおる一方で、国外には日本の財政は強固なものであると発信する、二つの顔を使い分けているのではないでしょうか?
財務省の主張を検証する
財務省といえば、上層部やキャリア官僚と言われる人達は東大法学部卒など狭き門をくぐり抜けてきたエリートです。
そんな頭の良い人たちが言うことだからやはり正しいのでは??
私もそう思っていました。
そこで、今財務省が子供達向けに作成した教材をもとに、その主張を検証します。
借金で穴埋め?
確かに1990年から税収は明確に停滞していますが、その理由はこの2つです。
①:デフレ不況への突入によって名目GDPが停滞した
②:89年に導入した消費税の増税路線と日銀の金融引き締め政策よって消費が停滞した
じつは税収が減った1番の原因は税収を増やす為に行った増税路線だったのです。
財政を家計に例える?
前述のとおり、日本政府の借金は外国から借りているわけではありません。
財務省は私たち日本国民から借りているのです。
家計に例えるならば、息子がお父さんからお金を借りているようなものです。
さらに、政府は子会社である日銀が通貨発行権を持ちます。
つまりお父さんは自由にお金を発行できる力があるのです。
国家財政を家計で例えるのはナンセンスとしか言いようがありません。
国民一人あたりの借金?
『700万円/人』の意味がわかりません。
国民はお金を貸している債権者です。
日本国民が日本政府にお金を貸しているのです。
なので、いざとなれば日本政府の子会社である日本銀行が通貨を発行して国民に配ればいい話です。
大量通貨発行の副作用は過度なインフレです。
しかし近年の金融政策によって300兆円以上のマネタリーベース拡大を実施しましたが、日本は未だに明確なデフレ脱却を果たしていません。
つまり、まだまだ日本銀行は通貨を発行する余地があるのです。
一兆円のイメージ。
なんの為にこの表現をしたのでしょう?
根本的な問題をごまかしている?
公共サービスへの支出を絞ることはデフレ不況には良くありません。
参考記事:財政政策とは?
借金の利息が高くなるといいますが、今の日本国債の利息は歴史上類を見ないくらいに低金利です。
言うなれば、現在の日本政府は超低金利でお金を借りられるのです。
とっとと経済成長して、名目GDP成長率(収入の伸び)が国債金利(借金の金利)を上回れば良い話なのです。
財政再建はそれで完了します。
参考記事:日本の財政問題を解決する方法
財務省が緊縮財政を行う理由
財務者はかつてこんな発言も取りざたされました。
以下は産経新聞ウェブ版記事からの抜粋です。
「国民を甘やかすことになる」
消費税引き上げを主張する財務官僚たちへの怒号と罵声が炸裂
財務省はとくに、再増税に慎重な議員に集中して押しかけた。同省幹部は、ある若手議員に再増税をしきりに訴えたという。
「社会保障費が膨れ上がる中、消費税率がこんなに低いのは、国民を甘やかすことになる。経済が厳しくても10%に上げるべきだ」
若手は「景気はかなり悪い」と反論すると、財務省幹部は「景気は回復していきます」と楽観論を振りかざした。その言いぶりは、まさに「上から目線」だったという。
出典:産経ニュース
「国民を甘やかすことになる」
この発言は財務省の発言として事実と確信できるほどに強力な力で緊縮財政をすすめています。
彼らは緊縮政策で国民を困窮させる事を何とも思っていないのでしょうか?
さて、いよいよ核心です。
財務省はなぜ執拗に緊縮財政を進めるのでしょうか?
1番の理由は
徴税権の拡大
です。
財務省は徴税権を拡大することで、みずからの権力を拡大することができます。
権力を拡大することで、以下のようなことが容易にできてしまいます。
権力拡大の目的
- 天下り先の確保
- 徴税権の拡大
- 予算編成権の拡大
それぞれ解説しますね。
①:天下り先の確保
消費税の増税を実施しながら特定の企業や業界に軽減税率などの措置を付けることで、その業界に恩を売ることができます。
ここから、財務省エリート層は大企業に天下り先を確保するルートが作られます。(※事実、財務事務次官など財務省の上層部は名だたる大企業の役員に天下りをしています。)
あるいは消費税の増税を実施する一方で、法人税の引き下げし、経団連などの財界に利するような措置を行う事で天下り先を確保することも可能です。
つまり、財務省は緊縮財政を行う一方で特定の業界に甘い汁を吸わせる事で、権力を誇示しながら省益を確保するのです。
私は、財務省の人たちのすべてを批判したり、彼らのすべてが国民の事を考えていないという気はありません。
日本を思う立派な方もたくさんいらっしゃるのも理解しています。
しかし、組織としての財務省は日本経済の未来や国民のことには全く関心が無いのだと思っています。
②:徴税権と予算編成権の拡大
財務省の権力の源泉は
徴税権と予算編成権
にあります。
つまり、緊縮財政は財務省の権力の拡大につながるのです。
・国税庁による徴税権
財務省の下部組織に国税庁、さらにその下には国税局と税務署があります。
彼らは徴税の警察権力を保持しています。
脱税を取り締まる組織として活躍していますが、この脱税におけるシロかクロは、グレーゾーンが極めて大きいのです。
極端な表現をすると、財務省(国税庁)がクロと言えばクロなのです。
当然、この取り締まりの対象は、政治家も例外ではありません。
・予算編成権
資本主義社会において、財布を握る事は権力の頂点に立つことを意味します。
▶︎参考記事:資本主義とは?
財務者主計局は、国家予算を各省庁に振り分ける権限を持っており、権力の大きさを想像することはそう難しくはないでしょう。
また、財務省は政治家をサポートする側面を持ちます。
例えば、国会の予算委員会での答弁は財務省の官僚が考えています。
法律を緻密に理解している政治家はほとんどいないでしょう。
緊縮財政はこれら2つの権力の増大を通して財務省の権力を拡大することができます。
緊縮財政によって歳入が減り、予算分配の希少性が高まれば、徴税権と、予算編成権を持つ財務省がでかい顔をして霞ヶ関に君臨し続けることができるのです。
なぜ、財務省の権力は強大なのか?
第2次安倍内閣では、2度の増税延期局面では財務省と戦う報道もチラホラと目にしました。
しかし残念ながら2019年10月、消費税率10%への引き上げが実施されました。
参考記事:消費税10%への増税は日本経済を破壊する
なぜ増税への流れは止まらないのでしょうか?
原因は以下のように推測されます。
①政治家の経済への理解が乏しい
政治家に、基本的なマクロ経済政策の知識があれば日本の失われた20年は消え、自殺者数の激増という惨憺たる結果を作る事は無かったでしょう。
参考記事:失われた20年とは?
この政治家の知識不足という深刻な問題がある為に、彼らは職務の遂行を役人に頼らざるを得ないのです。
かれらは、官僚のサポートなしでは国会答弁すらまともに行えないでしょう。
それだけのサポートと引き換えに、ある意味では政治家より強大な権力を保持しているのです。
②徴税権と予算編成の保持
前述したとおり、財務省の強大な権力のもうひとつの理由はふたつの権力が強大であることです。
何より、この2つの大きな権力を1つの省庁に集約してある事が真の問題なのです。
私たちは、選挙で政治家を選ぶ事はできますが官僚を選ぶことはできません。
ひとたび強大な権力を持つ官僚組織が緊縮財政に邁進すれば、国民の民意をもっても困難となってしまうのです。
緊縮財政を止める方法
それでは、この財務省を中心とした緊縮財政を止める方法はないのでしょうか?
これは、強すぎる財務省の権限を縮小させることで可能です。
具体的に言えば歳入庁を創設することで、1つになっている歳入と歳出を明確に分離するという事です。
既に歳入庁は海外の国で創設されています。
海外で歳入庁を持っている国
米国、カナダ、アイルランド、イギリス、オランダ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ハンガリー、アイスランド、ノルウェー
歳入庁の創設は権力の分離だけでなく、世界的の風潮である税と社会保険料の徴収一元化も効率化する効果があります。
しかし、徴税権という強大な権力を保持したい財務省としては、権力の分散となる歳入庁の創設に大反対するのは言うまでもありません。
今までも国会では、歳入庁創設の案が出ては消え、出ては消えを繰り返しているのです。
このように、根深い権力構造も影響し日本は未だに緊縮財政から脱却できていません。
これは、私たち国民側にも責任がないとは言えません。
もともと日本人には「清貧の美徳」という美学、美的感覚を持っています。政府が公共投資を行う際にも
「バラマキだ!」「無駄を減らせ!」
そんな批判が四方八方から飛んできます。
また、基本的な経済政策への知識がないために、緊縮政策に迎合し、それを推進する政治家を選んでしまう事も大きな原因の1つです。
いくら強大な権力を持つ財務省でも、民意を無視することは出来ません。
私たちは増税路線真っ只中の今、改めて正しい経済を学んでいく事が必要なのです。
