
・失われた20年って何のこと?
・失われた20年ではどんなことが起こったの?
・失われた20年の原因は?わかりやすく知りたい!
本記事ではそんな疑問を解消します。
目次
失われた20年とは?
失われた20年とは、バブル崩壊後の1993年頃からアベノミクスが開始された2013年頃までの日本経済の長い停滞期を指します。
失われた20年では大きく分けて3つの経済現象が起こりました。
チェックリスト
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物価の下落
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雇用の悪化
- 自殺者数の増加
それぞれ解説しますね。
①:物価の下落
平成バブル崩壊から、日本の物価が継続して下落する『デフレーション』と呼ばれる状態に突入しました。
失われた20年の原因はすべてこのデフレーションにあったといっても過言ではありません。
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②:雇用の悪化
デフレーションは失業率・賃金・倒産などの雇用指標を著しく悪化させます。
理由は、物価の下落によって企業の利益が減少するからです。
雇用の悪化は国民の困窮に直結するため、失われた20年とは国民が貧しくなった20年とも言い換えることができるのです。
③:自殺者数の増加
デフレ不況下では、職を失って経済苦による自殺が急増しました。
それまで2万人前後だった自殺者数は97年に3万人を超えて、その後もアベノミクスが開始する2013年まで、3万人を超えつづけるという悲惨な状況になりました。
失われた20年の原因
結構からいえば、失われた20年の原因は2つの経済政策の失敗にあります。
2つの政策の失敗
- 金融政策の失敗
- 財政政策の失敗
それぞれ解説します。
①:金融政策の失敗
失われた20年の1番の原因は、政府日銀による金融引き締め政策にあります。
参考記事▶︎【金融政策とは?】わかりやすく解説
そもそも平成バブルの崩壊の原因自体が日本銀行はバブルつぶしと称して実施した金融引き締めにありました。
バブル末期に日本銀行は、政策金利の急激な引き上げによって、世の中に出回るお金を吸収して、資産価格の上昇を抑えようとしたのです。
出典:news picks 片岡剛士著
これは平成バブルから崩壊、そして失われた20年に突入するまでの政策金利の推移です。
日本銀行は、資産バブルを抑えるために2%程度だった公定歩合(政策金利)6%まで急激に引き上げました。
この結果、89年に株バブルは崩壊し、91年には不動産バブルが崩壊して、強力な金融引き締め政策の成果が目に見えてきました。
その後、じわじわと増え続ける日本企業の不良債権とアメリカのドル安政策によって、95年前後から日本の円高デフレ化は、その輪郭をハッキリさせてきます。
さすがにまずいと感じた日本銀行は、この頃から公定歩合を引き下げましたが時は既に遅かったのです。
日銀はゼロ金利政策を実施しながらも、明確な金融引き締め政策からの転換ができず、日本のデフレ不況は深刻化していったのです。
本来、平成バブルは資産価格の異常な暴騰であり、その分野の税制を改定するだけでよかったのです。
金融引き締め政策と同時に、②:財政政策の失敗が日本の不況に拍車をかけることとなります。
▶︎▶︎金融政策とデフレの関係はこちら
②:財政政策の失敗
失われた20年を作った2つ目の原因は、財政政策の失敗でした。
1989年、株価がピークを迎えたその年に、消費税が日本で始めて導入されました。
消費を抑制させる消費税の増税は、金融引き締め政策に拍車をかけ、バブル景気の崩壊から、失われた20年への入り口を確固たるものにしました。
消費税率3%を導入した竹下登元総理大臣
画像:文春オンライン
この緊縮財政路線が現在も尚、継続的に実施するされていることはご存知の通りでしょう。
参考記事:なぜ財務省は緊縮財政をやめないのか?
失われた20年の象徴
ここで、失われた20年への突入が明確になった象徴的な出来事をふり返ります。
1997年、国内企業の不良債権が次々に明確になった日本経済の中で、山一證券や北海道拓殖銀行など、名だたる金融機関が相次いで倒産します。
画像:ハフポスト
拍車をかけるように、この年から消費税率が3%から5%へ引き上げられ、国内消費は甚大ダメージを被ります。
これによって明確に日本経済は、世界最下位の低成長率を記録した、失われた20年に突入することになるのです。
失われた20年で失われたもの
これは主要国を中心に抽出した1995年〜2015年までの経済成長率をランキング形式にならべたグラフです。
ご覧の通り、日本は1995年から2015年までの間の経済成長率は、世界最下位です。
もっと言えばこの20年間でマイナス成長を喫したのは日本だけなのです。
実体経済ではその間、リストラが社会問題化して自殺者数は急増します。
特に97年の不良債権問題、アジア通貨危機、そして消費税の3%から5%への引き上げ後の景気停滞期を境に3万人を超えて来ました。
そして、残念ながら自殺者の3万人超えはアベノミクスによる大胆な金融政策が行われる2013年まで続いたのです。
残念なことに、15年間で15万人もの罪のない人々が、経済政策の失策によって命を絶ったのです。
失われた20年からの脱却法
それでは、この失われた20年からしっかりと脱却するにはどうすればよいでしょうか?
答えはシンプルで、失敗した経済政策の逆をやればいいのです。
①:金融緩和政策
②:財政拡張政策
この2つを同時に行えばいいのです。
アベノミクスによって、大胆な金融緩和政策が実施され、失業率は大幅に低下して雇用は急速に拡大しました。
現在のアベノミクスの成果が今ひとつ発揮できずに失敗の道を歩もうとしている理由は、明らかに財政政策の失敗にあります。
つまり、緊縮財政を続けてしまっていることが理由です。
2014年に消費税率が8%に引き上げられ、個人消費は激減しました。
グラフを見ても一目瞭然、過去2回の増税時には個人消費が増税前から比べて大幅に転落したのです。
この緊縮的な財政政策を転換しなければ、失われた20年からの明確な脱却はできないのです。
失われた20年から脱却する為には以下のような積極的な経済政策が必要です。
①:金融緩和によるインフレ目標の達成
②:インフレ目標の達成まで消費税率の減税
③:強力な再分配政策
特に、消費税は日本のGDPの約6割を占める個人消費に大打撃を与えます。
消費税は、所得に対する生活費の割合が高い低所得者層には、極めて不利な税制なのです。
失われた20年や新型コロナウイルスの感染拡大によって、低所得者層(非正規雇用、生活保護者、年金生活者)が大幅に増えた現状では、消費税率は国民の生活に重くのしかかってくるのです。
国内消費の停滞は、デフレ経済を深刻化させて失業率を悪化させます。
インフレ目標が達成できない状況で、消費税率10%という税率は、狂気の沙汰といっても過言ではないでしょう。
繰り返しますが、失われた20年を脱却して日本経済を成長軌道に乗せるには、金融政策と財政政策の双方を拡大することが必要です。
参考記事:リフレーション政策とは?
まとめ
それでは、本記事の内容についてまとめていきます。
①:失われた20年とは、バブル崩壊以降の90年代から2010年代までの日本のデフレ不況のこと。
②:失われた20年では、物価の下落・雇用の悪化・自殺者数の増加が発生した。
③:失われた20年の円高デフレは金融政策と財政政策の失敗で起こった。
④:失われた20年を明確に解決するには積極的な金融政策と財政政策の両方が必要。
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