目次
暗号通貨をわかりやすく解説
ビットコインをはじめとする暗号通貨の価格が大暴騰し、バブルの様相を呈したのは2017年の出来事です。
『仮想通貨』や『デジタル通貨』とも呼ばれる暗号通貨ですが、当記事では、一般的にはまだおぼろげな暗号通貨の正体に迫ります。
暗号通貨の代表格『ビットコイン』
ビットコインは2008年 、サトシ・ナカモトの名前で発表された論文で初めて紹介されました。
翌年の2009年には、世界で最初のビットコインが発行され、運用が開始されました。
こちらは、ビットコインが発行されてから近年に至るでの値動きをグラフ化したものです。
画像:仮想通貨のやさしいはじめ方
2009年、ビットコインと法定通貨の交換レートが初めて提示されました。
この時の価格は日本円にして1BTC(1ビットコイン)約0.07円です。
この価格はビットコインの採掘に必要な電気料金から計算して提示された価格でしたが、わずか約8年後には史上最高値である235万円に到達しました。
8年間の間で、実に3357倍にまで価値が上昇したのです。
やや強引な比喩ですが、ビットコイン開始時に、0.07円で1万円分のビットコインを買っていただけで3,357万円まで、価値が上昇したという事です。
これだけでも、暗号通貨の価値の上昇がどれだけ凄まじいものであったかが理解頂けると思います。
ビットコインとアルトコイン
暗号通貨は、広義にはビットコインとアルトコインに分かれます。
世の中にはビットコインの他にも無数の暗号通過が存在していますが、ビットコイン以外の暗号通貨すべてをまとめてアルトコインと呼美ます。
アルトコインは、次々と世の中に生まれていますが、代表的なものを紹介します。
暗号通貨の時価総額ランキング『2019.7月現在』
時価総額1兆円以上
1位 【BTC】ビットコイン(18.3兆円)
2位 【ETH】イーサリアム(2.3兆円)
3位 【XRP】リップル(1.3兆円)
時価総額1兆円以下
4位 【BCH】ビットコインキャッシュ(542億円)
5位 【LTC】ライトコイン(528億円)
6位 【LSDT】テザー(426億円)
この他、暗号通貨取引所コインチェックが流出させてしまったネム(XEM)をはじめ、その種類は無数に存在しています。
上記のランキングを見ても、ビットコインは群を抜いてポピュラーな暗号通貨として君臨しています。
2017年のバブル崩壊後、下火になっていた暗号通貨ですが、アメリカのFacebook社が発表した暗号通貨Libra(リブラ)が近年話題となり、再び取り引きが活発になってきました。
暗号通貨のしくみ
中央銀行が存在しない
通常の通貨、例えば日本の【円】は日本銀行によって発行されています。
そして、その通貨の供給量、つまり中央銀行が行う金融政策によって世の中の物価が決まってくる事は当サイトのさまざまな記事で紹介しました。
しかし、ビットコインと言われる暗号通貨のほとんどは、中央銀行のような発行主体が存在しません。
ビットコインを例に取れば、通貨発行はマイニングと呼ばれる取引承認作業による報酬として支払われます。
マイニング(採掘作業)を行なって報酬を得ているマイナーと呼ばれる人たちもいます。
これらの通貨は、暗号通貨理論を元に運用されていますので暗号通貨と呼ばれているのです。
ブロックチェーン技術
暗号通貨を理解するならば、このブロックチェーン技術を知らない訳にはいきません。
ブロックチェーンは、分散型台帳と呼ばれるデータベースシステムで、ビットコインを開発したとされるサトシ・ナカモトによって原型が作られました。
画像:fresh tracks
通常の通貨は、中央銀行が発行主体となって中央集権的に管理されています。
また、電子マネーであれクレジットカードであれ、中央機関である会社が存在します。
一方ブロックチェーンでは、中央機関そのものが存在しません。
通貨の取引データを分散して保管することでセキュリティを強化し、取引データを参加者全員からの可視化を行う事で相互監視システムを構築しているのです。
ブロックチェーンのメリット
① 安全性が高い
中央集権の場合、データは一箇所に集中しています。もし、サイバー攻撃などを受けてしまい、データが消失してしまえば被害は甚大なものとなります。
一方、ブロックチェーンでは一つの台帳が壊れてもデータがすべて消失する事はありません。データベースは分散して管理されているため、安全性が高いのです。
※暗号通貨資産の流出が問題になった事は多々ありますが、これは取引所の管理ミスによるもので、ブロックチェーン技術自体に欠陥があった訳ではありません。
② コストが安い
ブロックチェーン技術は取引を行う人たちすべてが主権者となります。中央機関を置かない事によって、送金や決済の手数料が安価に抑えられます。
これらのメリットを持つブロックチェーン技術は、様々な分野で応用されるための研究が進んでいます。
大手の銀行でも、ブロックチェーン技術を使用して、暗号通貨を発行したり、手数料の削減などの研究がなされています。
暗号通貨は世界共通の通貨となるか?
暗号通貨誕生の由来
暗号通貨構想を初めて提唱したのは、Wei Daiです。
通貨の製造と取引に、中央権力ではなく暗号学を使った、新しい通貨の使用を提案しました。
ビットコインをはじめとする暗号通貨のコンセプトは、国家を超えた通貨の創造でした。
国境を越える共通通貨では、ヨーロッパ連合で使用されているユーロがありますが、発行主体としてECB(ヨーロッパ・セントラル・バンク)が存在しています。
一方で暗号通貨は世界共通通貨として発行主体が存在せず、世界の国のどことでも、そしていつでも送金や決済ができる通貨を目指して発案されたのです。
暗号通貨の未来
暗号通貨は2019年現在、まだまだ投資目的での売買が大半であり、通常の通貨としての使用は限定されています。
この暗号通貨が、世界の共通通貨として使用される未来になる為には、前提と要素が必要です。
発行量の限界
ほとんどの暗号通貨は、発行できる通貨の量が決まっています。
現在、マイニングによって発行されている通貨もいつか限界が来るのです。
つまり、一つの暗号通貨のみで取引される世界となれば金本位制のように、発行される通貨に制限がかかりますので、物価をコントロールできなくなります。
通貨の量に対して、世界中で生産される物の量がどんどん増えて行きますので、世界的デフレ経済に陥ってしまいます。
つまり、このまま暗号通貨が発展を遂げ、一般的に広く使用される事になったとしても、一つの暗号通貨のみで世界共通となることは難しいという事です。
価値の裏付け
さらに、現状では暗号通貨の価値を裏付けする通貨が必要となります。
今現在においても暗号通貨が価値を持つ背景には、各国の通貨と交換できるという現実が存在します。
今、もしも暗号通貨と各国の通貨の交換ができなくなれば、暗号通貨の価値は一気にゼロになるでしょう。
これを克服して、暗号通貨自体が価値を持つには、世界中にどこに行っても使用できる利便性が必要です。
価値・価格の乱高下
また、ビットコインをはじめとする暗号通貨は、値動きがとても激しく、投機対象となっています。
ここも、法定通貨と大きく違う点であり、価格の乱高下が安定化しなければ、決済手段として暗号通貨が拡大していく事は不可能です。
暗号通貨の価格が安定化するには、時価総額、つまり発行数がまだまだ足りません。
ビットコインの時価総額18.3兆円は、一番と言えど、トヨタの時価総額を下回っているのが現状です。
デジタル通貨、リブラ(Libra)への期待
画像:Bloomberg
近年、あのFacebook社が暗号通貨を発行すると発表して話題になりました。
フェイスブック仮想通貨Libra 20年、ビザなど30社参加
フェイスブックの利用者は世界中で約27億人がいると言われ、リブラの管理団体には、VISA、Materなどの大手クレジットカード会社、PayPalホールディングス、ウーバー・テクノロジーズなど名だたる企業約30社が参加しています。
また、リブラの価値は、ドル、円、ユーロ、ポンドの主要な法定通貨に固定相場的にリンクされるので、価格も安定しています。
これらの事から、暗号通貨リブラが現実的に広く決済、送金手段として広まるのではないかと話題を呼んでいるのです。
暗号通貨・リブラへの警戒

まとめ
暗号通貨には、メリットとデメリットの双方があり、根幹にあるブロックチェーン技術には様々な期待が寄せられています。
また、Facebook社が発表した暗号通貨リブラへの期待と懸念も広がっています。
とは言え、暗号通貨が世界の単一共通通貨として機能する事は、現状では非現実的と言えるでしょう。
また、発行数の限界の問題を解決したとしても、ユーロのように、通貨が国境を越える事は、アイデンティティの違いの問題を解決しなければならず非常に難しいのです。EU(欧州連合)の問題点