目次
時価総額についてわかりやすく解説
時価総額とは?
時価総額を単純化していえば『現時点での企業の価値』のことです。
企業の価値といわれても漠然としていますが、この『価値』には売上だけではなく、将来性なども含みます。
計算方法はシンプルで以下のように算出されます。
株価 × 発行済み株式数
時価総額は、ある企業が発行している株式の数にその価値をかけるために、企業価値を表しています。
基本的に株価は日々の取引によって変動しますから、時価総額も日々変動します。
本記事では、この時価総額にわかりやすく解説します。
発行済み株式数とは?
発行済み株式数は、文字どおりで企業がすでに発行している株式の総数のことです。
株式を発行して事業をおこなう資金を調達する企業を株式会社と呼びます。
一般的に株式会社は、資金が必要なときに株式を発行して投資家から資金を調達しますから、事業を拡大する過程では発行済み株式数も拡大していきます。
その事業が成功して利益があがれば、株価も上がっていきますから、時価総額(発行済み株式数×株価)も拡大していくことになります。
一方で、事業で利益があげられずに発行済み株式数だけが増えていくこともあります。
そうなれば、一株あたりの株式の価値はどんどん低下していきますから、時価総額も増えてはいきません。
発行済み株式数が多ければ良いというわけでは決してなく、利益がしっかりと確保できているかを確認する事も重要です。
時価総額のランキング
日本で時価総額がダントツで1位の企業は『トヨタ自動車』です。
その他にも、時価総額の上位にランクインをする企業は誰もが知る有名企業ばかりです。(※画像は2021年2月7日現在)
これらの企業は、株式の発行と株価の上昇を繰り返して時価総額が拡大してきました。
もちろんその過程では大きな利益をあげて事業規模を拡大し、今現在も利益を上げている有良企業です。
こちらはアメリカに上場している企業の時価総額ランキング(※2021年2月7日現在)です。
こちらも私たちの生活にも密接した名だたる有名企業の名前がみられます。
余談ですが、日本1の時価総額を誇るトヨタ自動車も、世界の時価総額では37位(2021年2月7日現在)となっています。
多方でこちらは平成バブルの頃(左)と現在(右)の世界の時価総額ランキングです。
平成元年に日本は『ジャパン・アズ・ナンバーワン』といわれ、日本企業は世界トップの時価総額を誇っていましたが、今となっては懐かしいばかりです。
金融財政政策の失敗によってバブル崩壊後に突入した失われた20年(もしくは30年)がいかに大きな損失だったかがわかると思います。
時価総額と株価の変動
ここからは、発行済み株式数や時価総額を株式投資に活かしていくポイントを解説します。
まず、発行済み株式数と株価の関係についておさえておきたいポイントを紹介します。
①:発行株式数の拡大と株価
②:発行株式数と株価変動
①:発行済み株式数の拡大と株価
発行済み株式の拡大とは、企業が事業に必要な資金を調達するために株式の発行数を増やして、投資家から資金を募ることです。
発行済み株式数の拡大は、今まで株式を持っていた株主にとっては、一株あたりの株の価値が希釈してしまいます。
例えば下の図のように、発行株式を2倍に増やしたとします。
これは株主からみれば、持っている株の価値は半減することになります。
つまり、発行済み株式数を増やすことは、株価下落の要因となります。
一般的には企業が発行株式数の拡大(増資)を発表すると株価は短期的には下落しますが、企業は増資して調達した資金をなにに使うかを必ず発表する義務があります。
この資金の使用用途が先行きのある事業と判断されれば、増資によって株価が上がることもあります。
②:発行株式数と株価変動
基本的に、発行株式数が少ないと株価の変動が大きく、発行株式数が多ければ株価の変動は小さくなります。
発行株式数が少ない株式は、株数自体が少ないこと、市場での認知度がまだ少ないために取引量が少なくなる傾向があります。
株式の取引が少なくなれば、自然と株価の動きが粗くなります。
反対に発行株式数が多く、取引が活発であれば売買の注文自体が多いために、一円単位で多くの注文が出されています。
そのため、発行株式数が多くて時価総額が大きい株価は変動が小さくなり、比較的安定しています。
時価総額と投資方法
それでは、時価総額と株式投資の方法について説明します。
◉時価総額が高い=多くの発行株式×高い株価
▶︎安定性があり長期投資向け
◉時価総額が低い=少ない発行株式×低い株価
▶︎株価変動が大きく短期投資向け
トヨタ自動車など時価総額が大きな有良企業は、倒産のリスクも極めて少なく、安定性があります。
一方で、時価総額が高い有名企業の株式は、ベンチャー企業のように大きな株価の値上がりは見込みづらいです。
株価の値上がりによって大きな利益を得たい場合には、時価総額が低い銘柄を選ぶとよいでしょう。
特に短期的に10倍になる銘柄、いわゆる『テンバガー銘柄』は時価総額200億円以下の銘柄がほとんどと言われています。
また時価総額が低い銘柄は、将来性を買われて大化けすることがよくあるので、長期投資としても有効といえます。
まとめ
✅時価総額は『現在の企業価値』
✅時価総額の計算式は
株価 × 発行済み株式数
✅増益・株価の上昇・株式発行によって時価総額は拡大する
✅株式を発行しても、赤字・株価が下落であれば時価総額は縮小する
✅時価総額が大きい企業は安定性と流動性に優れており長期投資に向いている
✅時価総額が小さい企業は赤字リスクや流動性が低いが大きな上昇が期待できる