・目的はなに?
・メリットやデメリットをわかりやすく知りたいです!
本記事はこんな疑問を解消します。
本記事の結論
- インド太平洋は太平洋とインド洋
- 目的は自由主義国の連携強化
- 安倍元首相が提唱して世界に広がった
目次
自由で開かれたインド太平洋とは?
自由で開かれたインド太平洋戦略とは安倍元首相が提唱した外交安全保障政策のことで、インド洋と太平洋地域の安定と繁栄を促進することを目的としていました。
自由で開かれたインド太平洋は英語でFree and Open Indo-Pacific(略称FOIP)と訳され、アメリカなどの世界主要国でも重要戦略として掲げられています。
具体的には、Quad(クアッド)とIPEF(アイペフ)の2つの枠組みがインド太平洋国家の間で動き始めています。
自由で開かれたインド太平洋の基本
自由で開かれたインド太平洋は第2次安倍政権の次の2つの外交コンセプトを発展させました。
安倍政権2つの外交コンセプト
- 地球儀を俯瞰(ふかん)する外交
- 積極的平和主義
それぞれ解説しますね。
①:地球儀を俯瞰する外交
第2次安倍政権の外交コンセプトでは、地球を見わたす視点からインド洋と太平洋の2つの海を重要視しています。
インド洋と太平洋は経済と民主主義が発展している国々が多くあります。
価値観をともにするインド太平洋の自由主義国との連携が日本の安全保障や世界の安定にとって重要だったのです。
②:積極的平和主義
FOIPの元となった外交コンセプトと2つめは積極的平和主義と呼ばれる概念です。
積極的平和主義とは、自由主義陣営が経済と安全保障分野での協調を強めていこうとする考え方です。
現代世界は自国一国だけでは国の安定は望めません。
経済的繋がりや、軍事的な繋がりを強化して初めて自国として独立を維持できるといっても過言ではないのです。
その国益のためのつながりを自由や民主主義という価値観を共にする国々と連携して高めていく考え方が積極的平和主義といえます。
自由で開かれたインド太平洋の目的
結論からいえば自由で開かれたインド太平洋構想の目的はインド太平洋地域における自由主義国の連携を高めて安定と繁栄をもたらすことです。
この背景には、南シナ海や台湾海峡、日本の尖閣諸島近辺に軍事的進出を高める中国共産党へのけん制の効果もあると言われています。
中国共産党による太平洋への進出をはじめ台湾への軍事侵攻は日々その危険度を増しています。
これらの危険をいち早く察知してFOIP戦略の構想に動いたのが安倍晋三首相だったのです。
自由で開かれたインド太平洋三本の柱
自由で開かれたインド太平洋を具体化するための三本の柱があります。
FOIP三本の柱
- 法の支配、航海の自由、自由貿易等の普及・定着
- 経済的繁栄の普及
- 平和と安定の確保
引用元▶︎外務省ホームページ
この三本の柱は、FOIPの国々が経済面と安全保障の協力をおこなうことで、FOIP全体の安定と発展を目指そうと考えられました。
インド太平洋経済枠組(IPEF)
2022年の5月にFOIPの経済面からの協力を具体化したインド太平洋経済枠組みIPEF(アイペフ)が発足しました。
その参加国にはインド太平洋の14ヵ国が名乗りをあげました。
IPEF参加国
- 日本
- アメリカ
- インド
- ニュージーランド
- 韓国
- シンガポール
- タイ
- ベトナム
- ブルネイ
- インドネシア
- マレーシア
- フィリピン
- フィジー
- オーストラリア
IPEF参加国
IPEFはアメリカのバイデン大統領によって提唱されました。
IPEFの参加国で世界のGDP(国内総生産)の40%を占めるほどにインド太平洋地域の影響力は年々高まっています。
IPEF4本の柱
FOIPとQuad(クアッド)
自由で開かれたインド太平洋戦略として要とも言える安全保障協定としてQuad(クアッド)があります。
Quadとは?
クアッドは、日米豪印戦略対話と呼ばれており自由や民主主義、法の支配といった基本的価値を共有する日本・アメリカ・オーストラリア・インドの4か国の枠組みのこと
QuadはQuadrilateral Security Dialogueの略語で、日本語では日米豪印戦略対話と呼ばれています。
クアッドもまた2006年当時に首相であった安倍晋三氏によって提唱されており、自由で開かれたインド太平洋の中心的な役割をになう枠組みとして活用されています。
クアッドの目的
クアッドの目的は価値観をともにするインド太平洋の4か国が安全保障面での協力をおこなって地域の平和と安定を強化することです。
クアッドは具体的に下記のような安全保障政策に取り組んでおり、その分野は多岐にわたります。
クアッドの取り組み
- インフラ
- 海洋安全保障
- ワクチン
- テロ対策
- サイバーセキュリティ
- 人道支援
- 災害救護
クアッドの目的であるインド太平洋での安全保障への取り組みは、インド太平洋で軍事的野心を高めてくる中国に対抗する役割にも重要性が増してきています。
FOIPのメリットとデメリット
それでは自由で開かれたインド太平洋戦略が日本にとってどのようなメリットとデメリットについて解説します。
FOIPのメリット
日本がFOIPによって得られるメリットは多岐にわたります。
FOIPのメリット
- 貿易の拡大
- 安全保障体制の強化
- 自由主義国家の発展
それぞれ解説しますね。
①:貿易の拡大
FOIP参加国では、自由貿易の促進に協力しています。
自由貿易は貿易のやりとりにかかってくる関税の軽減や撤廃をおこなって両国間の物品の流通を活性化させます。
そのため、自由貿易経済圏では参加国の経済発展が期待できます。
②:安全保障体制の強化
インド太平洋の2つの海には、日本の貿易の重要な道すじとなるシーレーンが多く存在します。
このようにインド太平洋の安全保障は日本にとっての生命線とも言えるわけです。
インド太平洋の国々と安全保障において協力体制を構築することで、日本の生存権を確保できるのです。
③:民主主義の発展
インド太平洋における情勢の中で、自由主義国が連携して発展していくことは民主主義の発展に直結します。
インド太平洋地域には、共産主義政党独裁国家の中華人民共和国が軍事的、経済的に影響力を強めています。
また同じく社会主義独裁国家の北朝鮮も核開発を進め、日本周辺に幾度となく弾道ミサイルを発射しています。
さらに世界に視点を広げると旧ソ連の社会主義思想を引き継ぐロシアが、領土拡張の野心を持ってウクライナの侵略をおこなっています。
このような情勢の中で、最も発展の余地があるインド太平洋の自由主義陣営が結束することで、独裁国家の力による現状変更を許さない力を持つことができます。
FOIPのデメリット
FOIPは多くのメリットを想定して提唱されたものですが、FOIPのデメリットを世界の批判から考えてみます。
FOIPのデメリット
- 東側陣営の反発を受ける
FOIPに反対する意見として聞かれるデメリットはただひとつ、中国や北朝鮮など独裁国家の反発を招いて戦争を起こしかねないというものです。
ただこのような批判は日本国内を含めて共産主義を信奉する左翼系からの主張が多く、日本に対する本当のデメリットとは言えません。
関連記事からもわかるように世界の左翼勢力は、最終的には自国に共産主義国家を樹立することを目標としています。
つまり左翼勢力は自国体制の弱体化を進める必要があるため、共産主義国家に有利なプロパガンダをすすめることが歴史的に証明されています。
プロパガンダとは特定の主義・思想についての(政治的な)宣伝。
FOIPを提唱した安倍晋三元首相
最後に、自由で開かれたインド太平洋構想をいち早く立ち上げた安倍晋三元首相の功績についてわかりやすく解説します。
安倍晋三元首相(左)と菅義偉元首相(右)
安倍晋三首相の功績
- FOIPの提唱と実践
- 雇用の大幅な改善
- 安全保障の強化
それぞれ解説します。
①:FOIPの提唱と実践
ひとつ目の後席は、自由で開かれたインド太平洋構想を提唱し、それを明確に実践していったことです。
基軸となる安倍晋三首相は米国のトランプ大統領との親交を深めて、中国の脅威をインド太平洋地域の重要性をトランプ大統領に認識させました。
オバマ政権までの米国は中国への対応が甘く、中国の南シナ海への軍事的拡大を進めてしまっていました。
さらに安倍首相は、インド太平洋のみならずEUの自由主義国家とも緊密な連携をおこない、日本はかつてないほど世界から注目されたのです。
②:雇用の大幅な改善
安倍首相の2つめの功績は日本の経済、とりわけ雇用情勢を大幅に改善させたことです。
平成バブルの崩壊以降、日本は失われた20年と呼ばれる経済停滞期に転落します。
経済政策アベノミクスによって、日本をその停滞期から脱却させたのが安倍首相なのです。
この政策によって、雇用者数は約300万人が増加しました。
さらに有効求人倍率ではバブル期を超えるまでに高まったのです。
③:安全保障の強化
3つめの功績は、日本の安全保障政策の強化です。
安倍政権の安全保障政策
- 平和安全法制の制定
- 特定機密保護法の制定
安倍政権では集団的自衛権を容認するように法律を改正しました。
集団的自衛権の容認によって、日本の存立が脅かされる事態が発生した場合には、自衛隊は米軍と力を合わせて武力の行使を行うことが可能となりました。
これは結果的に日米同盟の連携を強化して、他国の軍事力行使への大きな抑止力として働くようになります。
また特定機密保護法の制定では、日本の安全保障に関わる重要な機密情報の漏えいについて罰則規定を設けることができました。
特定機密に当たる事項
- 防衛
- 外交
- 特定有害活動防止
- テロリズム
当初は、平和安全法制と特定機密保護法は国内のマスメディアをはじめとする左翼勢力から大きなバッシングを受けました。
平和安全法制では『日本が戦争をできるようになる』や、特定機密保護法では『日本の表現の自由が奪われる』などさまざまなことが言われましたが、結果としてそうはなりませんでした。
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2022年7月8日、選挙演説に立つ安倍晋三首相はひとりのテロリストによって暗殺されました。
日本の未来を応援するブログの管理人として、首相として再登板を期待していたために、この出来事は残念でなりません。心から哀悼の意を表します。
しかし、安倍晋三首相が提唱された自由で開かれたインド太平洋構想を諦めてはなりません。
私たち日本国民ひとりひとりが、日本の未来に向けて真剣に考える時期が迫っているのです。
まとめ
本記事のまとめ
- FOIPはインド太平洋地域の発展と平和を目的として提唱された
- FOIPはQuad(クアッド)とIPEF(アイペフ)の枠組みを中心に動いている
- FOIPは民主主義の価値観を共有する国々の連携を強化する
- FOIPの元は安倍晋三元首相によって提唱された