・メリットやデメリットは?
・日本で導入ができるかわかりやすく知りたいです!
本記事はこんな疑問を解消します。
本記事の結論
- BIは最低限所得保証
- 問題は財源確保でおこるインフレ
- 実現は条件付きなら可能
目次
ベーシックインカムとは?
ベーシックインカム(BI)とは政府が全国民にたいして定期的に一定額の生活最低保障金額を給付する経済政策のことをいいます。
ベーシックインカムの特徴は大きく3つあります。
ベーシックインカムの特徴
- 無条件で一律の金額を給付
- すべての国民へ給付
- 定期的に給付
それぞれ解説しますね。
①:無条件で一律の金額を給付
ベーシックインカムでは無条件で一律の金額を額を給付します。
生活保護のように所得制限などを設けずに、無条件に給付することがベーシックインカムの特徴です。
②:すべての国民へ給付
ベーシックインカムではすべての国民に給付しますから生活保護のように世帯での単位ではありません。
子供から大人まですべての国民に一律で給付することがベーシックインカムの特徴です。
③:定期的に給付
ベーシックインカムは政府がおこなっている経済対策のような一時的な給付金ではありません。
定期的に継続的に、半永久的に給付できるようなシステムづくりを目指しているのがベーシックインカムの特徴です。
BIの3つのメリット
それではBIのメリットを大きく3つにわけて解説します。
BIのメリット
- 貧困や格差の是正
- デフレ対策になる
- 犯罪や自殺者の減少
それぞれ解説しますね。
①:貧困や格差の是正
ベーシックインカムは国民に一律でお金を給付するため、貧困や格差を是正してくれます。
この点でベーシックインカムは共産主義的であるといった批判を受けることもありますが、基本的はベーシックインカムは資本主義社会を前提としたシステムです。
ですから資本主義の欠点である格差を是正してくれる点はベーシックインカムのメリットと言えます。
②:デフレ対策になる
ベーシックインカムはデフレに陥った経済にとって効果的です。
なぜならデフレーションとは、世の中に出回るお金の量がたりないことが原因で起こるためです。
ベーシックインカムは、給付金を配りつづけることで国内のお金の量を拡大するためベーシックインカムは消費を活発化させるのです。
このようにベーシックインカムは、日本のように長期デフレ経済に陥った経済を立て直すには極めて有効な手段といえるのです。
③:犯罪や自殺者の減少
3つめのメリットはベーシックインカムによる貧困の改善が、犯罪や自殺者数の減少につながり社会が安定化することです。
スラム街では犯罪が多発するように貧困と犯罪には相関関係があります。
また経済苦による自殺者数の増加も、日本の失われた20年を見ればわかるように重要な関係性にあります。
画像引用元▶︎失われた20年とは?わかりやすく解説
このようにベーシックインカムによる最低生活保証の支給は社会の安定化につながるメリットがあります。
BIのデメリット
ベーシックインカムのデメリットは大きくわけて3つあります。
BIのデメリット
- 強力な増税が実施される可能性
- 過度なインフレ発生の可能性
- 勤労意欲が低下する可能性
それぞれ解説しますね。
①:強力な増税が実施される可能性
BIのひとつ目のデメリットは給付金の財源を確保するために強力な増税が実施される可能性があることです。
国家財政の収支をまかなうために増税などの緊縮財政が行われ投資や消費が停滞してしまうのです。
そうなると国内に給付したお金が消費から貯蓄に回ってしまうためデフレ経済に転換する可能性があります。
②:過度なインフレ発生の可能性
BIの2つめのデメリットは過度なインフレが発生する可能性があることです。
①の緊縮財政を回避する給付金財源の確保について、もう一つの方法があります。
それは政府が国債を発行して市場の金融機関に買い取ってもらうことで財源を調達する方法です。
日本銀行がその国債を買い取る金融緩和政策をおこなえば日本政府は政府の子会社である日銀から継続的に資金を調達できるのです。
ただ金融緩和にはインフレという副作用があります。
金融緩和はデフレ対策として有効な経済政策であり、雇用が最大化されるインフレ率までは実施が可能です。
この雇用が最大化し、なおかつインフレ率を加速させない失業率をNAIRUといいます。
NAIRU(ナイル)
インフレ率を加速させない失業率の下限のことで日本では2%〜2.5%といわれている
日本の場合はインフレ率が2%を超えていくとインフレだけが加速して経済を停滞させる恐れがあります。
ですから、国債発行にて財源を確保する場合にもインフレが行き過ぎてしまうリスクもあるのです。
③:勤労意欲が低下する可能性
3つめのデメリットは国内の勤労意欲が低下する恐れがあることです。
最低生活保障金額を無条件で提供し続けると、はたらく必要性が無くなってしまうからです。
国民の勤労意欲が停滞すれば国内の産業が衰退して技術発展が望めなくなってしまいます。
なので勤労意欲が低下しないように政府は勤労によって給付額が変化したりしないように配慮する必要があります。
フィンランドでのBI実験導入
完全な導入ではありませんが、フィンランドなど一部の国では、月額7万円を支給するベーシックインカムが試験的に導入されています。
フィンランドでの実験では、失業手当受給者のうちランダムに抽出した2000名を対象に実施されました。
約2年にわたり毎月約6万5000円を支給することでベーシックインカムが受給者の雇用や収入や健康、幸福度などへの影響を分析したのです。
その結果、ベーシックインカムの受給者は生活への満足度が高く、精神的なストレスを抱えている割合が少なく、自分の将来にも高い自信を示しました。
この実験では、仕事によって収入を得ても支給額は減らさなかったため、低収入の仕事でも就くことができて、失業率が低くなると考えられていましたが、効果は限定的な結果となりました。
日本でベーシックインカムは実現可能か?
結論からいえば日本においてベーシックインカムの実現は条件付きでは可能です。
その条件とはたとえば下記のような条件です。
ベーシックインカム実現の条件
- インフレ率が上がり過ぎないように給付の期限を設ける
- 対象者を低所得者などに限定する
- 金額を少額におさえる
ベーシックインカムの実現が難しい理由は、『どうやって給付に回す安定的な財源をつくるか?』という問題があるからです。
たとえば日本で、毎月一律で10万円の給付をおこなう場合には、約12.5兆円の予算が必要となります。
これは年間にすると150兆円です。
2022年の国家予算は当初予算で107兆円となっていますから、月に10万円給付のベーシックインカムを行うとすればこれだけで国家予算を超えてしまうのです。
そこで前述した財源をまかなう方法として『買いオペレーション』と呼ばれる金融政策があります。
▶︎金融政策とは?わかりやすく解説
インフレが起こる仕組み
- 政府が国債を発行
- 日銀が国債を買いとる
- 政府がBIで国民にお金を給付
- 国内に出回るお金が増える
- 消費と投資が増える
- インフレが起こる
低インフレ状態(リフレーション)は消費や投資が活発化して雇用が改善します。
とはいえ前述したとおり金融緩和をやりすぎると過度なインフレに向かってしまうので政府は買いオペによる資金調達ができなくなるのです。
このような理由から、日本でのベーシックインカムの実現は条件付きであれば可能ということです。
ベーシックインカムの条件(例)
- インフレ率が上がり過ぎないように給付の期限を設ける
- 対象者を低所得者などに限定する
- 金額を少額におさえる
まとめ
本記事のまとめ
- BIとは最低生活保障システム
- BIはデフレ、貧困、治安対策になる
- フィンランドでは実験的に導入された
- 日本でBIは条件付きでは可能
- デメリットは財源確保の為の緊縮財政や過度のインフレ