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イールドカーブコントロール(YCC)とは?【わかりやすく解説】

・イールドカーブコントロールって何のこと?

・目的はなに?

・景気との関係までわかりやすく知りたいです!

 

本記事はこんな疑問を解消します。

 

本記事の結論

  • イールドカーブとは利回りと償還期間における関係を示した曲線
  • イールドカーブコントロールは国債金利目標への誘導政策
  • 日本では2016年に開始された

 

それでは金融政策でおこなわれるイールドカーブコントロールについてわかりやすく解説しますね。

 

そもそもイールドカーブとは?

 

イールドカーブコントロールとは金融政策の手法のひとつでイールドカーブの適正水準を維持する政策のことを指します。

 

そもそもイールドカーブって何ですか?

 

それではまずはイールドカーブについて解説します。

 

イールドカーブとは利回り曲線ともいわれており、債券の利回り(金利)と償還期間との関係性を示したグラフのことです。

 

償還(しょうかん)期間

債券は、満期日に債券の保有者に額面金額が払い戻される満期日までの期間のこと

 

金融政策のイールドカーブコントロールでいう債券利回りは国債金利のことを指します。

 

それではイールドカーブ(利回り曲線)にはどんな形があるのかを見ていきましょう。

 

コウタ

 

順イールドと逆イールド

 

イールドカーブには大きく分けて2つの形があります。

イールドカーブの形

  • 順イールド
  • 逆イールド

 

それぞれ解説しますね。

 

①:順イールド

 

順イールド

短期金利 <   長期金利

 

順イールドは、イールド・カーブの形状が右上がりになることをいいます。

 

 

順イールドのときは、長期金利が短期金利よりも高くなることを表しています。

 

 

順イールドは将来の景気が拡大して金利は上がっていくだろうと市場が予想している時に発生することが多いです。
コウタ

 

②:逆イールド

 

逆イールド

長期金利 <   短期金利

 

 

逆イールドは、イールド・カーブの形状が右下がりになることをいいます。

 

 

逆イールドでは短期金利が長期金利より高くなることを表しています。

 

逆イールドは景気が縮小して将来の金利が下がってしまうと市場が判断している時に発生することが多いです。
コウタ

 

画像:国債の期間分類

 

イールドカーブコントロールとは?

 

イールドカーブがなんとなく理解できたところで本題です。

 

イールドカーブコントロールは長期金利と短期金利を誘導することで目標の水準を維持(イールドカーブをコントロール)する政策のことです。

 

金利水準の操作方法はそれぞれ以下のようにして実施されます。

 

①:長期金利

公開市場操作(オペレーション)

 

②:短期金利

日銀当座預金の金利の調整

 

それぞれ解説しますね。

 

①:長期金利と公開市場操作

 

国債長期金利は公開市場操作(オペレーション)によって誘導されます。

 

公開市場操作

中央銀行が金融市場で民間金融機関との間で行う国債等の売買や資金貸し付けなどの取引のことでオペレーションとも呼ばれる。

 

中央銀行が民間金融機関から国債などを買い取ることを『買いオペレーション』民間金融機関に国債などを売却することを『売りオペレーション』といいます。

 

中央銀行が国債を買い取れば国債価格が上昇するため国債金利が低下します。

 

反対に中央銀行が国債を売却すれば国債価格が下がるため国債金利が上昇します。

 

オペレーションと金利

  • 買いオペ▶︎金利は低下
  • 売りオペ▶︎金利は上昇

 

 

 

②:短期金利と日銀当座預金利率の操作

 

国債の短期金利は当座預金預金の中にあるお金にかかる利率を調整することで操作されます。

 

当座預金とは日本でいえば日銀当座預金がそれにあたります。

 

日銀当座預金

金融機関が日本銀行に開設している当座預金のことで、金融機関同士や日銀、国との決済手段などに利用される。

 

日銀当座預金の中にあるお金の金利を操作すると短期国債の金利が変化します。

 

なぜなら短期金融市場では日銀当座預金残高を持つ金融機関は、その当座預金金利を上回る取引きをすることで収益を得ようとするからです。

 

日銀当座預金残高の金利を引き下げると短期市場には利下げ方向に、当座預金残高の金利を上げると短期市場は利上げの方向に向かいます
コウタ

 

イールドカーブコントロール(2016)

日本でイールドカーブコントロールは実質されていますか?

 

それでは最後に2016年に日本で導入されたイールドカーブコントロールについて解説します。

 

マイナス金利政策の導入

 

2016年1月にイールドコントロールに先立ってマイナス金利政策が導入されました。

 

日本銀行はマイナス金利政策で、日銀当座預金残高の1部に−0.1%のマイナス金利を適応しました。

 

 

これは、これから日銀当座預金に積み上げていく資金にマイナスの金利をかしていくことで金融機関に貸し出しを増やしてもらおうという意図がありました。

 

また前述したとおり日銀当座預金内の金利を下げると短期市場には利下げの圧力がかかります。

 

マイナス金利政策によって短期国債の金利は−0.15%まで下落しました。

 

マイナス金利政策についてさらに詳しくは下記の記事をご覧ください。
コウタ

 

マイナス金利とは?【わかりやすく解説】

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イールドカーブコントロール

 

2016年の9月には長期国債金利の上限が0.25%に設けられました。

 

これが一般的に日本銀行が実施したイールドカーブコントロールと言われています。

 

2016年に実施されたイールドカーブコントロールは長期国債の上限が0.25%を超えないように買いオペレーションによって操作されました。

 

これが長短期の国債金利を低く抑えて、大胆な金融政策を支える形となっていたのです。

 

 

まとめ

 

本記事のまとめ

  • イールドカーブとは利回りと償還期間の関係を表した曲線
  • イールドカーブコントロールは国債金利の目標値を設定して誘導すること
  • 長期金利は公開市場操作(オペレーション)によって操作
  • 短期金利は日銀当座預金金利によって操作
  • 2016年からイールドカーブコントロールが開始された
  • 日銀当座預金の1部にマイナス金利が適用
  • 長期金利の上限が0.25%に設定された
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コウタ

『日本の未来を応援するブログ』の管理人です。私が生まれて育った日本が、千代に八千代に美しく豊かな国でありますように。

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