・メリットはあるの?
・推進する理由をわかりやすく知りたいです!
本記事はこんな疑問にお答えします。
本記事の結論
- 緊縮財政とは国家財政の『節約』
- 緊縮財政のメリットは景気の加熱抑制
- デメリットは経済の縮小
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目次
そもそも緊縮財政とは?
緊縮財政とは財政政策の方法のひとつで、財政の支出を抑えることで国の財政状態を安定化させる財政政策のことをいいます。
緊縮財政政策もしくは緊縮財政(英:austerity measures, fiscal consolidation, fiscal austerity)とは、政府支出の削減や増税といった手段で政府の財政を均衡させる試みのことである。
Wikipediaより引用
緊縮財政が実施される背景には、財政支出を抑えることで国の借金が拡大することを防ぎ、国家財政を安定化させることができるといった考え方が存在します。
緊縮財政は必要?
それでは緊縮財政を推進する財務省の主張をもとにその必要性を考えてみます。
推進の理由
- 財政破綻の可能性
- 将来世代にツケを回す
それぞれ解説しますね。
①:財政破綻の可能性
このまま国の借金が増え続ければ、国家財政が圧迫されて最終的に日本が破綻するという主張があります。
それでは日本政府の資産状況をしめすバランスシートを確認してみましょう。
ご覧の通り、日本政府には確かにたくさんの借金がありますが、資産もたくさん持っています。
また、この負債の大部分は国債発行によってまかなわれており、その国債の持ち主は日本国内(国民)です。
日本は外国から借金をしているわけではありません。
いざとなれば、日本政府の実質的な子会社である日本銀行が日本国債を買い取るという方法もあります。(現実に日銀は今も多くの日本国債を買い続けています)
そうなるとバランスシートからは日本政府の負債が図のように縮小します。
日本銀行が持つ負債は、親会社である日本政府が返す必要はありませんので、この事実だけを見ても日本が財政破綻の危機というのは少し危機を煽りすぎだと考えています。
②: 将来世代にツケをまわす
これも良く聞かれる主張ですが、これはそもそもの前提に疑問があります。
それは増税をして税収は増えるのか?ということです。
結論から言えば、景気が良い時は増税を実施して税収は増えます。
逆をいえば、景気が良くない時は増税によって税収は減ってしまうのです。
これは、単純化した税収の公式を見てもらえばすぐにわかります。
消費税の増税は通常、国際社会では景気を抑制する際に使われる財政政策です。
消費増税は消費を抑制しますから当然景気も冷める事になるのですが、消費が抑制されればGDPも減ることになります。
これでは本末転倒です。
ですから、そもそも消費税の増税で税収が増える環境は限られており、賃金が上がりきっていない日本経済で実施してもリスクが大きいのです。
さらに言えば、少子高齢化によって年金制度など将来を不安視する見方もありますが、これも見当違いです。
税収によって社会保障費などを賄おうとする政策は世界標準からもかけ離れている上に、年金制度は年金数理という数式で緻密に計算されています。
以上のことから、将来世代にツケを残さないための増税は、デフレ下の日本経済にとっては極めて誤った認識なのです。
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国家財政の信認と緊縮財政
国債暴落説もよく聞かれる主張ですが、これに関してはそもそも財務省が過去にホームページにて否定しています。
下記は財務省ホームページからの引用で、下部リンクからご覧いただけます。
外国格付け会社宛意見書要旨
貴社による日本国債の格付けについては、当方としては日本経済の強固なファンダメンタルズを考えると既に低過ぎ、更なる格下げは根拠を欠くと考えている。
貴社の格付け判定は、従来より定性的な説明が大宗である一方、客観的な基準を欠き、これは、格付けの信頼性にも関わる大きな問題と考えている。
従って、以下の諸点に関し、貴社の考え方を具体的・定量的に明らかにされたい。
(1)日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。
(2)格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。
例えば、以下の要素をどのように評価しているのか。・マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国
・その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている
・日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備も世界最高
難しい言葉も多くありますので、かなり単純化してまとめてみます。
要約
あなた方(外国の格付け会社)が日本の国債について格下げした事は、日本国債への評価の客観性を欠いていますよ。
日本国債は、ほぼ日本国内の人や金融機関が持ち、さらに低金利で安定しておりこのような国家が財政破綻など考えられません。
さらに日本は、海外に多くの資産を持っており、その額は世界一です。
しっかりと客観性を持って評価してください。
こんな所でしょうか。
記載があるように実は日本は、対外純資産が長らく世界1位を取り続けており、超お金持ち国家の一面があるのです。
霞が関で緊縮財政を強力に推し進め、国家財政への不安を煽る財務省は、国内向けと海外向けの2枚舌を使っているようにも見えてしまいます。
緊縮財政のメリット
それでは、一方的に緊縮財政を悪者にしてもフェアではありませんから、緊縮財政のメリットについて解説します。
緊縮財政は景気の加熱期や供給ショックによるハイパーインフレ期という前提条件のもとで下記の2のメリットがあります。
緊縮財政のメリット
- 景気の過熱を抑制する
- 税収を増やす
この2つです。
とはいえ緊縮財政の2つのメリットは過度なインフレにおける経済状態という前提条件に限られており、デフレ下での緊縮財政は経済環境に大きなダメージを与えてしまいます。
それではどのような状況下で緊縮財政の効果が発揮されるのかを、さらに詳しく図を使って説明します。
この図は金融政策と財政政策が、何を目指してどのように行なっていくかを示したものです。
ここで、景気の良い状態をすべての国民に雇用が確保されている状態と定義してみます。
この状態を完全雇用と言います。
インフレ率が世の中の雇用情勢を完全雇用に持っていくまでは、金融緩和は前提として積極的な財政支出が必要です。
日本で完全雇用が達成できるインフレ率は2%〜2.5%と言われていますがらこのインフレ率を超えて景気が過熱しそうになった時が緊縮財政の出番なのです。
ですから、日本では久しくお目にかかっていませんが、景気が過熱した時には緊縮財政のメリットが発揮されるでしょう。
緊縮財政のデメリット
すでに、デフレ下での緊縮財政のデメリットはたくさん紹介しましたので、ここでまとめてみましょう。
緊縮財政のデメリット
- 消費の低下
- 雇用の悪化
- 所得の減少
- 格差の拡大
つまり、緊縮財政はデフレ不況を深刻化させてしまうということです。
デフレ不況時の財政政策
それでは、不況時にはどのような財政政策が必要なのでしょうか?
これは日本銀行の金融緩和政策を前提として、減税や給付金政策による積極財政を行うことです。
これをやろうとしたのは、2012年末に開始されたアベノミクスです。
ただアベノミクスは金融緩和政策によって雇用を大幅に改善させたものの、2回の消費税の増税によって、国内消費を抑制してしまいました。
長年のデフレによってお財布のヒモが硬くなってしまっている現在の日本では緊縮財政だけはどうしても避けなければいけません。
コストプッシュ型のインフレが進んでいる今こそ、大胆な減税や給付金バラマキ政策をおこなっう必要があるのです。
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