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円安はなぜ起こるのか?【わかりやすく解説】

・円安って何?

・円安になる理由は?

・経済への影響までわかりやすく知りたいです!

 

本記事はこんな疑問を解消します。

 

本記事の結論

  • 円安は円の価値が下がること
  • 円安は円と外貨の対比で決まる
  • 自国通貨安はメリットも多い

 

それでは本記事では円安が進んでいる理由や経済に与える影響をわかりやすく解説しますね
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そもそも円安とは?

そもそも円安って何ですか?できるだけ簡単に教えて欲しいです。

 

円安とはシンプルにいえば日本の円が外貨に対して安くなっている状態です。

 

例えば1日で1ドル100円から110円に動いたらこれは円安です。

 

昨日よりも1ドルに交換するのにプラス10円が必要ということは日本の円の価値が10%下落したということです。

 

為替レートについてさらに詳しくは下記の記事をご覧ください。
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為替レートとは?【わかりやすく解説】

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円安が起こる理由

では円安はなぜ起こるんですか?

 

円安が起こる要因は大きく3つに分けて解説します。

 

円安の要因

  • 円の量が外貨にたいして多い
  • 金利が外国に対して低い
  • 市場の予想が円売りに傾いている

 

①:円の量が外貨に対して多い

 

円安の最大の要因は日本円の外貨に対する量が多いことです。

 

為替レート決定要因の大前提として、おおよその通貨の発行量(マネタリーベース)の対比があることを抑えておきましょう。

 

画像引用元

 

これは日米マネタリーベースの比率と実際の為替レートの推移をしめしたものです。

 

相関係数が0.64とこの2つは高い相関関係があると言えます。

 

為替レートの長期的な流れは各国の通貨量のバランスによって決まるのです。

 

つまり円安が進んでいるということは日本銀行が通貨を増やしているということです。
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②:金利が外国に対して低い

 

一般的に1部のメディアなどで円安の理由とされるものには2国間の金利差があります。

 

 

例えば円安ドル高が進んでいるということは、日米金利差が拡大(日本の金利が低くアメリカの金利が高い)しているということです。

 

確かにこの一面はありますが、金利差が発生することも各国の金融政策の結果であり、金利をコントロールするためにもマネタリーベースの調整が必要なのです。

 

つまり、金利差は為替変動の要因のひとつとは言えますが根本的な原因ではありません。

 

③:市場予想が円売りに傾いている

 

①と②の結果におこる現象として市場の投資家たちの円売りです。

 

為替レートの長期的な方向は通貨の量によって決まりますが、短期的にはさまざまな出来事などによって投資家の心理が変化することで動きます。

 

たとえば以下のような時です。

 

為替レート変動の短期的要因

  • 経済指標の発表
  • 災害や戦争の発生
  • 政変の発生

 

為替市場はこれらの出来事に対して先行きを瞬時に折り込んでレートが変動します。

 

 

それが一時的な変動か長期にわたってその方向に向かうのかは各国の中央銀行の金融政策や将来へのコミットメント次第なのです。

 

長期的に円安が進んでいるということは、市場の投資家がこれからも円の量が相対的に増えると予想しているということです。

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円安のメリットとデメリット

 

円安のメリットとデメリットはなんですか?

 

それでは円安のメリットとデメリットについて解説します。

 

円安のメリット

 

円安のメリット

  • 輸出が伸びる
  • GDPが増える
  • 生産の国内回帰が進む
  • 景気が良くなる

 

それぞれ簡単に解説しますね。

 

①:輸入が増える

 

円安になると輸出が拡大します。

 

なぜなら外国から見れば日本の商品が円安によって安くなるからです。

 

どこの国も輸出が強い企業は大きな企業で国内への影響力が大きい傾向があるため輸出の拡大は国内収益の拡大に直結します。

 

②:GDPが増加する

 

輸出が拡大すればGDPが増加します。

 

これはGDPの公式を見れば簡単に理解できます。

 

GDPの公式

消費+投資+政府支出+(輸出-輸入)

 

円安になれば輸出は拡大しますからそれだけでGDPの拡大につながります。

 

GDPの拡大ということは経済成長ができるということです。

 

③:生産の国内回帰が進む

 

円安が進むと、円高によって海外に生産拠点を移した企業が国内に戻ってきます。

 

それもそのはずで企業からみれば円安になると国外で生産をするコストが上がって海外移転のメリットがなくなるからです。

 

円安によって企業の生産が日本に戻ってくれば国内の雇用が拡大して国内産業が発展するのです。

 

④:景気が良くなる

 

このように円安が進むと輸出企業の増収や雇用の拡大、GDPの拡大を通して景気が良くなります。

 

この事実は日本の高度経済成長の好景気と1ドル360円の今では考えられないくらいの円安はセットで起こったことからもわかります。

 

またバブル崩壊以降の失われた20年やリーマンショックと超円高もセットで起こりました。

 

円安のデメリット

 

それでは円安にはデメリットはなきんですか?

 

もちろん円安にもデメリットはあります。

 

それはインフレの発生です。

 

これには2つの理由があります。

 

円安がインフレを起こす理由

  • 景気が良くなるから
  • 輸入品のコストが上がるから

 

①:景気が良くなるから

 

円安のメリットである景気が良くなると国内の雇用が拡大して賃金が上昇します。

 

そうすると国内の消費が活発化するためインフレが発生するのです。

 

実際に日本もバブル崩壊以降のデフレに突入するまでは物価が上がり続けていました。
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②:輸入品のコストが上がるから

 

もう一つのインフレの理由は海外からの輸入品の値段が上がるからです。

 

これは商品はもちろんエネルギーの購入コストも上がるということです。

 

そうなれば国内の生産のためのコストも上昇しますからインフレが進行するのです。

 

円安への対策

 

なるほど、思ったほどは円安も悪いものではないんですね。それでは円安のデメリットであるインフレへの対策はありますか?

 

それではここからは、円安にとって日本としての対策と個人でできる対策を解説しますね。

 

国としての対策

 

国としての円安対策は大きく分けて2つあります。

 

国としての円安対策

  • インフレターゲット政策の導入
  • 減税政策の導入

 

①:インフレターゲット政策の導入

 

ひとつ目の対策は中央銀行による金融政策でインフレターゲット(物価目標)を設置することです。

インフレターゲット

インフレターゲットとは、物価上昇率に対して政府・中央銀行が一定の範囲の目標を定め、それに収まるように金融政策を行うこと。

 

インフレは好景気とセットでおこり消費や雇用を拡大させますが、行き過ぎると経済が停滞してしまいます。

 

過度なインフレ経済にならないようにインフレターゲットを設置して金融政策をおこなう必要があるのです。

 

行き過ぎた円安とはインフレ率が過熱してしまう地点の価格といえます。インフレターゲット政策について詳しくは下記の記事をご覧ください。
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インフレターゲット(物価目標)とは?【わかりやすく解説】

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②:減税政策の導入

 

円安による個別的な影響を回避するには財政政策が有効です。

 

具体的には円安によってマイナスを被る業種や職種、商品などに対しては減税措置をとるのです。

 

たとえば輸入コストが上がってエネルギー価格が上昇したのであれば、ガソリン減税をおこないます。

 

こうして個別の事案に対して減税政策をとることで円安によってデメリットを被ってしまう人たちをカバーし、かつ経済への悪影響も相殺することができるのです。

 

個人としての対策

 

円安に対する個人としての対策を2つにしぼって解説します。

 

個人としての円安対策

  • 外貨を購入する
  • 転職などで収入を増やす

 

①:外貨を購入する

 

為替レートが円安方向に向かっている場合は資産の1部を外貨に変えておくことをおすすめします。

 

どこの国の外貨に変えるのかは2つのポイントがあります。

 

外貨を選ぶポイント

  • 円に対して外貨の上昇率が高いこと
  • 外貨の金融政策が将来に渡って引き締め方向なこと

 

資産の1部を外貨をに変えることで円安によるデメリットをメリットに変えることができます。

 

 

②:転職などで収入を増やす

 

円安は国内の物価が上昇すると同時に雇用が拡大することを解説しました。

 

つまり円安によって求人や賃金が拡大するのです。

 

円安のインフレ下では失業率や有効求人倍率が改善してデフレ下とは比較にならないほどに条件の良い求人や転職先が見つかる状況になっています。

 

つまりインフレ対策として、活況な雇用情勢を活用してら自分の利回りを上げる(収入を増やす)ということも重要なのです。

 

デフレ円高ではブラック企業がはびこりインフレ円安ではホワイト企業が多く現れます。買い手市場から売り手市場の変化ですね。
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円安は近隣窮乏化政策? 

 

世の中の円安に対する批判はひどいですが円安は近隣窮乏化政策といわれています。ここで解説しますね。
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経済学で自国通貨安は近隣窮乏化政策と言われることがあります。

 

近隣窮乏化政策

関税の賦課や引上げ,その他の輸入制限,輸出補助金の交付,賃金の引下げ,為替レートの切下げなどによって,貿易収支を改善し,あるいは国内の雇用を拡大しようとする政策をいう。

引用元

 

日本の歴史も自国通貨安によっていわばアジアでの一人勝ちとも言える高度経済成長を達成しました。

 

『ジャパン・アズ・ナンバーワン』と言われた時代には経済大国アメリカも懸念するほどの成長ぶりで、それが『プラザ合意』でアメリカからの日本へのドル安強制合意に行きついたのです。

 

このように自国の通貨安は近隣の国を窮乏させてしまうほどに実は自国へのメリットが大きいのです。
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円安への批判と検証

円安はいいことなのにマスコミなどからはなぜ批判的な意見が多いんですか?

 

それではここからは、各社の円安への批判にたいする検証をしていきましょう。

 

批判①:『円の実力』の低下

 

まずは円の実力が低下したという論説です。

 

円の実力52年ぶりの低水準

通貨としての円の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」が、約52年ぶりの水準に低下した。

1ドル=360円の固定相場制を採用していたニクソン・ショック前の1970年9月以来の低さで、日本経済の低成長を背景に他国と比べ物価が伸び悩む現状を反映する。同レートの低下は対外的な購買力の弱さを示しており、食料や原油など輸入品の価格高騰を通じて家計や企業に悪影響をもたらしている。(以下省略)

記事引用元:時事通信

 

ようするに実質実効為替レートは円の実力であるからこれが下がって危険であるという説です。

 

実質実効為替レート

2通貨間の為替レートではなく多くの通貨の中で相対的な通貨の実力を測るための指標のこと。自国通貨が他国の通貨や財に対して割高か、割安かを示すもの。

 

しかしこの論説は、自国通貨が割安だからといって何が日本にとってデメリットであるかを明確にしておらずメリットをもまったく無視しています。

 

バブル崩壊以降の近年においては実質実効為替レートは円安に傾くほどに国内雇用は拡大しているのはグラフをみても明らかです。

 

私たち国民はほとんど『円』を使って生活をしているため、実質実効為替レートの円安が私たちに危険なわけではありません。

 

実効為替レートについて詳しくは下記の記事にまとめてあります。
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実効為替レートとは?【わかりやすく解説】

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批判②:『悪い円安』である

 

次はこちらの記事を検証します。

 

“悪い円安” 家計への影響は?1ドル=140円台の水準いつまで

〇円安のデメリット
一方、デメリットとしては、ロシアのウクライナ侵攻以降、原油などのエネルギーや穀物などの価格が高止まりする中、原材料を輸入する際のコストが一段とかさむことが挙げられます。

民間の信用調査会社、帝国データバンクが7月に全国の企業、2万5000社余りを対象に実施した調査では、業績への影響について「マイナス」と答えた企業が全体の61%に上りました。
原材料価格の上昇によるコスト負担の増加に加えて、コストの上昇を販売価格に転嫁できず収益が悪化したことなども理由として挙げられています。

このため、いまの円安は、デメリットの方が大きい「悪い円安」だという指摘も出ています。

引用元:NHK首都圏ナビ

 

この論説では円安に加えて海外の戦争などによる輸入コストのアップが全国の企業が価格に転化できずに苦しんでいるから悪い円安であるといっています。

 

これは前述したように円安そのものが悪いわけではなく円安によって悪影響をうける業種や商品に対して減税措置などの財政政策をおこなうことで解消できます。

 

これを悪い円安だと決めつけて金融引き締めに転換してしまえば失われた20年のように再び日本は円高デフレ不況に見舞われてしまうのです。

 

 

まとめ

 

本記事のまとめ

  • 円安は外貨に対して価値が下がること
  • 為替水準は長期的には各通貨の発行量におさまる
  • 円安はメリットが多い
  • 円安で悪影響を受ける業種や商品、まて国民には減税措置で対策する
  • 円安への個人としての対策は外貨投資や転職によって収入アップを図ること

 

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