
・為替レートってなに?
・どうやって決まるの?
・資産運用に活かしたいからわかりやすく知りたい!
本記事はこんな疑問を解消します。
本記事の内容
・為替レートの全体像
・為替レートが変動する理由
・投資に活かす方法
本記事の信頼性
本記事を書いている僕は投資歴10年、運用資産は8桁に突入しました。副業でブログも始めて月に10万円ほどの収入を得ています。
今回は、資産運用で運転資金100万円を8桁まで増やした僕が為替レートについてわかりやすく解説していきますね。
今回は為替レートの全体像だけでなく、投資への活用法まで解説しますので最後まで読み進めてください。
それでは、さっそく始めましょう。
目次
為替レートとは?
結論からいえば為替レートとは自国通貨と外貨との交換比率のことです。
例えば両替所に日本円100円をもっていけば1ドルと交換してくれる時に円ドルの為替レートが100円ということです。
このように日本や先進国が採用している為替レートが常に変動する仕組みを変動相場制といいます。
為替レートはなぜ変動する?
結論、為替レートは為替市場の需要と供給によって常に変動しています。
その変動をあらわすグラフをチャートと言って、下記のように市場の受給を反映しています。
要するに、為替レートは為替市場で円が買われれば円高、円が売られれば円安になるということです。
つまり、為替レートが決まる要因はどれだけ自国通貨に需要があるかどうか?ということです。
▶︎▶︎需要と供給に関して詳しくはこちらの記事をご覧ください
円安と円高
それでは『円安』と『円高』について解説します。
①:円安
円安とは、円の価値が外貨に対して安くなることを指します。
1ドル100円 ▶︎ 1ドル110円
円安
市場で円が売られると円安になる
②:円高
円高とは、円の価値が外貨に対して高くなることを指します。
1ドル100円 ▶︎ 1ドル90円
円高
市場で円が買われると円高になる
需要と供給はなぜ変化する?
市場の多くの投資家が『新たに円を買いたい』あるいは『持っている円を売りたい』と考える理由には下記の要因があります。
為替の変動要因
- 経済政策
- 有事(戦争や災害など)
- 経済危機
- 購買力平価
これらのできごとは、為替市場で取引している投資家の各国通貨への需要に対して大きな変化を与えます。
ひとつづつ解説します。
①:経済政策
基本的には長期的な為替レートは中央銀行の金融政策によって決まります。
なぜなら金融政策は、通貨の量を調節すること役割を持つからです。▶︎▶︎金融政策についてさらに詳しくはこちらの記事で解説しています
さらに踏み込んでいえば2国間の為替レートは、両国の通貨の発行総額によって、おおよその価格が決定します。
例えば2021年5月現在でドル円の発行総額は
日本円 約500兆円
米ドル 約4兆ドル
この場合の交換レートは
500÷4=120円
つまりこの場合は、1ドル120円に向かって為替レートの変動圧力がかかり続けることになります。
通貨の量は各国の金融政策によって調整されますから、長期的な為替レートは金融政策の影響を受けるということです。
外部リンク:金融政策発表スケジュールはこちら▶︎
②:有事(災害や戦争など)
近年の日本では阪神大震災や東日本大震災の後に為替レートが大きく円高に向かいました。
通常、大きな災害や有事がおこれば、その国の通貨の価値が下落するのが一般的ですが日本の場合は逆のことが起こりました。
この1番の原因は、金融政策を伴わない災害対策の財政出動をおこなったことでマンデルフレミング効果が起こったと推測されます。
大規模な財政の支出は、政府が市場から自国通貨を回収するため、自国通貨の希少性が高まり、通貨高が発生してしまうのです。

③:経済危機
世界の資産市場がなんらかのショックを受けると円高になることが多く「投資家のリスク回避が起こり、安全資産である円が買われた」と報道されますが、これは本質ではありません。
経済ショックにおいても円高になる背景には、やはり金融政策のスタンスにあります。
『日本は中央銀行が金融を緩和しない』
世界の投資家からそう見られているのです。
ただ、▶︎▶︎アベノミクス開始以降は日銀のスタンスにも変化が見られ、コロナショックで大きく円高に傾くことはありませんでした。
これは、アベノミクスによって大胆な金融政策の実施による効果が大きかったのです。
▶︎▶︎大胆な金融政策について詳しくはこちらの記事を参照ください
このように為替レートにとっては、中央銀行の政策スタンスが極めて重要です。
④:購買力平価
長期的な為替レートを決定させる要因として挙げられるものに、購買力平価説という仮説があります。
購買力平価説は一物一価の法則を前提として、自国通貨と他国通貨の購買力の比率から中長期的な為替レートを求める仮説です。
一物一価の法則
ある時点における同一の商品・サービスはひとつの価格になる
為替レートは2国間の通貨の購買力によって決定されるという仮説です。
例えばアメリカでは1ドルで買えるハンバーガーが日本では100円で買えるとするときに、おたがいの購買力が等しくなるので1ドル=100円が、妥当なドル円為替レートと言えます。
これを、絶対的購買力平価といいます。
相対的購買力平価説
絶対的購買力平価に対して相対的購買力平価は、為替レートは2国間の物価上昇率の比で決定されるという説です。
例えば、日本の物価上昇率が他の国より相対的に高い場合、日本の通貨価値は減価するため、為替レートは下落するという考え方です。
▶︎▶︎購買力平価についてはこちらの記事に詳しく書いてあります
世界の通貨
世界で使用されている通貨は180種類と言われています。(2017年)
出典:ザイFX
これは、世界で取引されている主要の通貨一覧ですが、この中でも世界で取引されている通貨のシェアは以下の通りです。
画像出典:三井住友アセットマネジメント なるほど!ザ・ファンドVol.49)
やはり、米ドルは基軸通貨の地位を保ち、次いでユーロ、日本円はおよそ1割と言った所です。
実は世界第2位の経済大国中国の通貨『元』の取引高は、その他の15%に埋もれています。
日常で私たちは、通貨と商品(サービス)を交換しているように、全世界の企業や投資家も通貨と通貨を交換しているのです。
個人でも為替取引によって利益をあげるために人気なものにFX(外国為替証拠金取引)があります。
資産運用として通貨を使う場合には、このFX取引を使うことが一般的ですが、外貨建て積み立て保険などさまざまな方法で活用されています。
参考記事:資産運用とは?
実効為替レートとは?
世界にはさまざまな通貨がありますから、日本円が外貨全体に対して円安か円高かを測るには、ドル円レートだけ見ていてはわかりません。
そこで、通貨が通貨全体に対しての強さを測る指標として実効為替レートと言われる指標があります。
実効為替レートとは
特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは捉えられない、相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標です。
具体的には、対象となる全ての通貨と日本円との間の2通貨間為替レートを、貿易額等で計った相対的な重要度でウエイト付けして集計・算出します。
実効為替レートは、さらに2つに分かれます。
実効為替レート
- 名目実効為替レート
- 実質実効為替レート
この名目と実質の違いは物価変動を加味するかどうか?です。
名目実効為替レート
指数化した為替レートを貿易相手国との取引量で加重平均し、「ある通貨の対外的な競争力」を表す指標として使用。
実質実効為替レート
実質実効為替レートは、名目実効為替レートにインフレ率(物価上昇率)を加えて計算した値。
資産市場では、物価変動を加味してより実質的な通貨の実力の指標となる実質実効為替レートがより注目されます。
▶︎▶︎実効為替レートはさらに詳しくこちらの記事に書いてあります
為替レートと経済
実は世界がこのような変動相場制(常に為替レートが変動する仕組み)に移行したのは1973年で、割と最近のことです。
それまでの日本の為替レートは1ドル360円に固定されていました。
これを固定相場制といいます。
固定相場制
為替レートを、ある特定の水準に固定もしくは変動を極小幅に限定する制度。1973年まで採用されていた。
変動相場制
為替レートを一定比率に固定せずに、市場での需要と供給により自由に変動させる制度。73年から現在に至るまで採用されている。
戦後の日本は、1ドル360円の固定相場という、輸出に対して有利な条件で経済発展を遂げられたという見方があります。
それもそのはずで、戦後日本の不況はいつも過度な円高セットで起こっているのです。
リーマンショック、東日本大震災を経験した日本の為替レートは超円高に傾き、2011年11月には史上最高値の75円台を記録しました。
この時の日本経済は超円高デフレ不況に苦しんだ時期でした。
◉円安
輸出企業を中心に日本企業の株価が上昇、更に業績が活発化して景気が良くなる
◉円高
輸出企業を中心に日本企業の株価は下落、企業業績が低下して景気が悪くなる。
つまり、変動相場制のメリットはこれに尽きます。
金融政策を自由に行える
つまり変動相場制は、景気状況に応じて通貨発行量を自由に調節出来ると言うことです。
残念な事にバブル崩壊後の日本がこの金融政策を失敗して、長期デフレに突入してしまいました。
変動相場制のメリットは、政府日銀がしっかりとした政策をとらなければ、デメリットにもなり得るという側面もあります。
参考記事:バブル崩壊の原因
一方で固定相場制は、通貨が変動しないように金融政策を行いますので、自由な金融政策が出来ません。
日本も戦前には、変動相場制から『金本位制』と言われる固定相場制に移行して大失敗した歴史があります。
金本位制(きんほんいせい)とは貨幣の価値を金の価値で表すことができ、 一国の貨幣価値を金に裏付けられた形で金額を表し、商品の価格も金の価値を標準として表示される。
Wikipediaより引用
金本位制とは自国が持つ金の量を上限に通貨を発行できる制度です。
金の量に対する貨幣量に限定されてしまう為、貨幣の量を増やしたい時に増やせません。
第一次大戦後、戦費を必要として貨幣を大量に発行した世界各国は、インフレが進んだ事を理由に、次々に金本位制に復帰してゆきます。
そうすると、世界からは金の量に見合った貨幣量に縮小されてしまいますので、深刻な貨幣不足に陥りました。
貨幣不足が招くものは、デフレーションです。
参考記事:デフレの原因
日本はこの当時も、金本位制の復帰によるデフレ不況に苦しむ事になりました。
金融政策と為替レート
ここで、アベノミクス開始の2012年12月に時計の針を戻しましょう。
2012年の安部政権が誕生する前、民主党政権だった2012年9月のドル円相場は78円台、日本は円高不況に苦しんでいました。
それが、安倍政権が誕生して瞬く間に100円を超える円安となりました。
約3年後の2015年6月のピーク時には127円の円安にまで円の価値が下落し、実に50円の円安を実現したのです。
黒田日銀の金融緩和政策によって日本の円を大量に発行した事で、日本円は外貨に対して希少性が低下しました。結果として円安に傾いたのです。
世の中の物の価格は、市場に出回るお金の量とのバランスで決まる事は様々な記事で説明しました。
これは、通貨の価値も同様なのです。
つまり、物の値段が決まる事と同様に、通貨の値段も需要と供す給のバランスによって決まるという事です。
外貨に対して、自国の通貨を増やせば円安に傾き、自国の通貨を減らせば円高に傾きます。
とても単純に説明していますが、為替レートの決定の本質は金融政策の方向性と考えて良いでしょう。
参考記事:金融政策とは?
2008年のリーマンショック時に日本は円高不況に苦しみましたが、その理由も金融政策の失敗にあります。
この当時、アメリカやヨーロッパはデフレ不況を回避するために大規模な金融緩和政策に踏み切りました。つまり、自国通貨を大量に発行したのです。
それに対して我が国の中央銀行、日本銀行は何も対策を取りませんでした。
リーマンショック時に、アメリカの中央銀行(FRB)はドルを大量に発行しました。また、EUの中央銀行(ECB)もアメリカ程ではないにしろユーロの発行を増加させました。
これに対して、日本銀行はまったくと言っていいほど何もしませんでした。
結果として、日本円は外貨に対して希少性が増し、過度な円高に苦しみ、リーマンショック震源国のアメリカよりも何倍も悪影響を受ける事になってしまったのです。