・メリットや問題点は?
・CPTPPについてわかりやすく知りたいです!
本記事はこんな疑問を解消します。
本記事の結論
- CPTPPは多国間の貿易協定
- CPTPPの前身はTPP
- CPTPPは参加国の経済発展を促す
目次
CPTPPとは?
CPTPPとは環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(Comprehensive andProgressive Agreement forTrans-PacificPartnership)のことで、英語の頭文字を取った略称です。
CPTPPの前身は2016年2月4日に署名された経済連携協定 TPP(環太平洋パートナーシップ)でした。
EPA(経済連携協定)
2カ国以上の間で貿易の自由化や知的財産の保護や投資、政府調達、二国間協力等をふくめて締結される包括的な協定
しかしTPPはアメリカが交渉から離脱したために発効には至らず、2018年にアメリカを除いた参加国(TPP11)によってCPTPPとして締結の合意にいたりました。
経済連携協定(EPA)をシンプルにいえば関税の引き下げなどの自由貿易化だけでなく高いレベルの協力をおこなう協定ということです。
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注意ポイント
今でもニュースなどではCPTPPを略してTPPと呼ぶことが多いですがどちらも同じ経済連携協定のことを指します。本記事でも以下TPPを使用します。
TPP参加国
TPPには日本の他に下記の国が署名しています。
TPP加盟国
- オーストラリア
- ブルネイ
- カナダ
- チリ
- マレーシア
- メキシコ
- ニュージーランド
- ペルー
- シンガポール
- ベトナム
- イギリス(2023)
- アメリカ(脱退)
2023年7月には、イギリスがTPPへの加盟が正式に合意に至りました。
また中国、台湾、韓国、タイの4カ国も参加に意欲を示しています。
注意ポイント
中国に関してはその国家体制から資本移動の自由化を認めるTPPの協定に参加するのは困難だと言われています。
TPPはイギリスの加入によって、参加国の国内総生産(GDP)の合計が世界全体に占める割合は現在の12%から15%に拡大しました。
さらに2023年の7月にはロシアの侵攻を受けるウクライナがTPPへの加盟を正式に申請しました。
TPPのメリット
それではTPPのメリットについて解説します。
TPPのメリット
- 輸出が拡大する
- 輸入品が安くなる
- 経済が成長する
- 日本の安全保障につながる
それぞれ解説しますね。
①:輸出が拡大する
TPPは参加国同士の輸出にかかる関税を段階的に引き下げていきくため輸出が拡大します。
輸出が拡大すれば国内の輸出企業の利益が拡大して雇用や賃金の改善が起こりGDP(国内総生産)が拡大します。
結果としてTPPの加盟国はGDPの拡大を通してwin-winの関係が成り立つのです。
②:輸入品が安くなる
輸出品とは反対に輸入品が安くなります。
日本が適切な金融政策をおこなって為替レートが円安となれば輸入品の価格があがります。
しかしCPTPP参加国からの輸入品は通貨安の悪影響を軽減してくれるのです。
③:経済が成長する
適切な金融政策や自国に不利なルールを入れないかぎりは自由な貿易取引はお互いの国の成長を促してくれます。
これは比較優位の法則によってそれぞれの国は自分たちの得意な産業に特化できるからです。
比較優位の法則
自由貿易において自国の最も優位な分野に集中することで、それぞれの労働生産性が増大されるとする概念のことで経済学者デヴィッド・リカードによって提唱された貿易理論
ただ、参加国はどの国も自国の為替レートが通貨高に行きすぎないように、適切な金融政策を実施する必要があります。
④:日本の安全保障につながる
TPPはアジアでの他国間での自由貿易協定によって加盟国同士の結束や発展を加速させることで日本の安全保障を強化してくれます。
日本は中国や北朝鮮などの共産主義独裁体制の国に囲まれています。
近年では中国による台湾侵攻や北朝鮮による核実験の脅威が日本にも身近になってきています。
しかし中国や北朝鮮などの共産主義国家では国内企業はすべて国の所有物であるため、現実にはTPPのような高いレベルでの経済連携協定には参加できません。
こんな理由からTPPによる経済連携協定は共産主義独裁体制に対する安全保障を高めてくれるのです。
TPPのデメリット
それではTPPのデメリットを、かつてのTPPに対する数多くの批判の中から紹介と検証をしていきます。
TPPへの批判
- デフレが加速する
- 社会システムが破壊される
- 日本の農業が破壊される
それぞれ解説と検証をしますね。
①:デフレが加速する
ひとつめのTPPに対する批判は、関税の引き下げによって外国から安い商品が輸入されるとデフレが加速して不景気になってしまうというものです。
しかしこれはまったくの誤解で、デフレになるかどうかは国内の金融政策の問題ですからTPPとデフレは関係ありません。
TPPによって国内に安い輸入品が増えたのだとしたらそれにあわせて国内の通貨の量を増やせばいいのです。
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②:社会システムが破壊される
2つめの批判はTPPにあるISDS条項によって日本の社会システムは外国の資本(特にアメリカのような強大な国)によって破壊されるというものです。
ISDS条項
要するにISDS条項はアメリカの投資家が日本への投資で損失を被ったときに、日本は巨額の賠償金を払うか社会システムの変更を迫られるから危険という批判です。
TPP交渉の前によくあがった主張は、米国企業が「日本の国民皆保険はビジネスの障害」「遺伝子組み換え食品を受け入れろ」と訴えれば、日本はが受け入れざるを得ないため日本の社会システムが荒らされるということです。
結論から言えばこれも間違いです。
そもそもアメリカがTPPを離脱してしまった現状ではこの批判は幻想に終わってしまいましたが、ISDS条項に対する大きな誤解があります。
そもそもISDS条項は単に投資家が損害を被ったというだけでは訴えることはできません。
ISDS条項によって訴えられるケース
- 国有化によって搾取するなど「相当な略奪行為」がある場合
- 外国の企業を不当に差別するような場合
つまり外国の企業だけを対象とする不当な措置でなければ、社会システムが破壊させることはありません。
また裁判になったとしても賠償を命じるだけで、規制の変更が命じられることもないのです。
③:日本農業が破壊される
関税の引き下げによって外国産の農産物が大量に日本に入ってくると日本の農業が破壊されてしまうという批判があります。
そうなれば日本の稲作の文化は衰退し食糧安全保障としても危機になってしまうというものです。
ただ、この批判も日本の農業を過小評価しています。
なぜなら外国の農産物が増えるのは間違いないですが、同時に日本の農産物も世界に輸出するチャンスが増えるからです。
日本の農産物は世界的に見ても品質が高く、関税が引き下がることで世界の国々からの需要も拡大するかもしれません。
またどうしてもTPPによって不利益が出てしまう農家の方には政府の財政政策によって支援していけば良いのです。
つまり農業の破壊をTPPへの批判の理由に持ってくるには無理があるのです。
まとめ
本記事のまとめ
- TPPはアジア中心の自由貿易協定
- TPPはアメリカの離脱によって形が変わった
- 経済発展や安全保障面でメリットがある
- デメリットは金融財政政策で解消できる