経済

デフレーションとは?【わかりやすく解説】

・ デフレーションって何ですか?

・ 何が起こるの?

・原因や解決法をわかりやすく知りたいです!

 

本記事はこんな疑問を解消します。

 

 

本記事の結論

  • デフレとは物価の下落が続く現象
  • デフレの原因は貨幣量の不足
  • デフレは金融政策で解決できる

 

バブル崩壊以降の日本も苦しんだ『デフレーション』について本記事でわかりやすく解説しますね。
コウタ

 

デフレーションとは?

 

デフレーションとは物価が持続的に下落していく経済現象のことで略してデフレと呼ばれます。

 

 

日本では物価の指標として消費者物価指数(CPI)が使用されています。

 

 

物価の下がるデフレは視点をかえれば金の価値が上がる現象』ともいえます。

 

 

デフレ環境では人びとの需要がモノよりもお金に向かうため国内消費が停滞して世の中にお金が回らなくなってしまいます。

 

日本でも1990年代後半から突入した『失われた20年』とよばれるデフレ経済によって長期経済停滞期が続きました。

 

『失われた20年』は2013年の金融政策の転換まで続くことになりました。失われた20年に関しては下記の記事をご覧ください。
コウタ

 

失われた20年とは?【わかりやすく解説】

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デフレーションの原因

 

デフレの原因はなんですか?

 

 

結論からいえば、デフレの原因は世の中にあるお金の量が不足していることです。

 

 

世の中のお金の量が不足をすると物価が下落するしくみをあえて単純化して解説します。

 

 

仮定

世の中には1個のりんごと1万円がある

 

 

この仮定の世界では、りんこ1個の価値が1万円となります。

 

ところがこの世界でりんごの生産技術が向上して1年後には、りんごが10個まで増産されました。

 

 

そうすると、りんご1個あたりの価値はどうなるでしょうか?

 

 

 

 

りんごの数が10個に増えましたので、りんご1個の価値はお金の量(10000円)に対して1000円まで低下します。

 

 

 

この世界ではりんごの生産量が増えた一方で、お金の量を増やしませんでした。

 

その結果りんご1個あたりの価値が低下してしまったのです。

 

 

この単純化した世界で起こった現象がデフレーションです。

 

お金が価値を持つデフレーションは、人々の需要を物からお金に向かわせます。

 

そのためデフレ下ではお金が貯蓄されてしまい、お金が回らずに経済が停滞するのです。

 

かなり単純化した物価変動の解説ですがデフレの原因は実はシンプルなのです。
コウタ

 

デフレの弊害

 

それでは、デフレーションが起こると発生する経済現象を具体的に見ていきましょう。

 

デフレがひき起こす経済現象

  • 消費の停滞
  • 企業利益の低下
  • 雇用の悪化
  • 自殺者数の増加

 

それぞれ解説しますね。

 

 

①:消費の停滞

 

デフレによって国内消費が停滞する理由は大きく分けて2つあります。

 

デフレで消費が落ち込む理由

  • a:お金の価値が上がる
  • b:国民所得が減る

 

 

a:お金の価値が上がる

 

ひとつ目はデフレ下では、お金の価値が上がって時間が経つほど物が安く買えるという点です。

 

 

 

 

 

図のようにデフレはお金の価値が上がるために、お金を消費するよりよりも貯蓄に回すことが合理的な判断となるのです。

 

 

b:国民の所得が下がる

 

人びとがお金を消費ではなく貯蓄に回していくことで国内企業の売り上げは低下します。

 

 

企業の売り上げが低下すれば従業員に分配する給料を増やすことが出来ないため国民の所得は減少します。

 

 

つまりデフレによって消費が停滞するほど国民の所得は減り、雇用情勢が悪化してしまうのです。

 

 

②:企業利益の低下

 

消費が停滞して物価が下落すれば企業の利益が圧迫されます。

 

そうなると、利益が出せない企業は次々と倒産していきます。

 

 

これは、バブル崩壊以降の倒産件数と負債総額の推移です。

 

日本のデフレが本格的に深刻化した1998年やリーマンショックが起こった2008年などの山をつくりながら、高い倒産件数で推移しました。

 

そして高い倒産件数は、2012年の末から始まったアベノミクスまで続くこととなりました。

 

 

 

③:雇用の悪化

 

デフレーションによる消費の停滞で企業の売り上げが伸びなければ、倒産はもちろんですが人件費もカットの対象となります。

 

企業の求人も激減してリストラが横行します。

 

画像引用元

 

 

これは、1953年からの完全失業率の推移です。

 

1991年の株バブル崩壊から急激に上昇していることがわかります。

 

失業率は、2009年までのリーマンショックで2つ目の山をつくり、2012年から始まったアベノミクスによる大胆な金融政策の開始まで上昇の一途をたどりました。

 

 

 

④:自殺者数の増加

 

デフレが深刻化してリストラが横行すれば、最終的に自殺者数が増加します。

 

日本でもバブル崩壊以降、大変残念ですが経済苦による多くの自殺者が出てしまいました。

 

 

 

これは日本における長期の自殺者数推移です。

 

日本が本格的にデフレ経済に突入した97年から自殺者数が急増していることがわかります。

 

 

その増加数およそ一万人。

 

自殺者数30,000人超えは、アベノミクスが始まる2013年まで続いたのです。

 

つまり失われた20年といわれるデフレーションは、約15万人の経済苦による自殺者を生み出してしまったと言えます。

 

デフレ下での経済苦による自殺者数の合計は日露戦争の戦死者の約2倍にのぼります。
コウタ

 

デフレの解決法

結論からいえば、デフレの解決法は2つしかありません。

 

デフレの解決

  • 世の中のお金の量を増やす
  • 増やしたお金を流通させる

 

これを一つづつ解説します。

 

①:お金を発行する

 

前述のとおりデフレとは、世の中に存在するお金の量が、物の量に対して不足しているためにおこります。

 

 

ですからデフレを解消するにはシンプルに日本銀行が金融緩和政策によってお金の量を増やす必要があるのです。

 

 

 

 

このお金の量の拡大を実際に実施したのが、第2次安倍内閣がアベノミクスでおこなった『大胆な金融政策』です。

 

 

この時、日本銀行はマネタリーベースといわれるお金を急拡大させ、株価や雇用が大幅に改善したのです。

 

 

 

②:発行したお金を配る

 

日本銀行がお金を発行してもそのお金が世の中に流通しなければ物価が思うようにあがりません。

 

 

そのため日本政府は、発行したお金を国内にさまざまな方法で分配する必要があります。

 

 

 

 

つまり日本銀行が金融政策を拡大してお金を発行し、財政政策によってお金を国内に分配すれば良いのです。

 

 

 

 

 

デフレ対策のリスク

 

それではデフレの解決策である金融緩和と積極財政にはリスクはないのでしょうか?

 

ここではそれぞれの経済政策のリスクを検証します。

 

金融緩和のリスク

 

日本の未来を応援するネコ
日本銀行がお金を発行するだけでデフレが解消するの?ハイパーインフレのリスクは?

 

いい疑問ですね。簡単に解説しますね!
コウタ

 

たしかに日本銀行がお金を発行する唯一の副作用はインフレであり過度なインフレは抑制する必要があります。

 

 

しかしデフレは経済を停滞させますから、雇用を最大化させられるインフレ率をめざしてお金を発行するのです。

 

 

このインフレを加速させない失業率の下限『NAIRU(ナイル)』と呼び、日本の場合は失業率2%〜2.5%と言われています。

 

 

ナイルと金融財政政策の関係を図にあらわすとこうなります。

 

 

 

このように、インフレ目標を設定することでハイパーインフレのような過度のインフレを抑制することができます。

 

 

インフレ目標に向かって金融緩和を実施する政策をインフレターゲット政策と呼び、2013年から始まったアベノミクスの金融政策で導入されています。

 

ここから間もなく予想インフレ率が上昇して、雇用情勢が急回復したのです。

 

積極財政のリスク

日本の未来を応援するネコ
積極財政でバラマキ政策をすれば日本は今以上に借金大国になってしまうのでは?

 

国の財政問題は確かに心配ですよね。これからわかりやすく解説しますね!
コウタ

 

結論からいえば、2022年現在ではお金を大胆に配ってもまったく問題ありません

 

 

むしろ、デフレーションに陥らないように通貨の発行とともに積極的に配らなければいけません。

 

 

日本政府は、日本国債を発行して国民に配るお金を調達しますが、実質的には日本銀行が発行したお金でその国債を買いとります

 

 

日本銀行は日本政府の子会社のようなものですから、日本国債の利払いは実質的にチャラになります。

 

 

これに関しては、下記の記事にて解説してあるので、参考にして下さい。

 

デフレ期にすべき投資

 

『ピンチはチャンス』という言葉は投資にも当てはまります。

 

 

なぜならデフレ期では、株式や不動産価格も安値で放置されているからです。

 

 

デフレからインフレへの転換点、例えばアベノミクスが開始した2013年から、日経平均株価は急上昇しました。

 

 

 

8,000円台だった日経平均株価は、2年後にはおよそ2.5倍の20,000円を超えました。

 

 

その後も株価は上昇を続けて2021年には30,000円前後まで上昇しています。

 

 

つまりアベノミクス前のデフレ期は株式などの資産を買っておく絶好のタイミングだったと言えます。

 

株や不動産などの資産は

安い時に買って高い時に売る

 

これは資産運用の原則ですが、デフレ期とは資産が安く放置されている時期なのです。

 

そして、まだ世の中がインフレの未来に気がついていない時に資産を買う必要があります。

 

先程の日経平均株価の例で言えば、8,000円台のうちに株式を購入するということです。

 

資産運用で確認する2つのこと

 

おさらいになりますが、将来のインフレやデフレを予測する2つのポイントを紹介します。

 

✔︎:日銀の金融政策を確認する

✔︎:政府の財政政策を確認する

 

✔︎:日銀の金融政策を確認する

 

日銀の金融政策について確認しておくことは大きく2つあります。

 

:マネタリーベースの変化率

マネタリーベースの変化率は、資産市場に大きな影響を与えます。

 

一般的にマネタリーベースが拡大傾向であれば資産価格は上昇し、縮小傾向であれば資産価格は下落します。

▶︎外部リンク:日銀HP・マネタリーベース統計

 

リンク記事から確認して、資産運用のタイミングを図りましょう。

 

:日銀政策決定会合で決まる今後の金融政策

マネタリーベースのゆくえを含めた金融政策は、1年に6回行われる日銀政策決定会合によって決まります。

 

金融政策を拡張するか、縮小するかはこの会合によって決定されるため、景気のゆくえを予想するには必ず確認しておきたいことです。

▶︎外部リンク:日銀HP・政策決定会合結果

 

✔︎:政府の財政政策を確認する

 

金融政策の次に重要なことは政府の財政政策政策の確認です。

 

具体的には国家予算と増税等の緊縮財政が実施されないかを確認することです。

 

国家予算を大きく組めば景気は拡張し、国家小さくなったり増税などが実施されると景気は縮小します。

▶︎外部リンク:財務省HP・国家予算

 

上記外部リンクから最新の国家予算の確認ができます。

 

ポイントは:前年よりも増やしてあるか?:増やした額はどのくらいか?:増税などの緊縮財政がないか?の3つです。

 

消費増税などの緊縮財政は、日本の個人消費を大きく停滞させますから、注意が必要です。

 

まとめ

 

本記事のまとめ

  • デフレーションとは継続して物価が下がること
  • デフレの原因は世の中のお金の量が不足していること
  • デフレは中央銀行による金融政策の失敗でおこる
  • 日本の『失われた20年』も金融政策の失敗によっておこった
  • デフレでは賃金低下、倒産増加、雇用の悪化が起こる 
  • デフレは資産価格が安く放置されている

 

デフレについてさらに詳しく知りたい方は下記の本がわかりやすく書いてあるのでおすすめですよ。
コウタ

 

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『日本の未来を応援するブログ』の管理人です。私が生まれて育った日本が、千代に八千代に美しく豊かな国でありますように。

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