リフレーション政策とは?【わかりやすく解説】

リフレーション政策とは?

 

リフレーション(英: Reflation)とは、デフレーションから抜け出たが、本格的なインフレーションには達していない状態のこと。

Wikipediaより引用

 

2012年末。

第2次安倍政権はデフレ脱却を掲げて、経済政策アベノミクスを開始しました。

 

【アベノミクスとは?】わかりやすく解説

 

日本は平成バブルの崩壊以降、長引くデフレ不況に悩まされてきました。

 

参考記事:バブル崩壊の原因は?

参考記事:失われた20年とは?

 

アベノミクスの目的は、これら長引くデフレ不況から脱却してリフレーションの状態に持っていく事でした。

 

日本経済を長引くデフレ不況から脱却させ、マイルドなインフレ状態に持っていく金融政策をリフレーション政策(通称リフレ政策といいます。

 

 

リフレーション政策の手段

 

デフレ経済をリフレーションに持っていくには、中央銀行による金融政策 が必要です。

 

参考記事:金融政策とは?わかりやすく解説

 

金融政策は、政策金利やマネタリーベース(世の中のお金の総量)の調整を行なって国の景気をコントロールする為に行われます。

 

基本的には

世の中の物価はお金と物の量のバランス

によって決定します。

 

✅ デフレーション

お金の量 <  物の量 = 物価の下落

 

✅ インフレーション

お金の量 >  物の量 = 物価の上昇

 

このように中央銀行の役割は

貨幣量をコントロールして

景気や物価を安定させる事

なのです。

 

✔️インフレターゲットの設定

 

金融政策を使って、経済をマイルドなインフレーションに持っていくには、インフレターゲット(物価目標)の設定が必要です。

 

インフレ率の目標は、インフレリスクを避けながらも、金融政策の効果を最大化させる為に設定されます。

 

✅インフレの加熱を防ぐ事

✅市場にインフレ期待を形成する事

 

この2つがインフレターゲットの目的です。

ちなみに2013年のアベノミクスでは、2%のインフレ率が設定されました。2020年4月現在、残念ながらこの目標は達成できていません。

 

インフレの加熱を防ぐ事

 

リフレーション政策では、世の中のインフレ率が目標に達するまで金融緩和を行います。

また、その目標が達成できれば次は金融政策を転換し、金融引き締めに向かいます。

 

これによって、景気の行き過ぎた加熱やハイパーインフレーションを防ぐ効果があります。

参考記事:世界のハイパーインフレ・原因と対策

 

アベノミクスが開始された当時は、メディアを中心にこんな批判がなされました。

 

✅ ハイパーインフレになる

 

この批判を行う人は、おそらくインフレターゲットの意味や目的を全く理解できていないのでしょう。

 

市場にインフレ期待を形成させる

 

インフレターゲットは、ハイパーインフレを防ぐほかにも重要なポイントがあります。

それは、中央銀行がインフレ目標達成にコミットメントをすることで、市場にインフレ期待を形成する事です。

経済学でいう期待とは

人間は常に、将来に何が起きるだろうかということを考えて生きています。(中略)

それが経済に大きな影響を与えるのです。

人間行動が経済を規定し、その人間行動は「期待」によって左右されるという考え方です。

引用元

 

つまり、インフレ期待が形成される事は

世の中の人々が

『これから物価が上がって好景気がくる』

という将来への見通しを信じる

という事です。

 

特に株式などの資産市場はインフレ期待に敏感です。

インフレになれば資産価格が上昇しますので、世の中の投資家は中央銀行の目標達成への本気度を見ています。

 

この物価目標を設定し、それに向かって中央銀行が金融緩和への姿勢を明確に示す事で、世の中にインフレ期待を形成するのです。

 

残念ながら2020年4月現在、黒田総裁率いる日本銀行は、2%の目標を達成出来ていません。

それどころか達成への期限も延期され続けている為に、もはや市場は日銀の姿勢を懐疑的に見ていると言わざるを得ません。

 

さらに、コロナショックという未曾有の経済危機が押し寄せていますので、より一層のリフレ政策が必要とされています。

 

画像:黒田晴彦日本銀行総裁

 

参考記事:新型コロナウイルスと日本経済について

 

 

金融政策の失敗

 

ここまで説明してきた事で気づいた方もいると思いますが、失われた20年という経済衰退期は、政府日銀による金融政策の失策によって起こりました。

 

参考記事【失われた20年】〜世界最下位の真実〜

 

何がいけなかったのかをここで確認しておきます。

✅日銀による金融引き締め政策

✅強すぎる日銀の独立性

✅政府・財務省の緊縮財政

 

この3つによって、長期デフレ経済が完成したのです。

 

日銀による金融引き締め政策

 

すでに説明しましたが、景気と物価、そして貨幣の量は以下のような構図になります。

 

✅ デフレーション

お金の量 <  物の量 = 物価の下落

 

✅ インフレーション

お金の量 >  物の量 = 物価の上昇

 

単純に、長らく日本銀行はこのデフレーションを作る政策、つまり金融引き締め政策を行なってきたのです。

 

お金の量 <  物の量 = 物価の下落

 

日銀は、貨幣量を絞る事によって上記のような状態を作ってきたという事です。

 

日本人は勤勉であり、国内生産力も常に進化しています。

物の量の拡大に伴って、貨幣の量も拡大していかなければ、待っているのはデフレ経済です。

参考記事:デフレーションの原因は?

 

例えば、リーマンショックが起こった2008年前後の白川日銀総裁による金融政策は酷いものでした。

 

 

これはリーマンショック時における

日銀・アメリカ(FRB)・ユーロ(ECB)

この中央銀行による通貨供給量の変化率(貨幣量を拡大した比率)です。

 

参考記事:リーマン・ショックの原因

 

リーマンショックという金融危機では、市場から需要が消失してデフレ圧力が強まります。

当然、デフレに陥らないように金融緩和をする必要があります。

 

しかし、アメリカ、ユーロの中央銀行が金融緩和を行い貨幣量を急速に拡大する中で

日本銀行はほとんど何もしませんでした。

 

この当時の日銀の失政によって、外貨に対する円の価値が高まり、デフレ不況に拍車をかける過度な円高に突入したのです。

参考記事:為替レートとは?わかりやすく解説

 

結果として日本は、リーマンショックの震源国であるアメリカよりも甚大な被害を被ったのです。

 

強すぎる日本銀行の独立性

 

✔️目標の独立性

✔️手段の独立性

世界大戦後のハイパーインフレなどの失敗の反省から、中央銀行には、独立性が必要とされています。

それは上記のうちの、手段の独立性です。

 

政府 = 目標決定

中央銀行 = 手段の決定と目標の達成

 

これが健全な、政府と中央銀行の関係です。

中央銀行はあくまで手段の独立性を持ってはいても、目標の独立性は持っていないのです。

しかし1997年、本格的に日本がデフレに突入したこの時期に、日本銀行法(日銀法)が改正されました。

この改正法によって、日銀は独立性を強める事となるのです。

この時に改正されたポイントは、総理大臣が日銀総裁の罷免権を失った事です。

これによって事実上、日銀総裁は目標の独立性も手にする事になりました。

なぜならどれだけ目標を達成できなくても、日銀総裁はクビにならないからです。

97年以降に、日本銀行が金融引き締めを継続させ、デフレ不況が続いた要因は、この日銀の権力が大きくなりすぎたことも関係しています。

 

政府・財務省による緊縮財政

 

長期デフレ経済を作った最後の要因は、長引く政府財務省による緊縮財政です。

 

特に、アベノミクスによる経済政策が今ひとつ効果を最大化出来なかった理由はここにあります。

 

金融政策と財政政策の足並みが揃わなかった

という事です。

 

アベノミクス開始当初は、資産市場の高騰から雇用情勢の改善まで目覚ましいものがありました。

しかし、2014年の8%への消費税率の引き上げをはじめとして、続く緊縮財政の連続は日本経済の復活に大きなブレーキをかけました。

金融でアクセルを踏み、財政でブレーキをかけたのです。

緊縮財政はリフレ政策とはまったく別の政策はありませんが、確実にリフレ政策の効果を削ぎ落とします。

金融と財政とを同時にアクセルを踏まなければ、長引く日本のデフレ脱却は実現不可能なのです。

 

なぜ財務省は緊縮財政を止めないのか?

 

リフレ政策の効果

 

次は、経済をリフレーション(マイルドなインフレの状態)に持っていく事で得られる効果は多岐にわたります。

 

資産価格の上昇

雇用の創出

✅所得の底上げ

✅消費の活発化

自殺者数の低下

 

まだまだ挙げればたくさんありますが、主要なものはこのくらいでしょうか。

 

前述の通り、金融緩和はインフレ期待を引きあげます。

株価が上昇し、これから景気が良くなると考えた、企業は設備や人材投資を活性化させます。

他方で資産価格の上昇は、金融機関や株式会社、投資家の利潤を拡大させ、融資や投資、個人消費を活発化させます。

結果として企業収益は拡大ます。

企業収益が拡大すると、賃金も上昇します。

失業率が減少する事で、自殺者数も減少します。

 

これらはすべて、実際にアベノミクスでも見られた現象でした。

 

出典:高橋洋一氏Twitter

 

アベノミクスによるリフレ政策が雇用に与えた好影響は、このグラフで一目瞭然です。

その後2020年のコロナショックに至るまで、雇用情勢は改善し続けたのです。

 

リフレーション政策は、第1に雇用に働きかけます。

これが経済を活性化させる為にはとても重要なのです。

雇用が改善すれば、やがて完全雇用という状態に行き着きます。

✅完全雇用

ある経済全体で非自発的失業(自己都合で仕事をしていない人を除く失業者)が存在しない状態。

 

日本での完全雇用失業率は、いくつかの推計があります。

大体2%〜2.5%程度の失業率まで改善できれば、非自発的失業者(自分が進んで仕事をしない人以外の失業)がいない状態になると言われています。

 

完全雇用の状態では、働く意思のあるすべての人達が給料をえられる為、雇用の拡大は消費の底上げに繋がります。

企業収益は上がり、物価も上がるのです。

 

つまりリフレ政策は、金融緩和によって雇用の改善を図り、経済の好循環を作ることと言えます。

 

リフレ政策の波及経路

 

これまで説明してきた事をまとめた画像があります。

 

出典 岩田規久男元日銀副総裁公演PDF

 

中央銀行がインフレ目標にコミットメント

マネタリーベースの拡大(通貨供給量の拡大)

参考記事:マネタリーベースとは?

⬇︎

予想インフレ率(インフレ期待)の上昇

✅予想実質金利の低下

 

ここから実体経済に先駆けて、資産市場と外国為替市場が反応します。

予想インフレ率が上昇すれば、為替は円安に向かいます。

参考記事:為替レートとは?わかりやすく解説

 

為替の円安

輸出企業の業績が拡大

株価上昇

 

この流れで資産価格が上昇すれば、企業の投資、人財投資、消費が活発化します。

 

消費が活発化すれば、物価は上昇します。

インフレが形成されると

需要がお金から物へシフト

するのです。

つまり、リフレーション政策によって生まれたマイルドなインフレは、経済を好循環に導きながら、さまざまな問題を解決するのです。

 

リフレ政策への批判

 

日本でリフレ政策は永らく批判の対象となってきました。

なぜ、これだけメリットをもらたらしてくれるリフレ政策が批判の的になってしまあのでしょう?

すでに既出の項目もありますが、最後にリフレ政策への批判を検証します。

 

 

✅ 批判①

リフレ政策は加熱し過ぎてハイパーインフレを起こしてしまう可能性がある為、危険である。

 

既出ですが、ハイパーインフレの定義を確認してみます。

ハイパーインフレーションの定義

国際会計基準では、3年間で累積100%(年率約26%)を『ハイパーインフレーション』と呼んでいる。

ただし具体的なインフレーション率の値によるのではなく、単に「猛烈な勢いで進行するインフレーション」のイメージを強調する際に用いるマスメディアも多い。

Wikipediaより引用

 

ハイパーインフレーションは国際会計基準では年率26%の事を指します。

しかし、前述したようにインフレ目標を設定する事で、ハイパーインフレも防いでしまいます。

物価目標に到達した時点で金融緩和から金融引き締めに転じる事で過度な物価の上昇を抑えるのです。

 

✅批判②

金融緩和を行って、銀行にお金を積み上げていっても世の中には出回らないので意味はない。

 

結論から言えば、説明したリフレーション政策の波及回路によってお金は世の中に廻ります。

ただ、たしかに金融緩和だけでは、波及ルートが限定されているために時間がかります。

 

✔️銀行が民間に融資を増やさない

✔️資産を増やした投資家が消費をしない

✔️企業が設備投資に慎重

 

この他にもさまざまな理由から、金融政策だけでは世の中にお金が流れるスピードはゆっくりとなってしまいます。

 

そこで、財政政策による減税や再分配政策をセットで行うのです。

政府が、さまざまな給付金で直接国民にお金を渡せばいいのです。

財源は国債発行であり、それを日本銀行が買い取ればまったく問題はありません。

 

参考記事:国の借金とは?

 

そのような再分配もせずに、消費増税のような個人消費を低下させる施策を行なえば、リフレーション政策の効果を削いでしまいます。

第二次安倍政権の失敗もここにあります。

 

つまりこの批判は、リフレーション政策への批判としてはナンセンスであり、原因は他にあるということです。

 

✅ 批判③

中央銀行は独立性を担保しなければいけない為、政府はインフレ目標の設定などに踏み込む事はしない方がよい。

 

これは前述の通りです。

かつて、さまざまな国において、政府が中央銀行をコントロールして戦争の資金を調達するという行為が多発しました。

これを教訓に、中央銀行は政府による管理を受けない独立性が必要だと言われるようになりました。

しかし、この批判も的外れです。

世界標準の中央銀行のあり方でも

手段の独立性=中央銀行

目標設定の独立性=政府

これは変わりません。

 

目標は、私たち国民の支持を受けて誕生した政府が決めなければいけません。

バブル崩壊以降の日本では、日銀法の改正によって目標の権限も中央銀行に与えてしまったばっかりに、失われた20年を作ってしまう原因となったのです。

 

リフレ政策の現在

 

世界標準のリフレ政策と財政の拡大をおこなえば、本来は日本経済をしっかりと成長軌道に乗せる事が可能なのです。

少子化、非婚化、社会保障費の増加、失業率の悪化、現代日本が抱える様々な問題も、経済を成長軌道に乗せる事で大部分が解決できるのです。

ところが、2020年現在のアベノミクスは、当初の金融政策こそ功を奏したものの、消費税率10%への引き上げと、コロナショックによって、甚大なダメージを受ける事になりました。

 

今、中央銀行の目標へのコミットメントはもはや存在しない言っても過言ではありません。

また2019年の10月には、消費税率10%に引き上げられ、緊縮財政はさらに進んでしまいました。

このような状態で、コロナショックが起こってしまったのです。

 

今こそリフレ政策の原点に戻り、2%までの物価目標の達成にコミットメントするべきです。

そして、自粛生活を余儀なくされた国民の収入の補填を大規模におこない、徹底した財政政策を打つ事が必要です。

 

以上のような理由から、リフレ政策は日本を救うという私の思いは、2020年現在でも変わっていません。

金融政策と財政政策のベクトルを合わせ

日本経済をコロナ危機から救う事

 

私は、まだまだ日本の明るい未来への選択肢が残っている事を、今もなお確信しています。

 

 

 


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