リフレーション政策とは?

リフレーション政策をわかりやすく解説

 

リフレーション(英: Reflation)とは、デフレーションから抜け出たが、本格的なインフレーションには達していない状態のこと。日本語では通貨再膨張とも訳される。

Wikipediaより引用

 

第二次安倍政権はデフレ脱却を掲げて、アベノミクスを開始しましたが、この構想は実は日本をリフレーションの状態に持っていく事が本丸でした。

経済をデフレから脱却させ、マイルドなインフレ状態に持っていく金融政策をリフレーション政策(リフレ政策)といいます。

 

 

どうやってリフレーションに持っていく?

 

経済環境をリフレーションに持っていくには、中央銀行(日本では日本銀行)による金融政策 が必要です。

政府がインフレ目標を設定して、その目標数値をめがけて中央銀行が金融緩和政策を行うのです。

目標数値とは、消費者物価指数の上昇率です。

当ブログの様々な記事で説明していますが、世の中の物価は、お金と物の量のバランスによって決定します。

 

デフレーション

世の中のお金の量が、物の量に対して希少性を持つとお金の価値は上がり、物の価値が下がる。

インフレーション

世の中の物の量がお金の量に対して希少性を持つと、物の価値は上がり、お金の価値が下がる。

 

中央銀行の役割は、世の中のお金の量をコントロールして物価を安定させる事です。

リフレ政策とは、インフレ目標(アベノミクスでは2%)を達成するまで、中央銀行が通貨を市場に供給していく事です。

 

この時の金融政策の手段は中央銀行に一任されていますが、中央銀行はあらゆる手段を用いてこの目標を達成させなければいけません。

このリフレ政策は、今では世界標準の金融政策です。

残念ながら2019年6月現在、黒田総裁率いる日本銀行は2%の目標を達成出来ていません。

 

 

失われた20年と緊縮政策

 

ここで、失われた20年の元を作った政府日銀による金融政策の失策を明記しておきます。

【失われた20年】〜世界最下位の真実〜

かつて、バブル崩壊以降の失われた20年と言われる経済失政は、この金融政策の失敗が大きな要因でした。バブルの生成と崩壊の原因を探る

当時の日本銀行はリフレ政策どころか、金融引き締め政策によるデフレ政策を行い、長期経済停滞期を作りました。

その結果、日本ではリストラ、倒産が社会問題化します。

失業率の悪化、自殺者数の急増など、何の罪もない日本国民は、金融政策の失敗によって途端の苦しみを味わう事になってしまいました。

 

デフレ不況時は、本来、リフレーション政策を行い、マイルドなインフレ状態に持っていくことで景気の好循環を作らなければなりません。

 

しかし、当時の日本銀行は、人口の減少や国民の頑張りが足りない、などとデフレ環境にさまざまな理由をつけ、リフレ政策を放棄は続けていました。

 

リーマンショックが起こった2008年前後の白川日銀総裁による金融政策は酷いものでした。

 

 

これは、リーマンショック時における、日本、アメリカ(FRB)、ユーロ(ECB)の中央銀行による通貨供給量の変化率です。リーマン・ショックの原因

リーマンショックが起こり、アメリカやユーロの中央銀行が金融緩和を行い、マネタリーベースを拡大する中で、日本銀行はほとんど何もしていません。

リーマンショックのような金融危機が起こってしまった時は、市場からお金が吸収されます。つまり、適切な金融政策を実施しなければデフレに陥ってしまうのです。

アメリカやヨーロッパが通貨供給量を増やしていく中、日本銀行はなにもしませんでした。

これによって、外貨に対する円の価値が高まり、デフレ不況に拍車をかける過度な円高に悩まされました。

結果、日本はリーマンショックの震源国であるアメリカよりも経済に対するダメージが甚大となってしまったのです。

 

 

インフレターゲット(物価目標)

 

ここでは政策について、少し詳しく説明します。

金融緩和政策とは、マネタリーベース(世の中に存在するお金の量)を拡大し、マネーストック(社会に出回るお金の量)を拡大するための政策です。

アベノミクスで行われた金融緩和政策、量的・質的金融緩和では、日本銀行が市中銀行が持つ日本国債を買い取り、日銀が発行した貨幣を市中銀行に供給していきます。

インフレターゲットとは、インフレ率が目標に到達するまで、無制限にこの金融緩和を続ける方法です。

アベノミクスではインフレターゲット2%が掲げられましたが、残念ながら2019年現在でも、未だに2%に遠く及びません。(消費者物価指数コアコア0.3%。)

 

インフレターゲットに向かって金融緩和を進めるリフレ政策につきまとう批判が一つあります。

それは『ハイパーインフレになる』というものです。

しかし、リフレ政策ではハイパーインフレは起こり得ません。

物価目標を明確に設定しているにはもう一つ理由があります。

それは、物価目標を超えて過度なインフレになり景気が過熱しそうな時には、逆方向に金融政策を転換させる為です。

インフレターゲットを定めたリフレ政策は、マイルドなインフレを維持する政策です。

つまり、ハイパーインフレを避ける性質も持っているのです。

【世界のハイパーインフレ】原因と対策

 

リフレ政策の効果

 

では、物価(消費者物価指数)をマイルドに引き上げる事によってどんなメリットがあるのでしょう?

 

それは雇用の創出です。

金融緩和は予想インフレ率を引きあげます。これによって、企業は設備や人材投資を活性化させます。

また、金融緩和は資産価格を上昇させるので、個人消費を刺激して、企業収益を増やします。

企業収益が増えるため、さらに雇用は拡大し、最終的には賃金が上昇するのです。

これは実際にアベノミクスでも見られた現象でした。

 

出典:高橋洋一氏Twitter

 

逆にデフレーションが起こっている経済では、雇用が減りリストラが発生します。

価格を下げなければモノが売れないデフレ経済では、企業の収益は悪化し、人件費を削らざるを得ないのです。

 

リフレ政策はまず第1に雇用に働きかけますが、これが経済を活性化させる為にはとても重要なのです。

雇用が改善すれば、やがて完全雇用という状態に行き着きます。

完全雇用

ある経済全体で非自発的失業が存在しない状態。

 

完全雇用の失業率に関してはいくつかの説がありますが、大体2%〜2.5%程度の失業率まで改善できれば、非自発的失業者(自分が進んで仕事をしない人以外の失業)がいない状態になります。

 

この状態では、働く意思のあるすべての人達が所得を得て、そのお金が消費にも回っていきます。

したがって、企業収益もあがり、物価も上がっていきます。

結果、国民の所得も上がっていくのです。

 

つまりリフレ政策は、金融緩和によって雇用の改善を図り、経済の好循環を作ることと言えます。

 

リフレ政策の波及経路

 

リフレ政策は実体経済に以下のように働きかけます。

出典 岩田規久男元日銀副総裁公演PDF

 

中央銀行がインフレ目標にコミットメントしてマネタリーベースを拡大すれば予想インフレ率が上昇します。

これによって予想実質金利が低下します。

また、日本円の量が外貨に対しての希少性が増加するので、為替は円安傾向に向かいます。為替レートの決まり方をわかりやすく解説

輸出企業の業績が拡大するとともに、企業の株価をはじめとする資産価格が上昇します。

資産価格が上昇するとともに企業の投資が増え、予想インフレ率が高まる事で、個人消費を促します。

この企業の投資と消費の増加に合わせて、企業が生産を増やします。

ここで初めて雇用が増加するのです。

 

繰り返しになりますが、雇用が増加すれば、国民総所得は増えます。

人手不足が起これば企業は人材確保の為に賃上げを行います。

国民総所得と賃金の上昇によってさらに消費が活発となり、デフレから脱却するという経路をたどるのがリフレ政策です。

 

リフレ政策への批判

 

日本では長年に渡ってリフレ政策は批判が多く、アベノミクスでようやく実施されたものの、長きに渡り排除されていました。

その批判を検証します。

 

批判1

リフレ政策は加熱し過ぎてハイパーインフレを起こしてしまう可能性がある為、危険である。

 

ここで、ハイパーインフレの定義を確認します。

ハイパーインフレーションの定義

国際会計基準では、3年間で累積100%(年率約26%)を『ハイパーインフレーション』と呼んでいる。ただし具体的なインフレーション率の値によるのではなく、単に「猛烈な勢いで進行するインフレーション」のイメージを強調する際に用いるマスメディアも多い。

Wikipediaより引用

 

ハイパーインフレーションは国際会計基準では年率26%の事を指します。

しかし、前述したようにインフレ目標を設定しておけば、予想インフレ率を上げると同時にハイパーインフレも押さえる事となります。

なぜなら、物価目標が2%ならば、そこに到達した時点で金融緩和を停止(金融引き締め)を行なって過度な物価の上昇を抑えるからです。

 

批判2

金融緩和を行って、市中銀行にお金を積み上げていっても世の中には出回らないので意味はない。

 

資産価格を上昇させますので、それだけでもおこなう方がいいと思うのですが、世の中にお金が出回りづらいのには理由があります。

マネーストックの説明書を参考にしてもらえるといいのですが、金融緩和だけでは世の中へのお金の出回りには時間がかかってしまいます。

ましてや、消費増税をしたり個人消費を低下させてしまうような施策を行なってしまえば、GDPの6割を個人消費が占める日本の経済では金融緩和の効果を最小限にしてしまいます。

第二次安倍政権の失敗もここにあります。

 

批判3

中央銀行は独立性を担保しなければいけない為、政府はインフレ目標の設定などに踏み込む事はしない方がよい。

 

 

かつて、さまざまな国において、政府が中央銀行をコントロールして戦争の資金を調達するという行為が多発しました。

これを教訓に、中央銀行は政府による管理を受けない独立性が必要だと言われるようになりました。

しかし、この批判も的外れです。

世界標準の中央銀行のあり方では、手段の独立性を持っていますが、目標設定の独立性は持っていません。

目標値とはインフレ目標と事で、これは国民の支持を得て誕生した政府がしっかり決めなければいけません。

しかし、目標達成のための手段に政府は口出ししてはいけません。手段の独立性です。

しかし、バブル崩壊以降の日本では、日銀法の改正によって目標の権限も中央銀行に与えてしまったばっかりに、失われた20年を作ってしまう原因となりました。

 

リフレ政策の現在

 

前述した通り、しっかりと世界標準のリフレ政策と財政の拡大をおこなえば、本来は日本経済をしっかりと成長軌道に乗せる事が可能なのです。

少子化、非婚化、社会保障費の増加、失業率の悪化、現代日本が抱える様々な問題も、経済を成長軌道に乗せる事で大部分が解決できるのです。

ところが、2019年現在のアベノミクスでは、金融政策こそ功を奏したものの、個人消費が停滞してしまっています。

その主な原因は、2014年の4月に実施された消費税の8%への引き上げです。なぜ財務省は緊縮財政を止めないのか?

これによって、リフレ政策によってせっかく良くなってきていた民間個人消費をへし折ってしまいました。

増税より財政再建よりも、まず大切な事はデフレを脱却して、日本経済をいち早く成長軌道に明確に乗せる事。日本の財政問題を解決する方法

そのためには、リフレ政策が必要であり不可欠なのです。

 

リフレ政策は日本を救うという思いは、物価上昇と個人消費が低迷している2019年現在でも変わっていません。

金融政策と財政政策のベクトルを合わせ、日本経済を成長軌道に乗せ、国民国家が豊かで平和になる。

私たちは、日本のそんな明るい未来への選択肢も持っていると、今もなお確信しています。

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